概要
正式名称「岸辺露伴は嗤わない 短編小説集」。柴田勝家による日本の小説作品集。『ジョジョの奇妙な冒険』のスピンオフ漫画『岸辺露伴は動かない』のスピンオフ小説で、シリーズとしては第四弾に当たる。
『岸辺露伴は動かない』のノベライズ作品として『ウルトラジャンプ』付録の小冊子に掲載された「曰くのない人形」(2024年5月特大号)、「ペア・リペア」(2024年5月特大号)に加え、書き下ろしである「不見神事」、「ファン・鏑木八平太の場合」を収録し、2024年12月23日にJUMP j BOOKSから単行本化された。
収録作品一覧
曰くのない人形
漫画の新展開への取材と休暇を兼ねてイタリアへ旅行中の岸辺露伴。漫画家としての興味から「泥棒市」を訪れた露伴だったが、そこで〈金槌(マルテツロ)のルーチョ〉なる人物と出会う。ルーチョは売り物に事実か疑わしい「曰く」をでっち上げ販促していくが、ある古びたデッサン人形については全く「曰くがない」という。
唯一曰くがないという人形に逆に興味を持った露伴は、人形を購入し帰国する。しかしその後イタリアで大きな事故があり、一人が死亡したというニュースを目にする。
狭い路地にトラックが突っ込んだのに死亡者が一人のみ...。
露伴は不可解に思い事故について詳しく調べると、その唯一の死亡者は他でもない、〈金槌のルーチョ〉であった。
曰くがない人形に隠された秘密とは...?
ペア・リペア
返却期限の過ぎた本を返しに隣町の図書館へ訪れた岸辺露伴。しかし図書館は改装工事中であった。渋々帰路につく露伴だったが、帰りのタクシーからあるオープンガーデンを見つける。無意味な一日にしたくないとその庭に訪れる。庭園を堪能し、家主である老婦人「ミチヨ」と若い妊婦「セイラ」に出会う。その後セイラから入園料が必要と聞き、支払おうとする露伴だったが、入園料はお金ではなく「大切なモノの片一方」らしく...?
美しい庭園に潜む恐ろしい秘密を露伴は目撃する。
不見神事
岸辺露伴はある蕎麦屋で担当編集者である「瑞野信士」と次なる原稿について交渉していた。しかし交渉途中に瑞野は誰かに名前が呼ばれたと言い出す。どうやら名前の瑞野信士のことではなく、不見神事(みずのしんじ)という神事のことらしい。瑞野の提案で神事が行われている集落に訪れた二人は、不見神事への参加を願い出るが...!?
「あの〈神事〉は『目に焼き付けてはいけない』し、『口で語ってはいけない』のです」
「これは〈決まり事〉です。他にも『耳に残してはいけない』し、『手で描いてはいけない』んです。何より『気にしてはいけない』......」
ファン・鏑木八平太の場合
岸辺露伴は、『岸辺露伴画集〈十〉』刊行記念サイン会で、熱心なファンに出会う。
ファンの名は鏑木八平太。熱心なファンとはいえ、ものわかりは良く特にトラブルもなくイベントは終了した。
しかし二ヶ月後、杜王町のドラッグストアで再び鏑木八平太と出会う。どうやら杜王町に引っ越してきたようで、露伴に出会えたのも偶然らしい。
少々拒否感を覚えた露伴だったが、ファンを無下にする様なことはしたくなく、八平太に〈適度な距離感〉で接するように諭す。
しかし鏑木八平太の行動は日に日にエスカレートしていき...
露伴の作品を愛するひとりのファンの奇譚。