概要
『大恋愛』は、2018年10月~12月にTBS系列の金曜ドラマ枠で放送されたドラマ。
脚本は、NHK連続テレビ小説『オードリー』や大河ドラマ『功名が辻』、日本テレビ系列水曜ドラマ『家売るオンナ』シリーズを担当した大石静。
撮影には引越業最大手のアートコーポレーション(アート引越センター)が全面協力しており、ドラマ中の衣装や段ボール、車両は実際にアート引越センターで使われているものが使用されている。
主題歌は、backnumberの「オールドファッション」。
あらすじ
KITAレディースクリニックに勤務する女医である北澤尚は激しい恋をしたことはないが、年上の医師である井原侑市との婚約が決まり、仕事もプライベートも順調な日々を過ごしていた。しかし結婚式まで1か月と迫り、新居へと引っ越すことになったある日、尚は引越のアルバイトで尚の自宅に来ていた元小説家の間宮真司と運命的な恋に落ちる。尚と真司が本気の恋へと突き進もうとしていた時、尚が若年性アルツハイマー病の前段階とされる軽度認知障害(MCI)に侵されていることが判明する。次第に真司は尚の病や2人の出会いをきっかけに愛することの意味や喜びを感じていく。そして尚がいつか自分のことを忘れてしまうという恐怖を感じながらも、真司は2人の愛の日々を小説に綴っていくことを決める。
登場人物
- 北澤尚→間宮尚(演:戸田恵梨香)
KITAレディースクリニックに勤務する産婦人科医。
大学医学部の准教授になる予定の井原侑市と婚約。侑市に恋愛感情はなかったものの、人生のパートナーとしてやっていけると確信していた。しかし、新居に引っ越す日に尚の自宅を訪れた引越アルバイトの間宮真司と運命の恋に落ちる。更に真司との恋に突き進んでいる頃から記憶に異常をきたす若年性アルツハイマー病に侵されてしまう。
一時は真司に別れを告げられ自殺を考えるほど落ち込んでいたが、9か月後に行きつけの居酒屋で彼と再会し、彼のプロポーズを受け入れて結婚した。
堂明大学の学生たちの前で自分の経験談を話すつもりだったが、ハウリングによる反射性失神を起こして中止になり入院する。その後、軽度認知障害(MCI)から若年性アルツハイマー病に進行していると侑市から宣告された。
真司から子どもが欲しいとの要望に対して自身の病気で子どもを悲しませたくないと一時は断ったが、考えを改めて子どもを作るようにし、息子を出産し恵一と名付ける。
病気が進行して衰えていく自身を見せたくない想いで、真司にメモを残して家を出て「朝倉診療所」に住み始める。真司が訪れた時には既に記憶がなくなっていたが、彼が『もう一度、第一章から』の朗読をしている時に一瞬だけ記憶がよみがえった。しかし、その1年後に肺炎を患ってしまい、そのまま息を引き取った。真司と恵一が住み続ける一軒家には、結婚式の記念写真をはじめとする尚の写真が大量に飾られている。
- 間宮真司(演:ムロツヨシ)
小説家。生まれてすぐに捨てられたため親の顔は一切知らない。神社に捨てられていて、宮司の「宮」と児童養護施設の園長の姓、間山の「間」からこの名になった。
デビュー作『砂にまみれたアンジェリカ』がベストセラーになったものの、次作で酷評され次第に世間から忘れ去られ、引越のアルバイトで生計を立てていた。小説家に復帰後も、アップルパイを届けたり木村に悩みを相談したりする等で引越のアルバイト先に訪ねている。
元々他人を信じない性格で本気で人を愛したことがなかったが、引越のアルバイトのために訪れた家の住人である尚に惹かれ恋に落ちる。
尚に別れを告げたあと本格的に小説を執筆し、9か月後に『脳みそとアップルパイ』を出版して大ヒットさせる。その後、行きつけの居酒屋で侑市に尚の自身に対する気持ちを伝えられ、侑市と入れ替わりで尚が来て久しぶりに再会し、プロポーズを彼女に受け入れられて結婚し、マンションに引っ越した。
