概要
『怪奇大作戦』第13話。1968年12月8日放送。
脚本:若槻文三
監督:安藤達己
特殊技術:高野宏一
「科学の発達とそれに伴う犠牲」という、「故郷は地球」にも通じるテーマで、技術発展のために犠牲となった男の末路を描く。
あらすじ
とあるビルの中にあった水槽のような箱が突然動き、中から何者かが現れた。
それはビルの見回りをしていた警備員に青白い手を伸ばして殺害し、倒れている警備員を見た女性がそれを見て悲鳴を上げる。悲鳴を聞いた何者かは闇へと逃げていった。
それは全身が凍り付いた一人の男だった。
町田警部の依頼で、変死体の検視を行っていたSRIは、被害者の首に凍傷らしき痕があるのを発見。また犯人の体から剥がれ落ちたとされる皮膚組織もあった。
一方、凍り付いた男はとある民家の近くを訪れていた。表札を見た男は、ここが今朝自分が出た時とあまりにも変わっている事に驚く。
家の中からは見知らぬ女が出て来た。近づいてきた男を見た女が悲鳴を上げたため、男は立ち去った。
男が目覚めたビルの中の部屋では、加瀬という科学者が油をまいて火をつけていた。同僚の島村が止めに入るが、管理人が殺された今、次は自分たちが殺されるのを恐れて証拠隠滅を図ったのだった。
そしてこの資料を整理して完璧なものに仕上げれば、自分たちには輝ける栄光が待っていると加瀬は語った。
実験室に移動した二人は、「自分たちのアイディアを試すためにはほかに方法がなかった」「あの男は尊い犠牲」と話す。
すると警備員が現れる。凍り付いた何かをはがすような音を聞いたという話を聞いた島村は、冷凍人間が生きていたのだと怯え始める。
凍り付いた男こと冷凍人間は窓から彼らの会話を聞いていた。
駅のベンチで気分が悪そうにしているその男に、声をかけて来たのが加瀬だった。
「どうです?一日だけ蒸発してみませんか?」
男はサラリーマンのしがない抵抗だと、加瀬の提案を受け入れたのだった。
窓の外に気配を感じ、窓に水滴がついている事に気付いた島村。加瀬は実験成功を感じ、冷凍人間の捕獲を試みた。
そのころ、SRIでは牧史郎が液体空気で金魚を凍らせる組成実験を行っていた。大学教授から宇宙開発のために人間を冷凍させ、組成させる研究がされていることを知った牧は、犯人は「冷凍人間」ではないかと考えた。
被害者がビルの管理人であることを突き止めると、牧と町田はビルに向かうがすでにビルは加瀬によって燃やされた後だった。
話をしている二人に冷凍人間が接近。もみ合いの末、冷凍人間は逃げていったが、冷凍人間に捕まれた町田の腕は凍傷のように青白く変色していた。冷凍人間の実在を確信する牧。
加瀬たちのもとに、再び冷凍人間が出現した。捕まえようとした島村が殺される。
冷凍人間が最初に現れた民家に再び現れた通報を受け、駆けつけた牧は、その家に7年前暮らしていた岡崎という男がある日突然失踪している事を知る。
冷凍人間は加瀬達に騙されて冷凍冬眠の実験台にされた後に7年の眠りから目覚め、かつての自分の家に帰ってきた岡崎のなれの果てだった。
加瀬を殺そうとビルの研究所を訪ねた冷凍人間だったが、冷凍人間を見た加瀬は良く帰って来たと抱き着いてきた。加瀬はもはや正気ではなかった。
冷凍人間は黙ってその場を後にする。
岡崎が再びかつての家に戻ってくることを察知した牧は、家の周囲に警官隊を配備させる。現れた岡崎に警官隊は発砲するが通用しない。
やむを得ず、SRI開発の大型光線銃「サンビーム500」を発射。冷凍人間は全身が燃え上がり、絶命した。
「可哀想に。あの男はすでに7年前に殺されていたんだ。いや、7年の間氷の死刑台で殺され続けていたんだ。狂った執行人によって……」
燃え上がる冷凍人間・岡崎を見つめながら牧はそう呟いた。
余談
武装するSRI
初期設定では「ケミカルメース」という護身用の拳銃型薬剤噴射機を持っていたSRIだったが、本編では使われることはなく本話で登場する「サンビーム500」だけが唯一の武装となった。
曲がりなりにも薬剤噴射機であるケミカルメースとは違い明確な兵器であり、民間組織であるSRIがいかなる理由で所持が認められたかは不明。ただし使用には許可がいる様子。
ゲスト出演
冷凍人間を発明した狂科学者・加瀬は宇宙刑事シリーズでおなじみ西沢利明。島村役は『がんばれ!!ロボコン』の小川太郎(パパ)役などで知られる住吉正博。
冷凍人間・岡崎は真弓田一夫が演じた。
関連タグ
特捜ロボジャンパーソン:第6話のエピソードは同じく冷凍能力を得た人間が悲しい最期を迎えるという展開になっている。