「鬼滅の刃」に登場する、煉獄杏寿郎と猗窩座のBLカップリング。
炎柱×上弦の参。
煉獄は鬼殺隊の炎柱、猗窩座は十二鬼月の上弦の参。それぞれ敵対する組織の幹部。
無限列車と融合した魘夢との戦いののち、二人は遭遇する。当時猗窩座はその場に居た竈門炭治郎を真っ先に始末しにかかるが、煉獄がこれを阻止すべく対峙したことで二人は戦闘を開始する。
以下ネタバレ注意↓
■称賛と勧誘
猗窩座の攻撃対象は一貫して煉獄ただ一人。煉獄との戦闘前に炭治郎を始末しようとした理由も、自分と煉獄の「話の邪魔になるかと思った」から。
猗窩座は煉獄の練り上げられた闘気を「至高の領域に近い」と絶賛。「お前も鬼にならないか?」と誘い、命の獲り合いのさなかにおいて幾度も煉獄を褒め称え、その強さを認めた。
■矛盾と願望
猗窩座は「鬼にならないなら殺す」と宣言し「死んでくれ杏寿郎 若く強いまま」とまで言い放つ。その反面、自ら深手を負わせた上で煉獄の命、強さが失われることをいたく惜しみ、真摯に「杏寿郎死ぬな」と語り掛けた。
同族(鬼)であれば殺す必要はない。猗窩座は煉獄を死の淵まで追い詰めながらも煉獄が生きることを望んだ。
■対話と死闘
戦闘中でありながら両者はよく言葉を交わした。先に名乗った煉獄に対し猗窩座は「杏寿郎」と呼び掛け、煉獄は猗窩座を「君」と称した。視線を合わさず会話をすることもある煉獄が、猗窩座とは始終視線を合わせていた。
また猗窩座が叫んだ「お前は選ばれし強き者なのだ」という台詞によって煉獄は母の言葉を思い出している。猗窩座が語り掛けた言葉が煉獄に火を付けた結果、みぞおちを腕で貫かれながらも猗窩座の頚に刃を食い込ませるに至る。
鬼を殺す方法は基本的には陽光で焼き殺すか頚を斬るかのいずれかである。戦闘の最中に夜が明け始め、猗窩座はその場から逃げようとした。それに対して煉獄は瀕死の状態でありながら陽光に頼らず、自らの手で猗窩座の頚を斬り落とすべく死力を尽くし「絶対に放さん」と心を奮い立たせて組み合った。
■余談
「放」という漢字には「逃がす・手放す・束縛を解く」という意味がある。
単に距離や分離の意味を表す「離」の字ではなく「放」の字を使った「絶対に放さん」という台詞には、猗窩座の頚を斬り落とすことにかける煉獄の執念が表れている。
煉獄が鬼に向かって「君」と呼ぶのは、作中では猗窩座のみである。(他の鬼に対しては、「お前」呼びである。)
両者は言葉と刃と拳で語り合った。他者が介入不可な激しい命の遣り取りの中で、煉獄の未知なる強さに惹かれた猗窩座は煉獄と永遠に戦うことを望み、掛けられた言葉を正面から受け止め続けた煉獄はひたすらに猗窩座の頚を狙った。形は違えど求め合った二人の戦いは煉獄の死という結末となったが、煉猗窩のカップリングを推す者にとってはそれが煉猗窩の幕開けであり夜明けの出来事であった。