概要
『小説彼岸島:紅い鬼』とは、ホラー漫画の金字塔ともいうべき作品『彼岸島』を舞台とした小説。
2007年7月にKCノベルスから出版されたもので、ストーリーも原作をかなり忠実に追ったものとなっている。
そして、主人公はいつものクソ強ェ救世主こと宮本明...ではなく16歳の少女、千春。
いつもの救世主目線ではなく、「一般人目線」であの彼岸島世界を記述した貴重な作品である。
あらすじ
「血に飢えた一族の復活によって地獄と化した彼岸島。
わずかに生き残った人々は、抵抗組織を結成し、吸血鬼たちと戦っている。
まだ十六歳の少女・千春もその一人。目の前で親友が殺され、仇を討つことを誓う。
そして自ら戦闘員を志願するのだが…。
原作コミックの「峡谷の血戦」のあとを描いたオリジナルストーリー。
吸血鬼と圧倒的に力の差がある“小さき者”の戦いの未来とは。」
(「BOOK」データベースより)
小説版にのみ登場する人物
千春
小説版彼岸島の主人公。抵抗組織(レジスタンス)の少女。「峡谷の血戦」で親友を亡くして以来、吸血鬼への復讐心を募らせている。男物の着物と袴を着ていて、左頬に傷がある。目は切れ長。長い髪は下ろし、又はポニーテールにしている。左頬の傷が塞がりかけるたびに掻いてはその治癒を遅らせている。「戦闘員の一員になりたい」と村長(さしずめ「師匠」)に懇願するが、師匠はその度「お前は弱い」と言って断っている。また、師匠の娘・青山冷に体術を教わった。冷に頼まれて萩乃の手伝いをすることに。西山のことが好き。余談だが、西山は千春に得意げに「ほら俺、文具屋だから」と言い放った。知らんがな。
萩乃
廃学校の保健室をとりしきる産婆。そろそろ八十歳に手が届こうかという当人は、老いさらばえた外見からは想像もできないほどにかくしゃくとした人物である。癖のある白髪を短く刈りこみ、口にはいつもよれたマスクをつけている。糸目。
高倉
抵抗組織の戦闘員の一員の男性。いつも唇の左端に黒子のある戦闘員と、歯にきったねェヤニがこびりついた戦闘員との三人でつるんでいる。夏女の夫。
高倉夏女
高倉の妻。重症を患っている。歳は三十路をいくつか越えたくらい(千春の偏見)。地味な柄の着物に雪袴。お団子に結った髪から落ちた後れ毛が、筋ばった首筋に絡んでいる。拒食気味。お昼はだいたい萩乃にお世話になっている。
著者略歴
著者
7月21日生まれ。神奈川県在住。
第9回講談社ホワイトハート大賞で佳作を受賞した『仙姫午睡』でデビュー。
その他著書には、幻想ファンタジーの『人魚の黒珠』『冥海の霊剣』『月狩士』、ホラーファンタジーの『猫眼夜話』『そぞろ迷図』がある。
主に少女漫画やミステリー系の描写に定評のある作家である。
原作者
6月4日生まれ。群馬県出身東京都在住。
ファンからの愛称は数多く、略称として「先生ェ」と呼ばれるほか、「マツモナルド先生ェ」
「マツモティーヌ先生ェ」、果ては 「光司」や「光を司るもの」などと呼称される。
第39回ちばてつや賞(ヤング部門)で大賞を受賞した『彼女は笑う』でデビュー。
単行本作品には『サオリ』『クーデタークラブ』がある。週刊ヤングマガジンで『彼岸島』を連載、その後はその続編となる『彼岸島 最後の47日間』を連載。
...が、そこからさらにバッドエンド後の後日談にあたる『彼岸島 48日後...』を現在ヤングマガジンにて大反響連載中。
原作の彼岸島ってどんな漫画?
本作はホラー漫画の金字塔とも言うべき作品であり『閉鎖環境&パニックホラー』という昨今のホラー界隈の鉄板ネタともいうべき一大ジャンルを築いた。
また、この手の漫画にしては非常に珍しいことに一度バッドエンドを迎え、しかもそこからさらにさも当たり前かのように物語が続いた事で今なお多くの読者を驚かせ続けている。
ホラー漫画の法則をガン無視してどんどん強くなる主人公、見るも無残に投げ捨てられた伏線、そしてシュール極まりない画風や緻密に計算され尽くされた擬音やコマ割りはもはや芸術の域にまで達しており、また丸太=彼岸島とまで言われるほど頻繁に丸太を用いた近接戦闘が発生する漫画でもある。
そして、連載20周年を目前にして物語の主人公宮本明と吸血鬼の首領雅様はいよいよもって直接対決の場に入ろうとしている。
(...途中、雅様そっちのけで箱根とか巣鴨に寄り道したのは秘密である。)