概要
福島鉄平の4作目の連載。2022年10月18日より「少年ジャンプ+」で連載開始。
巨大学園都市「私立ユーカリの葉学園」にまつわる秘密を探る二人の新入生を、どこか懐かしい絵柄と変幻自在の演出で描く平熱ギャグが持ち味。基本的に1話完結のエピソードで構成されるが、千歳が活動の成果に満足すればそれ以上の追求をしないため、仄かに謎が残ることもある。
2023年1月4日には単行本第1巻が発売された。24年2月現在、既刊4巻。
登場人物
生徒
蟻ケ崎千歳(ありがさき ちとせ)
1年A組。漲る探求心と行動力で「放課後ひみつクラブ」を立ち上げた美少女。膝下丈のスカートに黒タイツ、夏でも長袖を貫く濃紺のセーラー服の下にインナーが覗く折り目正しい着こなしでお嬢様っぽく擬態したエキセントリックJK。非公式のクラブでありながら張り切って団員バッジを作っている。台詞のフォントは基本的にちょっと細め。
何らかの秘密を握っていると思しき相手にずけずけと突っ込んでいく怖いもの知らず。秘密を「知る」ことに重きを置いており、また知っている人数は少ないほど価値があるという信条を持つため、掴んだ情報を胸にしまって優越感に浸るのが好き。デジタル機器を「悪魔の力」と見なして毛嫌いしており、スマホすら持っていないため、悠一とは対面でやり取りしている。
自分の美貌をよくよく承知しているものの恥じらいに欠け、仕草の端々がガサツ。高1としては学力に不安な面が見受けられる一方で、パガニーニ国際コンクールでの入賞経験を持つというピーキーな才媛。好きな曲はサラサーテの『チゴイネルワイゼン』。ピアノも達者で初見の楽譜も弾きこなす。料理の心得もあり、やたらと美味なダークマター料理で食べる者を虜にしている。泳ぎは苦手。
作者の著作(およびキャラクター嗜好)に馴染みのある読者の間では、連載初期には男の娘疑惑が公然と囁かれていた。
猫田悠一(ねこた ゆういち)
1年B組。利発そうな四白眼とキュートな笑顔がチャームポイント。おもしろい部活を探して千歳作の勧誘クイズを発見し、あやしげな設問に怯えながらも作成者を思いやって律儀に回答する良心的な少年。浮世離れした千歳の言動に「ほっといちゃいけない気がする」と直感し、活動をフォローする。思い込んだら突っ走る部長に代わって、真っ当な情報収集から手掛かりを探すタイプ。
部長の傍若無人な振る舞いに対して積極的にフォローを入れるため、対立する相手からもしばしば好印象を持たれている。奇人と呼んで差し支えない千歳の扱いを早くから心得ており、風紀委員会からはひみつクラブの要と思われている様子。後先考えない千歳のために無茶をする事も多く、その善性はアクマにも称賛されるほどの美しい魂を形作っている。
『ドラえもん』を愛読し、男子寮の自室にも単行本を持ち込んでいる。自炊の腕はそこそこ。実家は「滅多良」という地域にあるが、野沢菜・りんご・葛飾北斎といったキーワードから長野県北部の小布施あたりと推測されている。
「シンちゃん」という弟がいることからも、『ボクらは魔法少年』に登場したにゃんにゃんオレンジこと猫田ユウイチと同一人物、ないしはスターシステムによる抜擢と考えられている。いちおうこの漫画の語り手のような立場だが、単行本の表紙を飾れたのは第4巻になってから。
黒薔薇 アンジェリカ(くろばら - )
2年C組。太眉癖っ毛、白セーラーに黒インナーと属性盛り盛りの風紀委員長。ユーカリの葉学園の風紀委員長を代々務めてきた黒薔薇家の娘で、風紀委員たちには「黒薔薇様」の敬称で呼ばれている。目つきは鋭く威厳にあふれ高圧的で、自身に非があれば律儀に頭を下げる人格者だが、信じられないほど痛みに弱く、頬っぺたをつつかれただけで泣きわめくクソ雑魚痛覚の持ち主。
