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概要
ジパングに棲息する狸の魔物。狐の魔物である稲荷と並び「大妖怪」として知られる種族。
狡猾な知能、「性欲の権化」と呼ばれるほどの強烈な情欲、そして欲しいもののためには手段を選ばない精神性を持つ。
「人化の術」を用いて人間に変身できるが、彼女達の場合、体臭や魔力の気配すらも人間そのもののように擬装できる。
その精度は術の心得のある勇者や魔物ですらも欺ける程に高いという。
おしなべて高い商才を持ち、商人や金貸しとして生計を立てる者が多い。人当たりもよいが、前述の通りその本性は狡猾。
人の世を支配する金銭を扱うことは、彼女達にとっては生活手段であるに留まらず、人間社会を手に入れる計画の一部でもある。
その傍らには彼女達が伴侶とする人間の男性の姿も。しかし夫の手に入れ方はかなり強引であることも多い。
あるときは商家や領地ごと買い取り、相手が貧乏人の場合は家族ごと金で自分のものにする。
中には刑部狸に借金を背負い、そのカタにいただかれてしまう男性もいる。
気に入った相手を手中に収めるためには、話術と幻術を駆使して相手を填めることも辞さない。
それでも男性達は刑部狸が持つ人心や男心を掌握する手管と好色な求めに沈められ、心の底から彼女達に心酔するようになってしまう。
ただ、こうした行動は刑部狸の意識としては収奪や搾取のためではない。人間社会を手に入れるのも、自分たちや他種の魔物娘たちがより伸び伸びと夫達と愛し合える環境を実現するためである。
結ばれた伴侶に対しても、そこに至るまでに手に入れた以上のものを相手やその周辺に返し、豊かにする。
主神信仰圏と異なり魔物に好意的な所ではこうした面も知られているのか、刑部狸が「金運の象徴」と見なされるケースもある。
主な生息域であるジパング以外でも刑部狸の姿は見られる。ジパング出身でも故郷から出て商人として世界を渡り歩く者も少なくない。
そうして世界各地で店を開いたり、行商人として行き来している。
魔物の姿で商売をする場合は裏表なく良い商人として客と接するようだが、人間に化けて商売する場合は魔物化をもたらす品をそれを隠した上で売りさばくといった所業を行うため危険である。