概要
1971年から1976年にかけて制作された第1期シリーズ(要するに栄光の7人ライダー)から3~4年のブランクを置いた制作された2番目の時代。
仮面ライダーZXの3作品の総称。
「テレビシリーズが連続放送された時期」という定義ならばスカイライダーとスーパー1だけなのだが、この2作の終了直後から同じ制作スタッフが運動を始め、1年以上に渡る活動と、結果として初代ライダーからプロデューサーを勤めてきた平山亨プロデューサーが最後に担当したライダー作品である事からZXも基本的にはここにカテゴライズされる。
名称は「仮面ライダースペシャル」のDVD冊子や宣伝ポスターなどでは単に「第2期仮面ライダーシリーズ」であったが、やがて平成ライダーのシリーズが膨大化し、元号内だけで一期や二期を分け始めたのでこちらも元号をつけないと区別がつかなくなってしまうので頭に「昭和」がつくようになった。
略称は「昭和2期」、漢数字で「二期」と表記される事もあるが、まぁどちらでも良い。
空・宇宙・忍者の三部作である。
(ちなみに3期は更に数年の時を置いて製作陣がほぼ総入れ替えになったネットで大人気の黒いあいつである。
沿革
腸捻転解消騒動などによる放送時間やキー局移動に伴う時代の渦に飲み込まれ惜しくもストロンガーで一時的な完結を見た仮面ライダーシリーズだが、1977年の宇宙戦艦ヤマトの劇場版の大ヒットに端を発する「リバイバルブーム」が到来。往年の名作たちが再発掘され、更に海外では77年にスターウォーズが劇場にその姿を現し、結果として日本には特撮技術+リバイバルの機運が起こる。
人々の熱視線は自然の成り行きとして怪獣王ゴジラ、光のウルトラマン、そして仮面ライダーシリーズに注がれた。
毎日放送と東映特撮のタッグはストロンガー終了後に金曜夜の座を引き継いだ宇宙鉄人キョーダイン、大鉄人17の俗に言う鉄人二部作の視聴率が振るわず、一方で第1期シリーズの盛んな再放送やムック本の発売などが上記のリバイバルブームと合わせて復活を待ち望む声が大きくなっていた仮面ライダーシリーズの再開に舵を取る。
最終的に、かつて第1期シリーズを手がけていた平山亨プロデューサーが再び企画を担当し、再び物語が幕を上げたのである。
特徴
・平山P、大野剣友会の殺陣、菊池俊輔の音楽など、1期シリーズからほぼ据え置きの製作陣
・初代ライダーのために設立され、第1期シリーズを制作してきた東映生田スタジオから東京東映撮影所への移行
・飛行能力、状況によって切り替える多機能の5つの腕、忍者武器など、合成技術の発達に伴う様々な能力付与
・メイン層である児童層により近い目線で寄り添うお兄ちゃん的な主人像
など、現在へと繋がる要素へと数多く挑戦した時代でもあり、シリーズの裾野を大きく広げる事に成功した世代である。
各作品の軌跡
仮面ライダー(新)
1979年10月5日〜1980年10月10日放送。
事前リサーチで圧倒的な支持を得ていた初代ライダー、そして旧1号への原点回帰を掲げた作品。
更に独自要素として少年時代に襖と長い竹で"鳥人"になろうとしたという平山Pの空を飛ぶことへの夢・憧れと、1978年に公開されたスーパーマンの華麗な飛行シーンにインスパイアを受け、セイリングジャンプで「空を飛ぶ仮面ライダー」として登場する。
そして飛行能力でライダーの大事な要素であるバイクが形骸化しないように障害物を破壊する必殺技「ライダーブレイク」の2枚看板でスタートするも番組は苦戦し、当初は制作から退いていた1期シリーズのライダーを支えたもう一人のプロデューサーである阿部征司の参加と共に巻き返しを図る。
旧1号テイストで暗くなっていたスカイライダーの色を明るくし、セイリングジャンプとライダーブレイクの事実上の消滅、7人ライダーの本格参戦による8人ライダーワールドへの世界観の拡張、なぜかプロレス的投げ技がやたらと多い99の技、ハングライダークラブから喫茶店ブランカへの拠点の変更、がんがんじいを始めとする作風の陽性化は功を奏し、バラエティ豊かな人気番組として生まれ変わった。