ひみつクラブの活動を察知してクラブ解体を迫り、千歳の卑劣な策略によって一時は退学の危機に追い込まれてしまう。ひみつクラブの活動には目を光らせているものの、大人しくしている分には口頭で釘をさす程度。
運動部では到底やっていけないこともあり、文芸部で部長を務めている。「あかい のばら」のペンネームで主に絵本の制作に取り組んでいるようだが、名作の影響を受け過ぎてしまうところがある。
痛みに弱い家系ゆえに培われた「黒薔薇流暗黒投擲術」なる護身術を叩き込まれており、超絶苦いバラ汁を塗布した薔薇を相手の口に打ち込む事で無力化させるという特技を持つ。
犬飼(いぬかい)
アンジェリカの側近を務める白ランの青年。その顔には高校生らしからぬ傷痕が残っている。少々無策のきらいがあるアンジェリカに対して進言を厭わず、いざとなれば身を挺して彼女を庇い、洗脳状態であろうと危機を察知する忠義の男。彼女が扱う薔薇のトゲは丁寧に取り除いている。人格面では高潔なアンジェリカの天然やらかしに人知れず心労を抱えている様子。
野球部主将とは昔馴染み。弟と妹がおり、夕飯当番の日は早めに帰っているらしい。
山崎ヒサシ
新聞部部長。高価なカメラに目を付けられてチンピラに絡まれていたところを野球部員に救われ、校内新聞の1面で野球部を贔屓するようになった人間くさい生徒。記事の偏りに疑念を抱いたひみつクラブの襲来を受けた事で改心し、公平なジャーナリズム精神を取り戻す。
以降もちょくちょく出番があり、名前は「その12」で明かされた。
高木くん
悠一と同じクラスの気弱な男の子。一般生徒代表のような立ち位置で、時折“ヒミツ”に巻き込まれている。うどんが好き。何かしらの理由で理性の枷を外すと嬉々として凶悪な所業に走る一面があり、千歳には「隠れ邪悪」と認識されている。
ビッグ・モー
軽音楽部の人気バンド。牛のように立派な角を生やした仮面と、太ましい半裸の上半身にネクタイだけを結んでいる4人組。謎の音楽で聴衆を催眠状態にし、ローンを組ませて高額グッズを売りつける悪徳ライブを繰り広げている。
カキザワ
人間不信の生物部部長。人のつながりの無意味さを証明するために、生徒の髪の毛から複製したクローン人間をバラ撒こうとしていたマッドサイエンティスト。自作のセグウェイのことだけは「相棒」と呼んでいる。学園で起こる騒動の原因を作る事も少なくないが、科学者としての腕は一級品。
虎ノ門菊子(とらのもん きくこ)
ユーカリの葉学園の現・生徒会長を務める2年生。おでこを出した黒髪ロングにリボンカチューシャ、いかめしく吊り上がった太眉。ビッグ・モーを従えて学園を巻き込む壮大なヒミツを企てているため、ひみつクラブに対しては大抵けんか腰だが、千歳に負けず劣らずその場の空気とノリで生きている節があり、ビッグ・モーたちを困らせている。
秋良ひばり(あきら - )
漫画研究会の穏和で卑屈な部長。2年生。ボブヘアに三白眼のタレ目で、丸眼鏡にパーカー。作風は少女漫画寄りで内容も玄人はだし。虎ノ門一族が仕切っている生徒会に反抗する「ブルーな小鳥の会」なる集団の一員で、部活動を装いながら反生徒会のプロパガンダを制作しており、生徒会の扇動を受けた生徒たちから迫害されている。
秋良つぐみ
ひばりの双子の妹。2年生。顔立ちはひばりとよく似ているが、濃いめのそばかすがある。パーカーはドクロの柄入り。言動は荒っぽいがかわいいものに滅法弱く、作家として意外な才能を見せる悠一の「おさんぽネコちゃん」シリーズに陥落。姉妹そろって「猫田先生」とリスペクトしている。
碓氷峠是清(うすいとうげ これきよ)
ユーカリの葉学園・中等部の生徒会長。同職を代々務めている碓氷峠一族の嫡子で、学園の支配権を巡って虎ノ門一族を目の敵にしている。何らかの目的で千歳を娶ろうと淡々と策略を巡らせながらも何かと及ばない残念な面が目立つが、悪魔と契約しているなど底の知れない噛ませ犬。