担当編集者の水野から『脳みそとアップルパイ』の映画化を提案された際に、もう一度一から執筆し直すことを伝えた。『もう一度、第一章から』のタイトルで新聞連載を始め、後に本を出版して大ヒットさせる。尚の病気が進行して記憶がなくなる前に、彼女と息子の恵一と一緒に一軒家に引っ越した。
尚との最後の日々は、彼女の死後に本作と同タイトルの『大恋愛〜僕を忘れる君と』として執筆・出版し、これを最後に作家として新しい挑戦をしていくことを尚の霊前に誓っている。
アルツハイマー病の最先端研究に邁進する堂明大学附属病院のエリート精神科医。
派遣先のワシントンから帰国後に尚と婚約。価値観が似ている尚が気に入り、准教授になることをきっかけに身を固めようと決意する。しかし、結婚式の1か月前に尚から婚約破棄を突然告げられてしまうが、後に事情を知り納得する。尚が若年性アルツハイマー病に侵されていることを知った後、今度は主治医として彼女を支えていった。
薫の相談相手になってからお互いに好意を持つようになり、後に彼女と結婚した。
最終話では、開発したアルツハイマー病の原因物質を取り除く効果を持つ新薬「サティタミン」が厚生労働省の認可を受け、ノーベル賞並みの成果と称賛される。
- 北澤薫(演:草刈民代)
尚の母で、KITAレディースクリニック院長を務める産婦人科医。
早くに夫を亡くし、尚を女手ひとつで育ててきた。尚が侑市との婚約を一方的に破棄し、真司との恋に走ってしまったことを知り猛反対していたが、最終的に許す。それでも若年性アルツハイマー病に侵されてしまった尚を懸命に支える。
侑市に悩みを相談するようになってから次第に好意を持つようになり、彼のプロポーズを受けて結婚した。
真司がアルバイトをしている引越会社の先輩(チームリーダー)。
気立てがよく、尚との恋に思い悩んでいく真司の良き相談相手になり、尚との恋を陰ながら応援していく。尚と真司の結婚式当日に、真司の強い要望により急遽牧師を務める。
- 小川翔太(演:杉野遥亮)
真司・木村と同じ引越会社に勤める若手スタッフ。真司にとっては可愛げのある後輩。木村と同じように真司を陰ながら応援していく。
- 水野明美(演:木南晴夏)
真司が大ヒットさせた小説『脳みそとアップルパイ』の担当編集者。使用している手帳の色は紫。
その後も真司の担当編集者としてマネージメントを行い、『脳みそとアップルパイ』の続編や映画化を彼に提案するなどしている。
- 松尾公平(演:小池徹平)
尚と同じ若年性アルツハイマー病を患う保育士。主治医は尚と同じく侑市が担当する。仕事柄子供には優しく、人に対して気さくに接し笑顔を振りまく、真司曰く「キラースマイル」の持ち主。病気の発覚で妻には離婚され、職場での仕事は失いかけている。
同じ病の患者・尚の存在を知って急速に接近し、彼女が経験談を語るイベントの準備を、前年に同じイベントを行った経験者としてアドバイスするなどして友人関係になる。その会場で失神し入院した彼女に、真司になりすましキスをした。侑市の学生が撮影した尚の経験談の映像より、会場で意図的にハウリングを起こし尚の失神を誘発したことが判明する。
真司や侑市に尚を自分のものにすることを宣言するなど彼女への執着をあらわにしてゆく。やがて、真司とケンカをしてマンションを出た尚を捕まえ、彼女に睡眠薬入りの飲み物を差し出し眠らせて一緒に心中しようとする。しかし、尚は眠ったふりをしただけで未遂に終わり、彼女に諭されて別れる決心をした。
最終話では尚の行方を捜す真司と病院で再会するものの、彼のことを認識できない状態で、食事も一人で食べる事ができないほど若年性アルツハイマー病が進行していた。