日景典馬
ひかげてんま
「ーそういうのを全部ぶっ壊しに来たんでしょ。俺たちは」
日景典馬(ひかげ てんま)とは漫画『火ノ丸相撲』の登場人物。国宝の一振りであり、「大典太光世」の異名で呼ばれるライバル。
長身を生かした突き押しは作中でも最強とされている。土俵全てが彼の張り手の攻撃範囲と言われるほど。また、四つ相撲も突き押しほどではないが決して弱くはない様子。(組んでも国宝、と言われてはいたが大相撲編ではまだまだ荒削りとも言われている。突き押しに比べると不得手なのは確かなようである)
長い前髪の癖毛から時折鋭く暗い瞳を覗かせた力士。日本人離れした身長と手足の長さも相まって、初登場時は特にヒール然とした雰囲気が強かった。
実際、上昇志向が強く馴れ合いやぬるま湯を嫌う、ともすれば不遜に見えるような性格である。指導者やチームメイトに敬意を払っていないような面も散見され、主将の相沢亮からは殴られている。
特に自分の兄である現役大関・大景勝のことは「横綱刃皇に折れて大関に満足し、ここぞというところで勝てない力士」と嫌悪、反発していた。
しかし、火ノ丸との取り組みや兄の師である鈴々嶽親方、そして駿海とのやり取りを通じて少しずつ考えを改めていく。全国大会、大太刀高校と金沢北高校との一戦ではチームのエースとしての自覚を見せた。兄にも敬意を持って接し、関係性は回復している。
作中では「国宝の中では伸びしろは一番」と言われているが、単純な実力だけでなく精神面も一番伸びしろがあった力士と言えるだろう。第二部に入ってからは前髪を上げていることも相まって、初期とは別人のようである。
が、それでも捻くれた面は残っており、単行本のおまけでは国宝組内で最も人望がないことが判明してしまった(同時に、典馬自身も友達を作るために大相撲に入った訳じゃないと豪語し、鬼丸と数珠丸が5段階評価の上から2番目で、他は全員最悪である)。
ただし火ノ丸とは歴史好きで趣味が合い、本や漫画を貸し借りし合うなど普通に友達になっている様子。どちらもやや内向的で我が強いところがあるので気が合うのかもしれない。数珠丸とも(ぬるいと評しているが)同じぐらい仲が良い(数珠丸からも5段階評価の上から2番目だが、逆にこれは数珠丸においては一番低い)。冴ノ山とも仲が良いらしい。
沙田いわく「色々言う割には寂しがり屋ですぐ火ノ丸のところに行く」らしい。
兄を見下していたのは実は内心天王寺獅童に折れかかっている自分自身を投影していたため。 ではなぜ国宝ナンバー2の加納彰平には折れていなかったのか?と読者は疑問に思っていたが、「ナンバー1を目指す気概がない加納には今は実力で劣ろうが関係ない」という心理だったことが後に判明した。土俵に転がされた直後に、「俺、あんたのことを怖いと思ったことねえから」と言い捨てられた加納さんのメンタルが心配である。
大相撲での待ちに待った潮火ノ丸との取り組み(互いに公式戦では初顔)では鬼丸に引っ張られ修羅の相・無道になるも、水入りの際にかつての仲間そして兄の顔を見て我に帰る。その後は改めて横綱になる思いを確認し、雷神の相に輝かしい未来を象徴するかのような眩い光を纏わせた。対して鬼丸はドス黒い怨嗟の炎を燃やした。