概要
青森県上北郡野辺地地方では「ヘェサン」ともいわれる青森県、岩手県の伝承に伝わる妖怪あるいは魔物の一種。
生物学的常識の範疇を遥かに越える年齢を重ねた動物たちが変化し妖術などを身に付けた存在で、猿や狼、雄鶏、変わり所では鱈といった様々な種類が存在している。
主な経立
※あくまでも例の1つであり、これ以外にも様々な経立の話が伝わっている。
猿の経立
体毛を松脂(漆とも)と砂で鎧の様に固めて銃弾が通じないようにするなど知恵が周り、女性を好んでおり、しばしば人里に下りてきては若い娘を攫う事もあるとされる。
なお、この伝承が伝わっている地域では子供を脅かす文言として「猿の経立が来るぞ」という文言が用いられているらしい。
狼の経立
生まれたての子馬、或いは三寸(約9~10cm)の大きさがあり、草むらに身を隠し、周囲の色調に合わせて毛の色を変える力を持つ者もいるとされ、家畜や人間を食い殺しといった話が伝わっているという。
鶏の経立
岩手県の説話の1つに伝わる経立の一種。
下閉伊郡安家村(現在の岩泉町)に飼われていた雌の鶏が経立となった存在で、今まで自分の産んだ卵を食べてきた人間たちを怨み、復讐の為に自分を飼っていた家で生まれた子供たちを次々に取り殺したという。
鱈の経立
同じく岩手県の下閉伊郡安家村の説話に伝わる経立の一種。
美男子に化けてとある家の娘の元に毎晩通っていたが、周囲の人たちがその容姿が余りにも人間離れしていた為に訝しみ、娘に男の足を小豆で似た湯で足を洗う様に進めた。
娘は言われた通りに男の足を洗った所、男は急に気分が悪いといって帰ってしまった。
翌朝、娘は海辺にいってもると男は正体を現した状態で死んでいたという。