晴らせぬ恨みを晴らし
許せぬ人でなしを消す
いずれも人知れず
仕掛けて仕損じ無し
人呼んで〔仕掛人〕
ただしこの稼業
江戸職業づくしには、載っていない…
(必殺仕掛人オープニングナレーションより)
概要
艦これ×必殺仕掛人というコンセプトで展開される、艦これ必殺シリーズの一つ。
特徴は、仕掛人・藤枝梅安や鬼平犯科帳といった池波正太郎作品の世界観を色濃く表現したハードボイルドテイスト。厳格な掟に基づいて対象を始末する、殺し屋の生き様を描く。
原点となったのは仕掛人・藤枝梅安の他に、殺しの掟、鬼平犯科帳など。
登場人物
仕掛人
輝梅安
第13鎮守府の2代目司令官。階級は大佐。年齢は35歳。
ベテランの仕掛人で、矢矧ら阿賀野型を取りまとめる仕掛人一味の筆頭。大柄で、無類の女好き。
元は海軍陸戦隊に所属していた軍医。鍼灸など、様々な医術を駆使する腕の確かな医者。
提督の執務と同時に、自身の軍医としての経歴を生かし、入渠施設において艦娘のケアもしている。
殺しには太さ数mmの殺し針で相手の急所を突き刺す。
モデルは藤枝梅安。
矢矧
第13鎮守府第1水雷戦隊旗艦。輝梅安の部下であり、主役の仕掛人の一人。
提督の梅安が鎮守府を留守にする際、彼女が留守番を担当することがある。真面目な性格。
相手を確かめず殺気を出す点がまだまだ仕掛人として未熟だと梅安に指摘されているが、実力は高い。
笹笛を吹きながら、相手に「仕掛人、軽巡矢矧」と名乗ってから長ドスで相手を斬り裂く。正々堂々、真っ向勝負を挑むことが多い。
モデルは西村佐内及び小杉十五郎(原作における佐内ポジ)。
阿賀野
第13鎮守府第4水雷戦隊の旗艦。梅安配下の仕掛人。
梅安にとっては陸戦隊時代からの古い付き合いで、大がかりとなる仕掛で多人数を仕掛ける場合に助っ人として参戦する。
殺し技は梅安と同じくスニークキル特化型。即効性の毒を仕込んだ吹き矢入りの筒を懐に隠し持っており、その吹き矢で相手の急所を射抜く。
使う吹き矢の形状は『必殺!三味線屋・勇次』に登場する仕事人の元締、伝兵衛のものに近い。
モデルは彦次郎。
能代
第13鎮守府の〔華の二水戦〕こと第2水雷戦隊旗艦。梅安配下の仕掛人の1人。
阿賀野と同じく、大掛かりの仕掛の際に助っ人として参戦。スニークキル特化型の梅安と阿賀野の間を埋めるために、斬り込み要員として矢矧と組んで仕掛に臨む。
血に汚れた裏稼業に通じる故か、一般的な能代と比べるとクールな印象を受ける。
剣士系の仕掛人だが、矢矧とは違い、打刀と『兜割り』という短刀の二刀流。
モデルは『助け人走る』の中山文十郎。
山本半右衛門
2年前に海軍を退役し、鎮守府の近くにある自宅を改築して、小さな料亭〔音羽屋〕を開いている退役軍人。第13鎮守府の初代提督。
外見は60半ばの初老の紳士であるが、実年齢は45歳で、梅安とは10しか離れていない。
かつては『鬼の半右衛門』と恐れられていた凄腕の仕掛人で、現在は仕掛人の元締めを務めており、〔起こり〕と輝梅安を含めた仕掛人を繋ぐ〔蔓〕となる。
仕掛人としての腕も健在で、第5話相当の其の五において嘘の依頼をした〔蔓〕の粛清をおこなった。
艦これ必殺仕事人の前日譚「元祖・艦これ必殺仕置人」では、現役時代の半右衛門が登場。
モデルは音羽屋半右衛門。
日進、春日
