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「ぼっちゃま、愛して下さるなら、追わないでください。明日香のたったひとつのお願いです」

「追わずにいられるか! 俺はお前を絶対に諦めない!」

和田慎二の漫画作品。同氏の作品としては『スケバン刑事』に匹敵する人気作であり、同時に同氏がその生涯において30年近くの長きにわたり執筆を続けていた事実上ライフワークにも等しい作品。

作品の知名度としては数度に渡ってメディア化された『スケバン刑事』の方が一般には知られているが、実のところ本作は『スケバン刑事』以上に業界にファンが多い作品として知られている。(実際、某アスカさん一家の名前の元ネタもこの作品。監督がこの作品のファンであるため)

概要

自然を友として営みを続けてきた自然の精霊(しぜんのとも)である「砂神一族」の末裔にして、たったひとりの生き残りである砂姫明日香が、彼女自身を守護してくれる風の流れによって、危機に瀕した土地に導かれ、同地において自然に授けられた超能力を武器として、我欲のために自然を脅かす敵と戦う物語。

同時に明日香の運命の人にして、流浪を続ける彼女を追う田添一也との「宿命と愛情」を巡る一大ラブロマンスでもある。

明日香は頑なに一也を砂神一族の宿命に巻き込むまいと相思相愛でありながら、一也の想いを受け入れることを拒絶し、彼女の事情を知る人物に諭されても一人で乗り越えようとする考えを改めようとはしない。

初作『超少女明日香』が1975年「別冊マーガレット」5月号および6月号に上梓・掲載されてシリーズがスタート。のち「LaLa」「花とゆめ」と掲載誌を移し、最終的に「コミックフラッパー」に移籍。2003年から2004年にかけて発表された「学校編」を最後にシリーズが中断。のち、作者の逝去により永遠の未完作となった。

基本的に連載作品ではなく読切・短期連載の定期掲載形式によって続いていたシリーズ(同様の発表形式の作品に少年サンデー系雑誌における『まじっく快斗』(青山剛昌作)などが挙げられる)であるため、発表年数に比してシリーズ作品の本数が少ない事も特徴として挙げられる。またフラッパーへの移籍に伴い、時世に合わせた設定のマイナーアップが行われている。そのためフラッパー連載分は、移籍以前に発表されたシリーズ作と比して多少、設定の齟齬が生じている。

作者はメイキングで「そう簡単には幸せにしてやらないからな!」と明日香と一也に叫んでいたため、重荷を一人で背負おうとする明日香と彼女を追う一也の葛藤は繰り返される。最終的には2人は真の意味で相思相愛となり、幸福にする思惑が生前の作者にあったのは確かだが、作者の突然の死により読者がハッピーエンドを目にすることはなかった。

なお、シリーズが続けば物語は、より深く人間の営みの罪深き業を炙り出す作品となっていたと言われている。それはシリーズ作の進捗に伴うテーマと敵となる存在を比すれば明らかであり、実際、作者も生前「主人公たちの最大の敵は、実は超能力者でも悪霊でも企業でも権力者でもなく、ただの普通の人間たちそのものである。しかし他ならぬ主人公たち自身も、人間たちの一員に過ぎない」と本作の内容(の進捗と予定)について言及している。つまり、「人間という種族そのものが自然の敵である」「自然の精霊たる者として人間に敵対せざるを得ない明日香」「しかし明日香自身も人間という種族の一員」という要素が密接に絡み、主人公たちをジレンマに陥れていくという思惑が見えている、と言われている。

ちなみに、作者の別作品である『怪盗アマリリス』では、本作が劇中劇として登場する。

同作内では「『アマリリス』の主人公であるナナが、勢いで撮った映画の原作」という扱いで、いつものように和田作品では御馴染のヒゲクマ「中年のオッサンのくせに少女漫画家・岩田慎二」先生も登場し、本作について語る場面もある。

撮られた映画の主演(明日香役)は、当然のように主人公のナナ(椎崎奈々/F・Dナナ)だが、相手役(田添一也役)は後にナナの相棒(サイドキック)となった森村海が演じた。

また『怪盗アマリリス』は他の和田作品と異なり(さらにはハートフルボッコの果てビターなラストを迎えやすい和田作品には珍しい事に)文字通り「主人公とヒーローが完全無欠のハッピーエンドを迎えることができた作品」であるため、このアマリリスのラストを擬似的な『超少女明日香』のラストとして捉える(作者が鬼籍に入った今ではそう捉えざるをえない、とする)ファンもいたりする。

ストーリーのパターン

風の導きにより明日香が、自然の敵が活動を始めた土地へと流れ着き、その土地において問題がある家庭家政婦として派遣される。やがて明日香は、一家やその周辺の問題が「自然の敵」の活動に密接につながっている事に気付いていく。

一方で明日香を追う一也も、やがて明日香のいる土地へとたどり着く。しかし些細なすれ違いが続き、なかなか出会う事が出来ず、その一方で一也もまた明日香と異なるアプローチによって「自然の敵」が生み出す問題の渦中へと、その歩を進める事となる。

「自然の敵」との戦いが本格化していく中、明日香と一也は再会し、共に敵へと立ち向かっていき、立ちはだかる様々な問題を次々にクリアしていく。

全ての戦いが終わった時、土地の問題も、明日香が派遣されていた家庭の問題も、すべてが丸く収まる。一也もまた明日香に出会えた事を喜び、共に帰ろうとする。

しかし、一也を一族の戦いの宿命に巻き込む事を受け入れられない明日香は、一也の前から姿を消してしまう。一也の前には再び風の導きのみが残されるのである。相棒のミックすら、一也に味方する有り様なのだが。

比較的初期の段階で一也は明日香のパートナーとして自然に認められ、敵の超能力者の攻撃を無効化する「シールド」を与えられるが、明日香は自分一人で宿命を背負おうとし、2人で共に乗り越えるよう諭されても拒絶する。

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和田慎二 家政婦 自然破壊 勤労少年(むしろ勤労少女か)

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