臨機応変
りんきおうへん
「その場、その時の状況に応じて、その変化に柔軟に対応する」という意味の四字熟語。
英語にも同様の言葉に「ケース・バイ・ケース(case by case)」がある。
なお、状況の変化が訪れるまでろくに動こうとせず、変化が起きてから自分に有利な形で物事を進めようとする事を「臨機応変」であると勘違いしている者が結構いるが、それは単なる「日和見主義」でしかない事を留意されたい。
「臨機応変」は使い勝手の良い便利な言葉であり、ビジネスマンの中には口癖になっている人も少なくない。
…が、その一方で使い方次第では具体性も責任も何も無い、中身カラッポな言葉に成り果ててしまう危険性もあり、この言葉を忌み嫌う人も少なくない。
例として、初めて取り組む不慣れな仕事を前に、上司から「臨機応変にやって」とだけ言われても、具体的な説明も何も無いのでは大半の人は困ってしまうことだろう。
ある程度慣れて、勝手が分かっている仕事に対し「臨機応変にやって」と言われるのならばともかく、そうでない場合は「臨機応変=中身の無い無責任な言葉」でしかない。
この場合、「臨機応変」は「アドリブでやって」「適当にやって」と同レベルの意味にしかならないし、なによりも上司の重要な役割である「指示」と「責任」を放棄している(乱暴に噛み砕けば「いちいち口には出さねーから察しろ。失敗したらお前の責任な」と言っている)に等しい。
そんな低レベルな言葉ばかり発する上司が、はたして部下の信頼を得られるだろうか?
具体的な指示も何も無く「臨機応変にやって」とだけ言われて十分に出来る人はそうそういない。
そのため、この言葉は「臨機応変にやって」と指示する際に使うのではなく、「君は臨機応変に対応できているね」と相手を評価する際の言葉として使うのがおそらくベターであろう。
かように、「臨機応変」という言葉は一見使い勝手が良いように見えて、下手をすると自分が無能であると自ら証明しかねない、扱いの難しい言葉なのである。
アンドリュー・フォーク:作中、彼が発した「高度の柔軟性を維持しつつ、臨機応変に対処する」という言葉は上記の悪い使い方の見本といえる。実際、歴戦の将からは「要するに、行き当たりばったりじゃな」と酷評された。