ぬわちゃん
ユーカリの葉学園アイドル部のスーパーアイドル。明るく元気な女の子で体育館を使ったライヴ活動などを行っている。実はカキザワが作ったアンドロイドで、彼女のアイドル活動による収益はカキザワの研究資金となっている。アンドロイドである事を知らなかった猫田は、ぬわちゃんの体が上下に分かれるまで全く気づかなかった。
関係者
学園長
マスコットのような低頭身のおじいちゃん。お菓子はサク山チョコ次郎がお気に入り。ひみつクラブの活動は把握しており、学園長室の隣の物置を部室として与えている。
マリア
千歳と瓜二つの儚げな美少女。カキザワによって生み出された千歳のクローン、というかコピーで、デフォルメの顔イラストには前髪に「ク」の字が入っている。とあるミスによって千歳とは真逆の性格を持って生まれたため、謙虚で公正で礼儀正しい。ひみつクラブの助けを得て学園を抜け出した後は、新しい住まいで「マリア」と呼ばれて暮らしている。
セグウェイ
生物部部長の作とあって意思を持ち会話もするシンプルなデザインのセグウェイ。カキザワを主人としているが、なぜか千歳にもかしずいている。悠一の扱いはぞんざい。腰が低く腕っ節が強い。
たぬちゃん
図書室から続く学園の地下空間に住み着いていたらしい珍獣タヌキ。そのかわいさは他の追随を許さず、洗脳すら打ち破る。
アクマ
悪魔っぽい翼と尻尾に、尖った耳にスーツ姿の美人揃い。人間の魂を水晶玉のような形で取り出して喰らう存在だが、腹がふくれるわけではないのでしばしば市販のおやつを食べている。「サタン様」なる上役がいるらしく、毎年の誕生日プレゼントにはそれなりに気を遣っているらしい。
なんだかんだで悠一の魂を奪ってしまう事も多いが、彼の魂を手に取ったアクマは口を揃えてその美しさを讃えている。
リリー
オカルト研究会のサバトへ潜入したひみつクラブがうっかり呼び出したアクマ。まつげの豊かなぱっちり目は前髪で右目が隠れており、ツノには角輪が入っている。アクマたちの中ではやや小柄。魂を抜き取った相手はパチンコパチスロのことしか考えられなくなる。
旧校舎付近をうろついており、飢えてゴミ箱を漁っている様子を見かねた千歳からもらったおやつの“ごんじり”を気に入る。
ロッカ
映画部のスタジオに入り浸っているだけのアクマ。短髪にツリ目でツノはスマート。スーツは少し着崩している。女の子の魂を好み、魂を抜き取った相手はタワマンの住民にやっかむことしかできなくなる。
撮影のために校内で好き放題している映画部には「自分たちを唆す存在」と都合よく捉えられているが、特に気にしておらず、勝手に機材を使ってゲームに興じたりしている。
ルネ
千歳を娶ろうとする是清との3ヶ月間の契約に従って召喚されたアクマ。ストレートの長髪にタレ目で、ツノは短めの三角形。魂を抜き取った相手は小学生の頃に好きだった給食の献立以外の事を忘れてしまう。
是清との契約では対価として「ニンゲンの愚かさを詰め込んだエグめの書物」を週1で要求しており、契約が切れてからも闇金融を題材にした漫画を揃えて夢中で読み耽っている。
関連動画
『放課後ひみつクラブ』特別PV
『放課後ひみつクラブ』1周年および単行本第3巻の発売を記念して制作された、千歳がポップかつリズミカルに歌い上げるスペシャルなPV。合いの手を務める猫田くんを含めてCVは上田麗奈。
関連タグ・リンク
- 児玉まりあ文学集成… 三島芳治の漫画作品。文学部に入りたい笛田君と入部テストを繰り返す児玉さんが文学的掛け合いを繰り広げる対話劇。『放課後ひみつクラブ』読者には近い系統の作品として挙げられている。