春日型装甲巡洋艦をモチーフにした、オリジナル艦娘。半右衛門配下の密偵で、通り名はそれぞれ〔おひろめの日進〕、〔油紙の春日〕。 モチーフキャラはそれぞれ岬の千蔵と櫓の万吉。
海軍警務隊
長谷川源蔵
江戸寛政の頃に盗賊達から〔鬼〕と恐れられた、火付盗賊改役・長谷川平蔵宣以の末裔にして、現長谷川家当主。青年時代は〔キス島の源〕の異名で深海棲艦から恐れられた。
現在は第7鎮守府の司令官であるが、同時に本土近海における海賊行為や密漁、テロ行為及びブラック鎮守府の取り締まりを行う警察組織〔海軍警務隊〕の長官でもある。
裏の世界でも顔が広く、かつて裏社会で名を馳せた盗賊などが彼の密偵となっている。
仕掛人に協力的な人物で、仕掛けの後処理や情報提供など、彼らを支援することが多い。
艦これ必殺仕事人の前日譚である「元祖・艦これ必殺仕置人」において源蔵と半右衛門との出会いが語られる。
相模のレ級
推定年齢は人間基準で65歳。海軍警務隊の古参密偵。
かつて北方海域に巣食っていた流れ者の深海棲艦で、かつて〔キス島の源〕と呼ばれていた若き日の源蔵と、何度か死闘を演じた仲である。 それより20年近く経た今現在では、海軍警務隊の長官となった源蔵の密偵として働いている。
体格が小柄であることを生かした潜入捜査や盗聴を得意とする。
モデルは相模の彦十。
七化けの駆逐水鬼
かつて太平洋で縦横無尽に盗み働きをした空賊集団〔雲霧組〕の引き込み役。
御頭である仁左衛門の命なら、国会議員から社長秘書、果ては老婆まで何にでも変装し、それを完璧に演じられることからそう呼ばれた。
10年前に雲霧組が解散すると空賊業からは足を洗ったが、2年前に仁左衛門と一緒の所を源蔵に声をかけられ、密偵としてスカウトされた。
第3話相当の『其の参』では囮のために、陽炎型駆逐艦17番艦『萩風』の脱走艦娘に化けた。
モデルは七化けのお千代(長編時代小説『雲霧仁左衛門』の登場人物)とおまさ。
十四代目雲霧仁左衛門
江戸享保年間において活躍したといわれる伝説の盗賊〔雲霧仁左衛門〕の末裔。
かつて一部の不平艦娘や流れ者の深海棲艦を引き連れ、〔雲霧組〕という空賊を立ち上げ、太平洋を縦横無尽に暴れまわった。
殺生を好まず、襲う船も一部の悪徳政治家や悪徳軍人と癒着していた企業の船に限っていたので、一時期は〔義賊〕とまで呼ばれた。
〔雲霧組〕を解散してからは足を洗い、料理屋『五鉄』を開いて余生を過ごしていたが、訳あって源蔵の密偵となり、海軍警務隊の密偵達を統率する〔密偵頭〕という役職に就いている。
モデルは大滝の五郎蔵。
その他の人物
ビスマルク
第2話相当の『其の弐』で登場。
表向きは音羽屋の女中として働くが、実はドイツの諜報機関、連邦情報局第5局の諜報員。
4年前に起きた〔キール軍港爆破事件〕で、唯一の妹であるティルピッツを失っており、本国の命令でそのテロを起こした新日本赤軍を壊滅すべく入国した。妹の仇である江戸島権蔵を憎んでいる。
腕利きのガンスミスによってステンレスモデルに仕上げられた、S&W M3スコフィールド・リボルバーのカスタムモデルを使用する。
モデルは『必殺からくり人血風編』の土左ヱ門と、ドル箱三部作の名無し。
飛鷹
第2話相当の『其の弐』で登場。
第13鎮守府の東へ半里(約2㎞)海沿いへ行った所にある料亭〔出雲丸〕の女将。
梅安が惚れ込んでいる相手で、その関係は鎮守府では「知らぬ者などいない」ほど。