2年目も検討されたが諸事情が合わさり一ヶ月延長の54話で番組は終了。バトンタッチで後を託す。
メインライターが途中で交代になるなどのトラブルはあったものの、主人公である筑波洋の子供達には近い目線で寄り添い、日々に鬱屈を抱える青年を懸命に励まし、怪人の魔の手から命懸けでダムを守った父親に敬意を評する優しく感情豊かなお兄ちゃん的キャラクター像は概ね一貫しており好評であった。
デビューしたての村上弘明の演技力の向上も見所の一つである。
仮面ライダースーパー1
1980年10月17日〜1981年9月26日放送。
最終的にバラエティ豊かな作風で人気は出たものの「原点回帰」に振り回されていた前作の流れを受け、明確な個性をこれでもかと盛っていったてんこ盛り作品である。
前作の劇場版の没案である「宇宙飛行士が変身するメカニック・ライダー」の仮面ライダーV9をベースに制作されており、更に宇宙開発の未来のために自ら進んで改造を受ける「改造の積極性」にアクションの方向性として「カンフーアクション」と「特殊能力の5つの手袋」を組み込んだ意欲作として誕生した。
スーパー1とはすなわち80年代という新世代の仮面ライダー第1号の意である。
それまでシリーズを支えてきた伊上勝の降板に伴って前作の終盤からメインライターを引き継いだ江連卓は「実際に少林拳を学んでいた」という異色の経歴の持ち主で、それによりカンフーアクションは赤心少林拳として再定義され、心と体を極限まで追い詰め修行で己を磨き怪人に打ち勝つという作風を生み出した。
最新鋭の5つの腕、ファイブハンドと古来伝承の拳法という明確な2つの看板を持ったスーパー1は前作を更に上回る大人気番組として躍進したのだが、現代に至るまでTBS局の編成都合としか紹介されない大人の事情の闇の塊により金曜夜のゴールデンから土曜の朝7時というローカル編成に吹っ飛ばされるという憂き目にあう。
土曜日も普通に小学校に登校していた当時、朝7時という時間帯では未就学児童レベルにターゲットを再設定せざるを得ず、日用品をモチーフにしたジンドグマ怪人やそれを追う子供たちの「ジュニアライダー隊」などに路線を変えるも時間帯の不利を覆すのは至難の業でありシリーズは終了。
編成の気まぐれにより当時掲げた新要素や梯子を外されまくった末の無念の最期であった。
間違いなく金の卵であったスーパー1、ひいては2期ライダーシリーズを締め殺したに等しいTBSの所業には現在もなお謎と批難が寄せられるが、その真意と理由は現在に至るまで明らかになっていない。
仮面ライダーZX
1982年8月15年活動開始
1984年1月3日テレビ特番放送。
スーパー1の上記の無念の最期にどうしても納得がいかなかったファンたちの願いが誕生させた10号ライダー。
ファンクラブの集いがやがて番組関係者をゲストに呼ぶほどの大規模運動に至り、その場で10号誕生を確約した勢いで企画が始まったという唯一無二の異色の経歴を持つ。
テレビへの放送は難しかったのでまずは遊園地のショーやライダーや怪人の着ぐるみを作り雑誌の特写撮影による連載で地道なドサまわりを積んできた苦労人であり、方々で成功を収めた成果となお収まらぬ人々の声によりテレビスペシャルで映像化に漕ぎつけたファンの愛情の偶像とでも呼ぶべき存在である。
主人公は前作スーパー1のメカニックライダーを更に受け継ぎ、忍者武器を矢継ぎ早に切り替える忍者サイボーグライダーというこれまた属性を盛りに盛った設定となった。
10号誕生の立役者は初代ライダーから10年以上作品を愛し続けた青年に差し掛かったファンたちの功労であるとして、当初はより年長向けのハードなストーリーも考案れていたが、媒体上そこまでのバッグボーンは必要としない事から雑誌やテレビ番組には面影が残る程度に留まる。
つまり1982年から始まった「仮面ライダーZX」という企画の最終章が1984年特番の「10号誕生!仮面ライダー全員集合!!」なのである。
この特番は平山亨の定年退職を記念した作品でもあり、9人ライダーの姿に村雨良が自分の生きる道を見つけるシリーズの総括に相応しい作品となった。