概要
「鬼滅の刃」に登場する、冨岡義勇と竈門炭治郎のBLカップリング。
義勇は21歳、炭治郎は15歳。
両名ともに鬼殺隊に所属しており、義勇は"柱"である。
また、二人とも鱗滝左近次を師とした水の呼吸の使い手で、同門の兄弟子と弟弟子にあたる。
二人の出会いは第一話で竈門一家が鬼に襲撃された際、討伐に駆けつけて来た鬼殺隊士が義勇であったことによる。柱は警備担当地区が広大で多忙であり、義勇は竈門一家の惨殺阻止には間に合わなかったが、鬼化したばかりの禰豆子に襲われていた炭治郎は義勇に助けられる。
その際土下座で鬼化した妹の命乞いをした炭治郎に、義勇が「生殺与奪の権を他人に握らせるな!!」等この世のことわり・怒り・覚悟の仕方を教え、竈門兄妹を信じ水の呼吸の師匠である鱗滝に紹介するなど、メンタル・フィジカルともに強く生きるきっかけを与えた最初の人物であり命の恩人、という関係。
本編での関わり
義勇は那田蜘蛛山での十二鬼月累との戦いにおいても炭治郎の窮地を救い、その後の禰豆子を殺害するか否かの柱合裁判に至っても、炭治郎を締め上げる伊黒から守ったり、不死川を始めとした炭治郎と禰豆子の存在を拒絶する柱と対峙したり、鱗滝とともに自らの切腹をかけて二人を庇う手紙を当主の産屋敷に送っていたことが判明するなど、無口で不愛想なため分かりづらいが竈門兄妹のことをずっと見守っていた。
蝶屋敷を出た後、柱である義勇と新人隊士である炭治郎は役職の違いから共通任務に赴く機会はなかったが、炭治郎は義勇に手紙を送り続けている様子である。
なお義勇からの返事はない(単行本13巻参照)
15巻では柱稽古に参加しない義勇に炭治郎が四六時中つきまとい、真意を聞き出したことで距離が縮まったのか「炭治郎」「義勇さん」と名前で呼び合うようになっている。
二人が同じ心の傷を持っていることに炭治郎が気付き、義勇も心を開いたため、以降は顕著に二人の関係性は遠くから守る人、守られる人ではなく、まだまだ義勇が補う形ではあるが共に戦い、背中を預けられる関係に変化している。新たな呼吸を編み出したとはいえ水の呼吸を基礎として学んでいる炭治郎と水の柱である義勇は戦闘面での相性も良い。
初めて会った時からは想像もできないが義勇は天然ボケな面があり、炭治郎もそれに便乗してボケるため、二人だけの場面では深刻なツッコミ不足となることがある。
上記の通り戦闘面で相性の良い二人だが、性格面でも相性は良いのかもしれない。
無限城編<猗窩座戦での共闘>
上弦の参猗窩座との戦いで初めて共闘した際には、執拗に炭治郎の命を狙う猗窩座に対し義勇は
「炭治郎を殺したければまず俺を倒せ…!!」と凄まじい形相で威嚇。
-もう二度と、目の前で大切な存在を死なせはしない…-
義勇は『炭治郎は俺が守る』と心に誓い、満身創痍になりながらも身を挺して守ろうとした。
この時炭治郎は気絶していたため義勇の叫びは聴こえていなかったが、義勇にとって炭治郎がいかに守るべき大切な存在であるかということが伝わる名シーンとなった。
そして猗窩座消滅後には炭治郎を介抱し怪我の具合を気遣うなど、不愛想ながらも弟弟子へのさり気ない優しさも垣間見せた。
また、一度隊服を脱がさなければ処置できない炭治郎の左上腕部位の傷の止血を本人の気絶中に施していたり、炭治郎覚醒後は自身の傷口(恐らくこの時義勇は自分の怪我の処置を後回しにして炭治郎の手当てを優先的に行なったと考えられる)を火で炙った刀で焼きながら「まだ出血が止まらないようなら焼くから脱いでこっちに来い」という発言をしたりと、とにかく義勇側からの接触・感情の発露が多く、何かと界隈を震撼させた対猗窩座戦であった。
物語序盤では別行動が多かったこともあり様々な面で距離感のあった義勇と炭治郎だったが、猗窩座との戦いで肩を並べて戦ったことで互いの信頼関係は強固なものとなっていった。
