概要
映画版「世界の中心で、愛をさけぶ」(以下セカチュー)の終盤にて、白血病で死の淵にあるヒロインのアキを彼女が憧れていたオーストラリアのエアーズロックに連れていこうと主人公のサクは計画。しかし、成田空港までアキを連れ出した先でアキは気絶してしまう。その際に、アキを抱えたサクが天を仰ぎ、周囲に向かって叫んだ言葉が
『助けて下さい!』
というものであった。
この後、サクはアキと死別することになる。
泣けるシーン…なのだが()
作中屈指の名シーンで、本来なら泣くべき場面なのだが、封切り当初から一部ではツッコミに晒された。
普通に考えて、高校生が、しかも死にかけている彼女と2人だけで海外に向かうことそれ自体が正気の沙汰ではないからだ。
この段階でヒロインであるアキの寿命は残り僅かになっていて弱りきっている。病状は進行しきっていて身体にガタがきている状態で、アキが限界を迎えてしまったはある意味当然であった。
その際のサクの言動は、見方によっては身の程知らずな行動の顛末を理解できずただ狼狽えてパニックになっているだけとしか映らないものであった。
案の定、方々でネタにされてしまい、特に何かを抱えて「助けて下さい!」と叫びながら平井堅の「瞳を閉じて」を流すだけで笑いが成立する勢いの良さもあって、多くのモノマネ番組やコントでもとにかくネタにされ、陣内智則もコントのタネに使用してたことがあるほど。
どうしてこうなった(泣)
2000年代の日本を席巻したセカチューであったが、上記場面のように冷静に作品を見直してみると意味不明な箇所が多く存在したことが評価を分けた。
例として、他にもこんなのもある。
物語冒頭、サクとアキは知り合いの老人「重蔵」からとある事情で「初恋の人の遺骨を取ってきて欲しい」と依頼されそれを実行するという場面があり、その際にアキは「こういうのはこういうので、永遠の恋が実ったっていうことかも」と発言する。 ちなみに、重蔵の狙いはその遺骨と共に自分も墓に入り意中の女性とあの世で結ばれるというものであった。
このことが後の展開でアボリジニの散骨といったワードに結びついていくのだが、一部ではこれが呪術やネクロマンス的であるとして「こんなおぞましい場面必要か!?」と非難されることになった。ちなみに、他人の墓から遺骨を無断で持ち出すことは盗掘罪にあたり、この部分も「犯罪に加担しておいて恋も何もないだろ」と言われることになった。
他にも作中には、取り方によっては色々と違和感を感じさせる場面が多くあり、こうしたものが積み重なった結果、本作は『青春恋愛作品の傑作』と絶賛される一方で『純愛を勘違いした迷作』と一部で評価されるに至ってしまった。
とはいえ…
ただし、世界最古の物語の一つにして恋愛小説の傑作である『源氏物語』が本居宣長が擁護する以前までは「ヤ●チンマンの奇行から学ぶ反面教師の話(意訳)」とも評されていたことも踏まえて常識と恋愛は往々にして矛盾するものであることも留意する必要がある。
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