概要
「鑢一根」が創始し、その後鑢家の血筋の者に一子相伝で伝えられ代を重ねるごとに練磨されてきた刀を使わない剣術。
剣術でありながら刀を一切使わず「自分自身が刀になる」のが特徴で、鍛え上げられた技と肉体によって十二分の殺傷能力を誇る。
その実態は己の「手刀」や「足刀」を極限まで鍛え上げ、相手の武器を破壊することに特化させた「拳法」ならぬ「剣法」である。
具体的には、虚刀流の正しい「血刀(血統)」の持ち主は、素手で刀を受け止めそのまま折り砕くことを「技ですらない普通の動作」として簡単にやってのける程である。
歴代継承者
虚刀流の奥義一覧
全部で七つの構え(鑢七実が即席で名付けた番外の構え「零の構え・無花果」もある)が存在し、構えに対応した「奥義」が一つずつある。
全ての技名(剣技・構え)は「鈴蘭」「菊」など花の名前から、奥義名は「鏡花水月」「花鳥風月」など花が付いた四字熟語から付けられる。
歴代の奥義
- 「鏡花水月(きょうかすいげつ)」
一の構え「鈴蘭」から繰り出される。強烈な拳底。虚刀流最速の技。
- 「花鳥風月(かちょうふうげつ)」
二の構え「水仙」から繰り出される。鏡花水月とは逆の手で繰り出す貫手。
- 「百花繚乱(ひゃっかりょうらん)」
三の構え「躑躅」から繰り出される。下から打ち上げる膝蹴り。
- 「柳緑花紅(りゅうりょくかこう)」
四の構え「朝顔」から繰り出される。身体を捻って拳を相手に突き出し、敵の肉体を内側から破壊
する。
- 「飛花落葉(ひからくよう)」
五の構え「夜顔」から繰り出される。合掌した手を開きながらぶつける掌底。相手の外側に衝撃を与える、虚刀流の「鎧崩し」。
- 「錦上添花(きんじょうてんか)」
六の構え「鬼灯」から繰り出される。両手で放つ水平手刀で両脇を打つ。
- 「落花狼藉(らっかろうぜき)」
七の構え「杜若」から繰り出される。足を斧刀に見立てた踵落としを喰らわす。
七花が勝手に考えた奥義
- 「七花八裂(しちかはちれつ)」
相手に七つの奥義を連続で叩き込む。七花が勝手に考えた「自称・虚刀流最終奥義」なので、この奥義だけ対応する構えが無い。
並みの刀なら一発でへし折る奥義を七発叩き込み、相手を「八つ裂きにする」ところから名付けた。繰り出す順番は適当。
弱点は「柳緑花紅」を放つ時の溜め動作によるタイムラグ。姉の七実(見てもいないのに名前を聞いただけで技の実態を掴み、実際に自分で使用して弱点まで見抜いている)にその隙を突かれて破られた。ただし七実が規格外であっただけで、普通の相手からすれば強力な技がランダムな順番で連続して襲い掛かってくる強烈な初見殺し技といえる。
- 「七花八裂(改)」
威力と隙の無さにおいて最も優れた順番(「柳緑花紅」→「鏡花水月」→「飛花落葉」→「落花狼藉」→「百花繚乱」→「錦上添花」→「花鳥風月」)で奥義を繰り出す。
七実に敗れた後、技の問題点を見抜いたとがめの指摘によって溜めのいる「柳緑花紅」を最初に持ってくる事で技の連携中に隙が生じる弱点を克服し、その後の連携パターン全てを実際に試した上で最適解を見つけ出して完成させた。初手の「柳緑花紅」に溜め動作がいる為、この動作がこの奥義独自の構えと言えなくも無い。
関連タグ
ネタばれ
虚刀流の真の姿、それは四季崎記紀が追い求め続けた「究極の刀」の形が辿り着いた「完了形変体刀『虚刀・鑢』」。
扱う者の技量すら問わずその意に従ってあらゆる物を斬り断つ人の形をした一振りの刀、それが鑢七花の代で「完了」に到達した四季崎記紀の刀作の終極である。