無惨との最終決戦
猗窩座戦終了後、体力が回復し先を急ぐ義勇と炭治郎の前に突如敵の首領である無惨が現れ、二人は不意をつかれる形で仲間達と合流できないまま戦うことになってしまう。
無惨への憎しみで感情的になる炭治郎。
しかし義勇は落ちつくよう制し、自分も込み上げる無惨への憎しみを抑えながら、冷静さを欠かないよう言い聞かせた。
その後、互いに奮闘するも無惨に攻撃が届くことは無く、炭治郎は片目を斬られ負傷してしまう。
義勇は一瞬動揺してしまうが、その後壁に頭を強打した炭治郎を素早く抱えて助け猗窩座戦の時同様炭治郎の危機に素早く反応し救出。炭治郎も無惨をわざと自分に引きつけることで義勇の命を守ろうとした。
無限城が崩落し決戦の場が市街地に移った後は、無惨の血毒で瀕死状態に陥った炭治郎を義勇が村田に預けたことにより炭治郎は一命を取り留めたが、その後無惨の反撃により義勇は右腕は切断され出血多量で意識を失ってしまう。
辛うじて命は取り留めたもののもはや戦場復帰は絶望的と思われたが、義勇は無惨との戦いが終盤を迎えた第199話で思わぬ形で再登場する。
無惨から放たれた衝撃波により炭治郎は左腕を吹き飛ばされ、さらに重傷を負ってしまうがそれでもくらいつき、無惨の腹部に突き刺した日輪刀を右腕のみで赫刀化させようとするが片腕となり失血したことで熱量が足りず、日輪刀は赫く染まらない。
その時、長らく戦線離脱していた義勇が現れ後ろから炭治郎の体を支え二人の残った左腕と右腕で日輪刀を強く握り締めたことにより赫刀が発動。
追い詰められ、異形の姿へと変貌した無惨に致命的なダメージを与えた。
この時赫刀できたのは、それぞれ片腕を欠損した両者が互いの欠けた部分を補うように重なり合ったことで『一人の剣士』となり、握り締めた日輪刀の柄の温度が急上昇したこと、そして二人が痣持ちであったからであると思われる。
ちなみにこの場面は少年漫画らしい鬼気迫る熱い場面なのだが、この義勇と炭治郎が寄り添って一つの刀を握る様子がある光景を彷彿させたことから、本誌のネタバレが解禁された日にはネット上が一時騒然となり、全国の義炭ファンが大いに歓喜した、ある意味伝説の回となった。
無惨に致命傷を与えたのも束の間、無惨は日の光から自身の身を守るため肥大化し巨大な赤子へと姿を変える。その際、二人共それに吸収されると感づいた炭治郎は義勇を巻き込まないよう後方へ弾き飛ばした。
手を伸ばし炭治郎の名を叫ぶ義勇の声も虚しく、炭治郎は無惨の体内に飲み込まれてしまう。
炭治郎が消えたのち仲間達の必死の総攻撃により無惨の肉体は朝日を浴びて消滅したが、無惨の内部に取り込まれていた炭治郎は顔を伏せたまま絶命していた。
「炭治郎はどこだ…」
「炭治郎は無事か」
義勇は自身も瀕死の重症にもかかわらず周囲の静止を振り切り無我夢中で炭治郎を探し、呼吸が完全に止まっているその姿を見つけ愕然とする。
急いで駆け寄るが、炭治郎が顔を上げることはなかった。
かつて炭治郎が自分に向けてくれていた無垢な笑顔を思い出し、目から大粒の涙を流す義勇。
「また守れなかった」
「俺は守られてばかりだ」
「すまない…」
そう嘆きながら炭治郎の手に触れ、守りきれなかったことを悔い許しを乞った。
するとその直後、無惨の最期の足掻きにより強制的に鬼に変えられてしまった炭治郎が暴走し、周囲の仲間達を次々と襲撃し始めた。
無惨から力の全てを託され、完全に自我を失くした炭治郎。もはや炭治郎が人間に戻ることはないと悟った義勇は柱としての務めを果たすため、慈悲の涙を流しながら鬼の炭治郎を自らの手で葬ることを決意する。
「人を殺す前に炭治郎を殺せ‼︎」
頼む このまま 炭治郎のまま死んでくれ…!
