概要
1948年(昭和23年)1月26日に発生した毒殺事件。
東京都豊島区の帝国銀行(現:三井住友銀行)で職員12人が毒を飲まされ、殺された。
GHQ支配下における混乱期を象徴する事件として有名である。
事件は閉店直後に発生。
厚生省関係者を名乗る男が「近所で集団赤痢が発生したので飲んでほしい」と、予防薬とされるものを16人の職員に飲ませた。
しかし実はこの薬は猛毒の青酸化合物であり、職員たちはすぐに倒れ、その隙に現金や小切手が盗まれた。
使われた青酸化合物は遅効性であり、一定時間が経過してから毒性を発揮するよう調剤されていた。
飲み方に関しても、確実に効果が表れるよう詳細な指示を出していたことから、犯人は毒物のプロと推測された。
やがて、犯人として画家の平沢貞通が逮捕されたが、謎や不合理な点が多く、当時から冤罪との見方があった。
平沢は死刑判決を受けたものの、執行されることなく1987年に獄中で死去している。
現在では平沢が犯人という説はほぼ否定されており、未解決事件の一つとして扱われる。
関連項目
松本清張:1959年に帝銀事件を推理した『小説帝銀事件』を刊行している。
横溝正史:同じく1951年に帝銀事件を題材にした『悪魔が来りて笛を吹く』を刊行している。
エラリー・クイーン:帝銀事件を題材にした『東京の大銀行強盗』を執筆。日本では『エラリー・クイーンの国際事件簿』(創元推理文庫)に収録されている。だいぶケレン味の強い内容。