小野不由美の小説『十二国記』の登場人物。描写されている原作作品は『白銀の墟_玄の月』。戴国の人物。
概要
天三道の道観、石林観の主座を務める女道士。道観を純粋な修行の場とする石林観の流儀と、とある事情で他派道観と確執があり、瑞雲観とも関係が途絶しているが、里を出奔し頼ってきた回生を保護してくれるなど、沐雨自身は信仰心の厚い、たいへん立派な人物として知られている。美しく老いた姿をしているが、年のせいか足腰が弱っている。
以下、「白銀の墟_玄の月」のネタバレを含みます。
元は朱旌(旅芸人や商売をしながら諸国を巡る浮民。黄朱の民とも呼ぶ)で、物心つく前に宰領(おやかた)に売られ、舞妓(おどりこ)として育った。けれども身体を壊し、旅を続けられなくなり、心ある宰領が辿ってくれた伝のおかげで、石林観の末寺に預けられ、療養の末、道士になった。その経緯から今も朱旌と深い繋がりがあり、情報収集能力に長けている。
『玄管』と呼ばれる謎の人物から、新王阿選の情報をいち早く知らされるが、沐雨本人は懐疑的に思っており、李斎らに“信じない方が良い”と知らせてくれた。
かつて、沐雨は“誅伐の危険があるため瑞雲観を止めた方が良い”との旨を玄管から受け取っていたが、その情報を知っていたせいで、逆に阿選側と通じているのではと誤解され、それが石林観と他派同観との関係が途絶する原因になってしまった。
しかし玄筒から届けられる情報はどれも正確なものであった。そのため、「新王阿選」の噂も、玄管から『怪しい』との情報を受け取っていた沐雨は“何者かの欺瞞”として疑っていた。