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概要編集

江戸時代に活躍した国学者国学とは『日本書紀』や『古事記』、『万葉集』などの古典の中でも古いものを研究することで儒教仏教伝来以前の古の日本人の考え方を明かそう、という学問であり宣長は国学を大成した。

生涯編集

1730年6月21日、伊勢国松阪(現在の三重県松阪市)の木綿商人の家に生まれる。寺子屋で教育を受け、一度商人になるものの商売は性に合わなかったようですぐにやめてしまう。その後母親と相談のうえで医者になることを決意。京都で医学を習得した後に28歳で故郷の松阪で町医者して開業。その後死ぬまで町医者として働き続けた。


仕事の傍ら『源氏物語』や『日本書紀』などの古典を読み、当時著名だった国学者の賀茂真淵の本を見つけたことで国学者になることを決意。1763年、伊勢神宮参拝のために松阪を訪れていた真淵の元を訪れ、彼に触発されて『古事記』の研究をすることを決意。712年(奈良時代)に書かれた歴史書である『古事記』にこそ日本人の古の姿のヒントがあると考えたのだ。

なお、ここでの出会いが真淵との最初で最後の出会いであるがその後は手紙でやり取りを続け、最終的に真淵の弟子となっている。


その後35年の月日を費やして『古事記』の詳細な注釈書である『古事記伝』(全44巻)を完成させた。

1801年11月5日に病没。享年71歳。

功績編集

『古事記伝』の執筆によって国学を大成させた。その中で宣長は儒教や仏教を中国からの外来思想である「漢意」として批判し日本人の純粋な古来の心である大和魂への回帰を主張した。

同時にもののあはれという日本人独自の美意識も考案し、『源氏物語』をその注釈書『源氏物語 玉の小櫛』の中で「もののあはれの文学」と絶賛した。

また文学者としても活躍し『玉勝間』、『うひ山ふみ』、『秘本玉くしげ』、『菅笠日記』などの随筆を残した。これらの著作、中でも『玉勝間』は現在でも中学高校での古典教育の教材として使われており全国の受験生を悩ませ続けている。


上記に比べてあまり注目されることは少ないが古典を扱うことから日本語の文法、仮名遣いを研究した言語学者でもあり、「係り結びの法則」を発見したのも彼。

また、古い和歌において「字余り」には一定の規則性・法則性が有るとする「字余りの法則」説や、「古代の日本語には6つ以上の母音や後世の日本語では失なわれた子音が有り、後世から見ると同じ発音の音なのに万葉仮名では別の漢字が割り当てられている場合が有るのは、この事の反映」(例えば、上代の日本語では日の意味のヒと火の意味のヒは別の発音だった)とする説も、彼の研究が嚆矢となっている。


何よりも上記の功績を残しながら、前述した通り宣長の本業は医者であり、学者ではない。言ってしまえば宣長はアマチュアの古典研究者にすぎないのに上記の功績を残しているのである。

影響編集

彼の思想・研究は秋田平田篤胤などの国学者に引き継がれ、日本古来の神道への回帰を復古神道へと繋がっていく。それは尊王攘夷運動の理論的背景となっていき、ひいては明治維新の原動力になっていった。


余談ではあるが復古神道を大成させた平田篤胤は「本居宣長の弟子」と自称している。というのも宣長は松阪の人だが平田は先述の通り(一時脱藩していた時期があるものの)秋田生まれで単純計算で二人の活動場所は800㎞ほど離れている。とはいうものの真淵と宣長のように文通での師弟関係というのもあるのだが、そもそも平田が宣長を知ったのが宣長没後の2年後なのだ。もはや無理がある。

まあ平田は「俺の夢の中で宣長先生が入門許してくれたからオッケーだし!!」と述べているが…。

人物編集

  • 大のオタク。鈴の収集に励み、研究で疲れたときには鈴の音を聞いて癒された。
    • このことから彼の研究場所兼私塾であった自宅は「鈴屋」と名付けられている。
  • 趣味は和歌を詠むことでその生涯で一万首以上詠んだ。
  • 前述の通り源氏物語を愛読していた宣長であるが、実は『手枕』という光源氏六条御息所馴れ初めを書いた物語を書いており、源氏物語の二次創作をしていた同人作家でもあった。
  • 同じく国学者だったが意見が対立していた上田秋成(雨月物語の作者としても有名)から「古事記伝兵衛」という渾名を付けられた。
    • 古事記と日本書紀で相違点が有る場合は古事記の記述の方を正しいと見做す事が多かったのが一因。

関連タグ編集

江戸時代 国学者 松阪市 古事記 もののあはれ

本居小鈴東方Projectのキャラクターで宣長を元ネタとしている。詳細は当該記事にて

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