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玉梓

たまずさ

『南総里見八犬伝』に登場する人物。 その名前は、手紙・消息、使者を意味し、カラスウリの別名でもある。
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概要編集

物語の発端に登場する傾国の美女

安房国滝田城主・神余光弘の愛妾であったが、彼女の機嫌一つで立身出世の如何が決まるという、腐敗した政がまかり通っていた。

更に神余に重用され悪政を行う山下定包とも密通しており、神余が定包によって謀殺された後、定包の正妻となった。


留まるところを知らぬ定包の悪行を憂いた里見義実により、定包は討伐され、玉梓は捕らえられる。

弁明と美貌によって一度は助命を約束されるが、「定包に次ぐ逆賊」と指弾した金碗八郎の言に従いこれを翻した義実に対し「児孫まで、畜生道に導きて、この世からなる煩悩の、犬となさん」と呪詛の言葉を残して処刑された。

その怨恨は怨霊となり、後に里見家に仇なすことになる。


年月を経て、玉梓の怨霊は一匹の雌狸に姿を変える。

そして親を失った子犬に乳を与えて養育し、子犬は後に里見家に引き取られた。それこそが八房であり、成長して後、義実の娘・伏姫の寵愛を受ける事となる。

狸の異名は「玉面(ぎょくめん)」で、和訓にすると「たまつら」となり「玉梓」に通じる。また「狸」という字はけものへんに里、すなわち里見の犬となる事を暗示している。


伏姫は後に約定によって八房を夫に迎える事となり、里見家を畜生道に落とすという玉梓の呪いは成就するが、同時に八犬士誕生のきっかけともなる。

伏姫を八犬士の「光の母」とするならば、玉梓は「闇の母」と表現する事も可能である。


派生作品編集

人形劇『新八犬伝』編集

1973年4月2日~1975年3月28日にNHKで放送された人形劇。人形制作は辻村ジュサブロー。

「我こそは玉梓が怨霊」と言いながら、文楽のガブを模したギミックで口が耳まで裂ける様は、当時の子供達にトラウマを与えたという。

映画『里見八犬伝』編集

演:夏木マリ

安房国蟇田城主・蟇田定包(ひきたさだかね)を篭絡し、酒池肉林と暴虐の限りを尽くさせた毒婦。民の苦しみを聞き届けた里見義実により討ち取られるも、呪いの言葉を放って我が子らと共に炎の中に消えた。

100年後、悪神・御霊様によって妖怪として蘇った玉梓は、息子の素藤(もとふじ)と共に闇の軍団を結成、里見家を攻め滅ぼす。ただ一人落ち延びた静姫を捕らえて御霊様への生贄にしようとするが、星の導きの下に八犬士が参集。彼らの犠牲によって軍団は壊滅、自らも静姫の放った光の矢によって滅せられた。

実は八犬士の犬江親兵衛は前世における次男。我が子として迎え入れようとするも反発され、素藤によって殺された親兵衛に狂乱して縋りつくなど、母としての想いは存在していた。

血を浴びる事で凄艶な美貌を保っており、劇中では顔に大火傷を負うも血の風呂に身を沈めて回復している。この時の夏木マリの美事なヌードは必見。


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