それは、鬼化により自我を失ってしまった炭治郎が人を害する前にと、心優しい炭治郎の人間としての尊厳を守るために義勇が下した苦渋の決断だった。
結果的に炭治郎は無惨の意志を拒絶し人間に戻ることができたが、仲間達の協力で状況が好転しなければ義勇によって鬼の炭治郎が滅せられるという最悪の結末を迎えたかもしれない程の急転直下の出来事となった。
過去に起きた悲惨な出来事により心を閉ざしていた義勇がこれほどまでに人間らしい感情を取り戻せたのは、
ほかならぬ炭治郎との出会いがあったからこそである。
炭治郎が死んだと理解した瞬間に義勇の目から溢れ出た涙、記憶の中の炭治郎の笑顔…
この最終決戦においても、義勇にとって炭治郎がかけがえのない存在であるということが改めて証明された形となり、
こうして無惨との長きに渡る戦いに終止符が打たれた。
終結後は蝶屋敷での療養を経て再会。
屋敷の廊下で鱗滝と話をしている義勇に炭治郎と禰豆子が駆け寄り、四人で再会を喜び合った。
戦いの末にようやく本来の笑顔を取り戻した義勇は、自分に笑顔を向ける炭治郎に優しく微笑んでいる。
その後、鬼滅の刃ファンブック第二弾で描かれた炭治郎達のその後の物語を描いた短編漫画では、義勇と炭治郎は文を送り合い互いの近況報告を続けていたことがわかった。
義勇からの文は送られてくる度に段々と文面が変化し、昔のように自分を恥じたり責めるようなことを言わなくなったことから炭治郎は義勇の心が穏やかになっていることを実感し、そのことを嬉しいと感じている。
離れていてもそれぞれ幸せに暮らし、義勇と炭治郎の絆は繋がり続けていたのだった。
◆無惨討伐後に竈門兄妹と伊之助と同居することになった善逸が余生で書き始めた自伝である
「善逸伝」には義勇が度々登場しており、善逸から激しく嫉妬されるほど竈門家とはとても濃ゆい交流が続いていたことが判明している。
(鬼滅の刃原画展で明かされた詳細より)
アニメでの追加シーン
アニメ一期最終話にあたる第26話(原作7巻収録・第53話)において、
新たなる任務へと出発する為これまで世話になった蝶屋敷の人々を中心に別れを告げて明るく旅立っていく炭治郎の姿が描かれたがそこにアニメオリジナルシーンとして見送りに顔を出す義勇のシーンが追加され義勇が炭治郎の修行の進捗状況を把握しておりおそらく激励に来たであろうこと、そして炭治郎が出会ってからここまで義勇が文字通り命がけで自分を信じてくれていたことについて感極まり瞳を潤ませるシーンが描かれている。
「冨岡さん、禰豆子のこと、ありがとうございました。
命を懸けていてくれたなんて、俺、知らなくて、
どう感謝を伝えたらいいのか…。」
炭治郎から義勇への信頼、義勇が炭治郎を気にかけているという描写(そして原作15巻に描かれる義勇の思惑に繋がる布石)が強くなっている。
それに対し義勇は顔を背けたまま「礼なら、仕事で返せばいい」と言って立ち去るが、
頑なに他者と距離をおき続けてきた義勇が、わざわざ見送りに来たということが驚きであり、
原作では無かった二人の関係の変化を窺わせる、貴重な一場面となった。
再放送特別版大正コソコソ噂話
劇場版地上波初放送を記念して再放送された鬼滅の刃第一夜「兄妹の絆」終了後の特別版<冨岡義勇の大正コソコソ噂話>では、炭治郎が雪山での出会い以降会っていなかった義勇と再会し、雪山で自分達兄妹を導いてくれたことへの感謝の気持ちを伝えるというアニメ最終回でのやりとりを彷彿とさせる会話をしている。
