「帝都燃ゆ」とは、テレビ東京系列で放映されたアニメ『トータルイクリプス』第1・2話の題名である。
原作小説連載時には存在しなかった前日譚。
コミカライズは綱島志朗が担当。後に、『トータルイクリプス』BD&DVD全巻購入特典小説『帝都燃ゆ(完全版)』をベースとして『マブラヴオルタネイティヴ トータル・イクリプス』Windows版にてゲーム化された。
『The Imperial Capital Burns - Muv-Luv Alternative Total Eclipse』のタイトルでSteamでも発売された。
概要
メインヒロインながらも本編では既にベテランパイロットである篁唯依の訓練生時代を描いた回で、前編では衛士として同級生との訓練生活、後編ではBETAとの壮絶極まる実戦が語られており、次々と命を落としていく仲間たちを死を乗り越えて成長していく唯依の姿を描写したことで視聴者に強い印象、そしてトラウマを与えたエピソードである。
『トータルイクリプス』を含む『マブラヴオルタネイティヴ』の世界観は見る者を熱くさせる要素や鬱な気分にさせてくれる要素が入り混じっているが、この「帝都燃ゆ」前後編はその世界観を端的に表していると言える。以下そのあらすじを紹介する。
※警告!以降の記述には第1・2話のネタバレが含まれています。また、トラウマになること請け合いの文章がありますので閲覧はご自身の責任で行ってください。
物語
訓練生としての生活(前編)
人類とBETAとの終わりなき戦いが続いている1997年、13歳の篁唯依は譜代武家と呼ばれる名家の生まれであること以外は普通の少女だったが、武家に生まれたものの責務として日本帝国の帝都である京都の帝国斯衛軍衛士養成学校へ通うことになる。
衛士強化装備を纏い鬼教官の真田晃蔵による厳しい訓練が日々行われていた。訓練生の中にはその苛酷さに耐えられず去っていく者もいた。それでも唯依は学友である山城上総、能登和泉、石見安芸、甲斐志摩子と共に打ち込んでいき、交流を深めていくのだった。
しかし、BETAは矛先を日本に向けて進撃していた。手始めに九州・四国・中国を壊滅させ京都へ向かっていた。1998年7月、帝国斯衛軍は京都守備のため戦力を送り出し、唯依達も訓練の途中で実戦に駆り出される事になった。
戦闘、散華、そして希望(後編)
いきなり戦場に送り出された唯依達は、この上ない緊張感に打ち震えていた。彼女達は今まで経験したことがない恐怖感を感じていたが、皆心を一つにして死闘に臨む決意を固める。外様武家の娘である上総、先の九州戦で恋人を失った和泉、更には安芸、志摩子と共に唯依は戦術機を駆り果敢に立ち向かっていく。
しかし、圧倒的な戦力と武力を誇るBETAに対して未熟な唯依達は赤子同然であった。必死の戦闘も虚しく防衛ラインが突破され、教官をはじめとした衛士達は次々と蹴散らされていく。安芸は突撃級BETAに轢かれ、志摩子は高度を取りすぎて光線級に撃墜されてしまう。
生き残った和泉と上総も撤退中に要塞級を避けようとして接触事故を起こし京都駅に墜落してしまう。
和泉は戦術機から脱出出来たようだが、唯依に発見された時は死体を兵士級に租借されている最中だった(ただし顔は無事)。
上総は全身を骨折して身動きがとれない状態でBETAに取り囲まれてしまう。彼女はまだ無傷だった唯依に対して「私を殺して」と介錯を請うたが、唯依が友を殺すことができず躊躇っている最中に戦車級によって、目の前で戦術機ごと生きたまま食い殺されてしまうのであった。
結局帝都であった京都は陥落、かろうじて救出された唯依は仲間内でただ一人の生存者となった。彼女は自分だけが生き残ったことに深く嘆き涙を流す。そして仲間達の犠牲を無駄にしないために二度と涙を見せないことを誓うのだった。
それから3年後の2001年、アラスカの国連軍ユーコン基地には衛士として逞しく成長した唯依がいた。大切な仲間を失ったが新たな仲間も出来た彼女は次なる戦いへ立ち向かうのだった。