5年前、ある事情で所属していた鎮守府の提督を葬るために頼み金を稼ぐべく、当時の艦隊仲間もろとも泡風呂に身を沈め、他の仲間が首を吊っていく中、1人生き残った。
最後に仕掛を依頼し、自らも命を絶とうとしたが、たまたま梅安に助けられ、ある事情から身請けされ、自由の身となる。その4年後、料亭〔出雲丸〕で第13鎮守府に着任して間もない彼と再会した。
モデルはおもん(原作に登場する藤枝梅安の愛人)。
滝本米満
陸海軍内部で〔鬼の滝本〕の異名を持つ南方方面憲兵隊司令部の司令官。
軍の規律や綱紀を司る憲兵隊の中でも、特に畏怖される人物の1人。
長谷川源蔵にとっては恩師のような存在であり、源蔵が警務隊の長官に就任したのを最も喜んだ。
厳格な憲兵であるが、独特な論理間の持ち主で、仕掛人などの裏稼業を〔必要悪〕と考えており、源蔵と同様黙認する姿勢を取っている。
『憲兵指令物語』からのゲスト。
夜崎御影
第7地方参謀本部隷下・第3参謀区、通称〔夜崎参謀区〕を任されている参謀。外見は二十代くらいだが、実年齢は半右衛門とほぼ同年齢。
第7地方近辺を取り仕切る裏稼業の元締〔八咫烏〕という裏の顔を持つ。同時に現役の〔仕事人〕と呼ばれる裏稼業の従事者。
『艦これ必殺仕事人』からのゲスト。
秋山小治郎
第4話相当の『其の四』で登場。
芸能事務所〔美城プロダクション〕アイドル部門の非常勤プロデューサー。
無外流剣術の達人で、かつては〔日の本一の剣客〕と言われた男。
かなりの人脈の持ち主で、現職の官房長官とパイプを持っている。
モチーフキャラは秋山小兵衛。
四ツ谷の川内
元第459番鎮守府所属の退役艦娘。
現在は警察官として四ツ谷駅近くの駐在所で働いている。
モチーフキャラは弥七(剣客商売に登場する御用聞き)。
八雲紫
海軍元帥府に籍を置く〔海軍七元帥〕の一人。仕置人と呼ばれる裏稼業の総元締で、かつては蔓として梅安に仕掛を頼んだことがある。
『必殺異世界仕置人』からのゲスト(ただし八雲紫本人は東方Projectからの出典である)。
関連タグ
用語
仕掛人
裏の世界に顔の聞く者ですら噂程度でしか知らない闇の殺し屋稼業。その掟は他の殺し屋稼業よりも厳格で、〔起こり〕と呼ばれる頼み人が〔蔓〕と呼ばれる元締めに殺しを依頼し、仕掛人は、その〔蔓〕からの依頼で殺しを行う。その為莫大な依頼料が必要となるが、まれに仕掛人自らが〔起こり〕の頼みを聞いて殺しを行う事もある。
海軍警務隊
海軍軍令部が海上におけるテロ行為及び海軍内部で問題となっているブラック鎮守府の取締りを目的として創設した警察組織。モチーフは火付盗賊改方。
余談
作者のTwitterによると、当初の計画案では梅安、翔鶴、瑞鶴、半右衛門のメンツでやる予定だったが、翔鶴型が艦これ必殺仕事人で登場することが分かり、被りを防ぐために代役として阿賀野型が選ばれたとのこと。
当初は「艦これ始末人」というタイトルでやる予定で、梅安は軍医、半右衛門は提督で、艦娘は五航戦で翔鶴は鎌鼬の忍、瑞鶴は西村佐内でいく予定だったが、独自性を持たせるべく現在の形になった模様。
また、本来輝梅安は念仏の鉄をオマージュしたキャラにする予定であったが「折角の仕掛人なんだから藤枝梅安モチーフの方がしっくりくる」と思い直し、修正された。
本編におけるプレイボーイ設定は、これの名残であるという。