修羅の相
いきかたをやどしたひとみ
「修羅の相」とは漫画『火ノ丸相撲』に登場する用語。相手を泣き所を見透かす眼力のことである。後に様々な亜種の「相」が登場した。それらについてもここで解説する。
相手の弱点を見抜き、それを突くという能力が覚醒すると「修羅の相」と呼ばれる状態になる。演出としては発動者の主に片方の瞳から墨のような筋が尾を引くことが特徴。ちなみに微量の墨が迸ることもあり、これは不完全な修羅の相だと考えられる。
「大相撲でも上位の方ではこのような目つきの力士がいる」とされており、高いレベルの力士にのみ発動する能力であると考えられる。実際に国宝はほぼ例外なく修羅の相を発動している。また所謂「国宝級」とされる力士やそれ以外の力士の中でも発動した者が何人かいる。
スポーツで言う「キラー・インスティンクト/殺し屋の本能」(実在する用語)と同義であると名塚景子は解説しており、「修羅」というネーミングや、「相手の光を消す相撲」というフレーズから、「相手の弱みを見抜き容赦なく攻め立てる」という悪役のような能力であることが分かる。キラー・インスティンクトについて詳しくはGoogle検索を推奨。
事実、この相を見せる時にはどのキャラも鬼気迫る表情を見せている。敗北の屈辱が一因となり覚醒した沙田美月、殺戮本能が武器と言われる潮火ノ丸、相手を塗り潰すことを横綱相撲と考える天王寺獅童のことを考えても、修羅の相とは「相手を絶対に打ち負かしてやる」というある種のどす黒い感情がトリガーとなっているのではないかと思われる。鬼丸や童子切のような闘気を走らせない強者である草薙・久世草介が未だ修羅の相を見せず、代わりに静謐の相を浮かべるのはそれが理由かもしれない。
成長に応じて「修羅の相」は様々な形に姿を変える。例えば天王寺獅童は修羅戦黒の相を見せた。これは眼から墨以上に黒い濁流のような闇を引き出す覚醒状態で、彼の「相手を塗り潰す」という相撲スタイルを反映している。他には鬼炎万丈の相、雷帝の相など多数亜種が存在する。(相によって眼から出すエレメントは変動) 横綱刃皇に至っては大量の相を持っており、二つの相を同時発動させている。中でも修羅戦黒の相は修羅とついており、相手の光を消すという点も共通しているので、修羅の相の純粋な進化系であると考えることもできる。逆に言えば他の相は修羅の相を基盤としつつもそこから分離して変形した進化系であるのかもしれない。
修羅の相を極めた一つの形として修羅の相・無道が存在する。この状態になると全身が濃い色に覆われ、眼から涙のように肌に流れた墨が禍々しく全身に刻まれる。 あくまで演出の一環かもしれないが、あるキャラの場合は一時的に全身が真っ黒に覆われるところまで行っている。刃皇曰く、「死にたがりの相」「誰しもが陥る道」「その先に未来はない」。未来を犠牲にしてでも目先の勝利に手を伸ばす暴走状態であり、闇堕ちのような扱いを受けている。しかしもちろん外道な行為や不正に走ったりするという意味ではなく、「焦燥」や「怨嗟」といった負の感情に飲み込まれ、自らの肉体を使い潰すような、死を恐れない捨て身の戦闘スタイルを指している。
刃皇自身も一時期「無道」になってたことがあり「無道」は強くもあるが制御なき無謀な蛮勇であり、強さを知り弱さを認めて受け入れる事で「無道」を制御することで、死を恐れてそれでも踏み込む覚悟が真の強さだと言っている。