概要
東方Projectに登場するアリス(通称ロリス)またはアリス・マーガトロイドがヤンデレと化した様子である。
今日の「アリス」であるアリス・マーガトロイドは、お祭りの際は人里でその手による人形を用いた人形劇を披露したり、あるいは住まいである魔法の森に迷い込んだ者にはその寝床を貸し与えるなど、他者に対して開かれている様子が見られる。
勝負を挑まれればこれによく応じ、相手の力量に合わせて器用に自らの力を調節するなど、相手を目ざとく洞察することもある。
しかし平素は他人にあまり関心を示さず自宅で魔法研究にいそしむなどの姿もアリスの日々の一端でもあり、アリスにまつわる二次創作ではこの点をしてアリスは人間関係に不器用であると考えられる事もある。
不器用さと特定の他者への深い愛情が重なった時、そのアンバランスさをして「ヤンデレ」へと至るというのも「病みアリス」のストーリーの一例である。
pixivでは「病みアリス」の愛情が注がれる対象として、閲覧者である「あなた」の他二次創作などでアリスと関係深く描かれることの多い霧雨魔理沙やパチュリー・ノーレッジなどが描かれる事も多い。
ただしその世界観の表現するところは大多数がR-18に指定されており、R-18の意味するところも、年齢的観点からの精神的ショックへの耐性の度合いへの配慮というニュアンスを含む様子である。
「東方ヤンデレ」全般がそうであるように、「病みアリス」もまた閲覧の際は注意を要する場合も多い。
魔法の森はその日は異様にざわめく薄暗さの中にあった。
迷い込んだ「あなた」は息をするたびに茸の胞子に呼吸器を撫で触られ、暗い森の中、人ならざる者たちの気配に怯え心をかき乱され往く道も帰り道も見失った。
やがてほうほうの体で人の家らしきぼんやりとした明かりを見つけた時、「あなた」の心は一瞬でその光に惹かれることだろう。
門が叩かれることを彼女はよく分かっている。
縋るようなノックにどう応え、それからどのように振舞うかも、全てその意図の中にある。
そして自身の応え方によって震える「あなた」がどのように心を動かすかもまた、彼女の手中のものなのだ。
深い闇にその精神をすり減らし、やがて見つけたあたたかい安堵の場所は、目には見えない、乙女の魔法の糸が導く終着点である。
繰り操られ迎えられたこの洋館こそ、「あなた」がこれから大切に保管されてゆく場所なのだ。
彼女は心のうちで怒涛のごとく渦巻く愛情と期待と狂気とをひと時器用にいなし、普段の冷静さを装い整えつつも、隠しきれない喜びも僅かににじませながら、「あなた」との間を隔てる最後の扉を静かに開く。
かつて抱きしめていたグリモワールは、今でもアリスの胸に抱きしめられている。
そしてこれからはその文字の一つ一つに、「あなた」の魂が丁寧に刻み込まれてゆくことだろう。