概要
『〈古典部〉シリーズ』作品の一つ「愚者のエンドロール」の登場人物。
作品本編には名前だけ登場する。
2年F組の女子生徒。
クラスで企画された文化祭の出し物である自主製作ミステリー映画の脚本を「漫画を描いたことがある」という理由で多数決により一任され、コナン・ドイルの推理小説『シャーロック・ホームズ』シリーズを参考にし、脚本を書き進めていた。脚本の執筆とともに撮影も順調に進んでいたが、本郷自身は結末の構想を持っていたものの、急病に倒れ療養生活に入ったために撮影が中断してしまう。
作品のお蔵入りも考えられるなか「女帝」の異名をとるクラスメイトの入須冬実が、1964年に起こった学園紛争の謎を解いた古典部の部員たち(特に折木奉太郎)に協力を依頼し、作成済の脚本や映像を基に、未完成となっている結末を推理し映画を完成させることを依頼した。
古典部部員たちは探偵役を買って出た2年F組の生徒たちの推理や、本郷本人が書いた脚本と参考に使用した小説のメモ、トリックの小道具をもとに推理を組み立てていく。最終的に入須が奉太郎の導き出した「本郷が描きたかった結末」を採用し完成する。しかし、奉太郎と共に推理を組み立てていた福部里志、伊原摩耶花、千反田えるは、ほとんど矛盾のない結末の面白さは認めつつも、口を揃えて「本郷の真意にそぐわない」と奉太郎に告げるのだった。
作品中のキーパーソンでありながら本人は一切登場せず、彼女自身についてほとんど触れられることはないが、親友の江波倉子によれば「生真面目で責任感が強く、馬鹿みたいに優しく、脆い」と語られている。えるもクラスメイトの話を聞いて「気の弱い人間」という印象を抱き、それをきっかけに「療養中ということを考慮しても、クラスメイトの誰も本人から結末を聞き出すことができない事情とは何なのか」と奉太郎に疑問を呈している。
アニメ「愚者のエンドロール」最終盤では入須とのパソコン通信を起点にして登場、奉太郎の姉・供恵とも会話を交わし、当初の構想とはちがう映画ではあるが完成を素直に喜んでいる。