「雪山ではありがとうございました。俺と禰豆子のことを冨岡さんが信じてくれなかったら、俺達は…。」
義勇は「感謝などする必要はない。俺は俺のやるべきことをやった。
お前も、今やれることをひたむきにやればいい。」
と、素っ気なくも優しさの籠った言葉で返し、炭治郎を励ました。
この時炭治郎は義勇のことを命の恩人であり俺の兄弟子にあたるんだなぁ…と嬉しそうに禰豆子に語っている。
◆同じく立志編再放送<那田蜘蛛山編>で新たに制作された大正コソコソ噂話では、炭治郎が義勇の好物が鮭大根で、鮭大根を目の前にした途端に笑顔になると聞き手作りした鮭大根を持参して義勇を笑わせようとする。
鮭大根を受け取った義勇はいつもと変わらず無表情でそれを見つめていたが、最後に視聴者にメッセージを伝える炭治郎と禰豆子、しのぶに見えないように背を向けてもぐもぐと美味しそうに食べており、頬を少し赤らめながらニコリと微笑んでいた。
余談
鬼滅の刃公式ラジオで炭治郎の担当声優はベテランの義勇の担当声優に収録現場で演技指導を受ける機会が多いということを明かしており、
その様子はまさに自分は義勇(義勇の担当声優)の継子状態であると語っている。
炭治郎の諸事情により本編で水柱を継承する者、受け継ぐ者としての義勇と炭治郎を見ることはできなかったが、現実の世界ではそれを思わせるような関係が築かれていたという事実が微笑ましい。
キメツ学園での関わり
鬼滅の刃のスピンオフ作品である【キメツ学園】では二人は「教師」と「生徒」という関係になっている。
義勇はスパルタ体育教師(兼風紀指導員)という設定で、意地でもピアスを外そうとしない炭治郎他善逸、伊之助を日々叱責しスパルタ指導を行っているのだが、彼は実は竈門家が経営する竈門ベーカリーの常連客である(そのため彼がいつも階段でぼっち飯をする時に食べている昼食はほとんど炭治郎の手作りパン……だと思われるが、市販のぶどうパンも好んで食べているのを目撃されている)
炭治郎とは学園に入学する以前からの知り合いらしいがどのような関わりがあったのかは不明。
それもあってか、周囲に音痴だと酷評される炭治郎の歌声にただ一人感動し応援団扇を手に涙を流すなど、炭治郎に対しては指導者としての立場以外の思い入れがあるようだ。
◆小説版「風の道しるべ」の「ミッドナイト・パレード」の話では、炭治郎が学園で噂される夜の会談話の真相を確かめるため義勇に同行してもらえるよう頼んでいたらしく、他の教師達には相談していないことから義勇は昔からの知り合いということもあり炭治郎が気軽に相談事が言える相手なのかもしれない。(善逸と伊之助も参加していたが同行を頼んだのはおそらく炭治郎だと思われる)
◆アニメ鬼滅の刃弐周年記念イベントで公開された<キメツ学園物語バレンタインデー編>のショートアニメでは、善逸からのモテるにはどうすればいいかという質問に対し目を見開きながら「目と目で見つめ合えば気持ちは伝わる」と持論を力説する義勇を見て何故か炭治郎がポッと顔を赤くするという意味深なアニメオリジナル要素が追加されている。
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