ピグマリオ
ぴくまりお
「花とゆめ」で1978年より連載が始まった和田慎二のファンタジー漫画。
コミックス全27巻、全5部構成の長編作品。
のちに和田が白泉社から版権を引き上げ、メディアファクトリーから「最終完全版」として全12巻刊行。
ルーン国の王子である少年クルトが、母親を石に変えたメデューサを倒して母親を救うべく、強大な武器「大地の剣」を携えて、仲間たちと壮大な冒険の旅に出るヒロイックファンタジーである。クルトは母親を救うことが出来るのか?そして謎の言葉「ピグマリオ」の意味とは?
絵柄は可愛らしいがグロテスクな描写やスプラッタ、リョナシーンが非常に多い作品としても有名で、お姉さんキャラは巨乳が多い。
掲載誌が少女漫画雑誌の「花とゆめ」だったことからも、特に「悪役がお姫様に化けるためにお姫様の顔の皮を剥ぐ」などといった初期の強烈なグロ描写は当時の少女たちに多大なトラウマを残した。このため当時の読者の少女たちには受け入れられず、1年で打ち切りになっている。だがその後連載を再開し、大長編として完結した。なお、再開後はグロ描写がかなり抑え目になっている。
もともとは『スケバン刑事』完結後に「これが失敗したら『スケバン刑事』の第2部を執筆する」という約束のもとに開始した連載が本作である。
しかしながら、上述のように当時の読者の支持を得られず失敗に終わったことから、本作の打ち切り後に『スケバン刑事』の第2部が描かれることとなった。
しかし1981年に『スケバン刑事』第2部も完結。状況も年代も変わったことから『ピグマリオ』の連載再開の話が編集部より持ち上がり、以降8年もの長期連載となり無事に完結した。
有史以前、まだ神々がこの世界を導いていた時代。東方の小国ルーンの王子クルトは母親の顔を知らず育ったが、8歳の誕生日を目前にして真実を知る。クルトが生まれて間もなく、妖女メデューサがこの国を襲い、クルトの母ガラティアを石に変えてしまったのだ。メデューサがはるか西に棲むと知ったクルトは、メデューサを倒して母を救うべく旅立つ。しかし、それは母を救うだけでなくクルトが王になる為の試練の旅でもあった。
本編中には、既存の神話から引用された固有名詞が度々登場するが、これは剽窃の類ではなく、『指輪物語』などの創作神話に見受けられる「本作こそが全ての神話伝承の原型であり、現代に伝わる神話の方が実はエピゴーネンなのである」という設定による確信的な描写である。