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計算尺

けいさんじゃく

目盛りが印刷された板状の道具。数値や目盛りを組み合わせて解を得る。
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計算に用いる道具の一つ。様々な目盛りが振られた物差しをスライドさせて関数を含んだ計算を行う、いってみればアナログ式の関数電卓である。中には物差し状ではなく中心で留められた2枚の円盤から構成されるものも存在し、仕組み自体は一緒であるが円形のものは目盛りがループするため目外れが生じないというメリットがある。

計算尺の基本的なメカニズムは対数の加減算で乗除算を行うことと、関数の値を目盛りで換算することで、これらを連続で行うことで最終的な解に導く。

長さは25cm程度で、訓練次第で難しい計算もできるため、かつてのエンジニアの必携品であった。価格は昭和30年代でも数千円(大卒の初任給が二万円前後の時代)する高級品だった。


一般的に用いられた汎用品では、乗除算、冪乗・冪根、対数、三角関数などの計算に特化した設計で、加減算が出来る計算尺は殆ど無い(手で計算した方が手っ取り早いので需要がない)。電卓が普及する以前の四則演算はタイガー計算機が使用された。

目盛りを目視で読み取ることから有効桁数は3桁程度で、それ以上の精度を求める場合はあらゆる関数の解を辞書にした数表が用いられた。戦艦大和の設計では精度を求めるために4mの特注の計算尺が使用された。

計算を数枚の可動式の板を操作して行うため、桁数が増えたり数式が複雑化するとともに計算尺を使った計算は難易度を増す。双曲線関数をネイピア数で求めるなど公式を駆使して解を求めることも多々あり、このため使いこなすには高度な数学の知識が求められる。

かつてはそろばんと同様に学校で授業があり、日本商工会議所主催で検定試験や大会も行われていた。


汎用品の他に、自動車ラリー競技に用いるものや、航空機の航法計算に用いるもの、燃料計算、写真機の露出計、電球寿命を算出する計算尺など、特定の目的に特化したものが多いのも計算尺の特色である。


素材としては、温度や湿度の変化があっても狂いが生じにくいが好まれた。特に日本のヘンミ社製は評価が高く、一時は世界の計算尺の8割をヘンミが占めたが、やがて関数電卓が普及すると、その優位性を失い、姿を消すことになった。

しかし、完全に消滅したわけではなく、スタジア測量の計算が行える土木用の計算尺は悪条件の現場でも故障や破損を気にせずに使用できる計算機として未だ需要がある。またブライトリングなどのパイロットウォッチにはベゼル部分に回転式計算尺が装備されている他、上述のヘンミも特注で計算尺の製造を請け負っている。円形計算尺についてはコンサイスが現在でも様々なバリエーションのものを製造している。


現在では目盛りに様々なバリエーションがあることからコレクションとしての需要があり、ネットオークションで盛んに取り引きされている。


かつてのアメリカでは、胸ポケットに計算尺を挿しているのがナード(理系オタク)の象徴だった。


登場する作品編集


入門書・解説書編集

  • 『やさしい計算尺入門』 著者:アイザック・アシモフ
  • 『新世紀の計算尺入門』 著者:富永大介

関連イラスト編集

Grand ruler13.g コンピュータの歴史7 アナログ計算機・デジタル計算機

外部リンク編集

計算尺 - Wikipedia

計算尺 - ニコニコ大百科

計算尺推進委員会

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