泰山府君
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たいざんふくん
道教における泰山の神、冥土の主神。日本に伝わって陰陽道の主神となった。
本来は中国東部にある名山にして聖地、泰山そのものの神を指す。泰山は皇帝が封禅を行って天地に報告を行う聖地であり、また死者の霊魂が集う地ともされた。それゆえ道教では、泰山府君とは人の生死を司り、また死後に亡者をその罪に従って裁く神とされた。
中国では仏教の十王信仰と習合し、十王信仰の立場では、閻魔大王の部下である泰山王ともなった。また道教では、北方に羅鄷都(らほうと)なる死者の街があるという信仰が生まれ、後に四川省にその入口があるとされるようになる。この街にて死者を裁くのが鄷都大帝という神である。鄷都大帝を奉じる立場では、泰山府君はその臣下で羅鄷都に死者を中継して送る役割を果たしているとされるようにもなった。もちろん、泰山信仰では、泰山府君を他の神の部下と見なさず、人の生死とあの世を共に司る偉大な神と見なす。こういった立場では、泰山府君(太山府君と書くことが多いらしい)を東嶽大帝とも呼ぶ。かくして中国のあの世観では、泰山府君(東嶽大帝)・鄷都大帝・十王信仰が並列している。
日本では特に陰陽道において重視され、泰山府君祭にて祀る神とされている。生命を左右する冥府の王とされていたので、病気平癒・長寿延命を祈って盛んにまつられた(「陰陽師」『世界大百科事典』)。また、須佐之男と同一の神格とされている(『大辞林 第三版』)。神仏習合によって、十王信仰が取り入れられて泰山王とも呼ばれ、閻魔大王の部下とされたり、閻魔大王と同一視されるようにもなった。この考え方では閻魔と同じく地蔵菩薩の化身とされ、本地は阿弥陀如来とされる。
また、天台宗においては赤山禅院で祀られる赤山明神とも同一とされており、毎年端午の節句に泰山府君祭端午大護摩供が行われている。
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