概要
「マップス」、「機動戦士クロスボーン・ガンダム」などと並ぶ長谷川裕一の代表作の一つ。
主人公達が異世界に迷い込む「異世界トリップ」ものであるが、総勢550人にも及ぶ大人数が一斉に異世界に転移するという、他とは一風変わった作風で知られる。
そのシチュエーションから楳図かずおの「漂流教室」とも比較される事もあるが、サバイバルとファンタジーとでジャンルを異にしている他、明るい作風の冒険活劇として描かれている事もあって明確な差別化が成されている。
当初は角川書店のコミックコンプで「ダイ・ソード」のタイトルで連載されるが、当時の角川の「お家事情」に対する急場しのぎ体制もあって雑誌は休載となる。その後徳間書店の月刊少年キャプテンに移籍し、「轟世剣ダイ・ソード」に改題された上で連載が再開。単行本六巻相当で連載を打ち切り、最終巻である第七巻が描き下ろしで刊行された。
単行本は現在絶版であり、入手は困難であるが、講談社より文庫版が刊行されており、またマンガ図書館Zでの無料配信も行われている。
アニメ化などのメディアミックス展開は行われていないが、2012年にスタジオ・ハーフ・アイから完全変形可能なダイ・ソードの立体物が発売されている。
あらすじ
ある日突然、中学生550人が、校舎ごと異世界「泡の中央界」へと飛ばされた。
その中の一人である主人公:百地王太は、「神の武器」の一つである「神の剣・ダイソード」のソードマスターとなり、元の世界に戻るため、白き常魔の国「テルテ・ウィタス」を目指す冒険に出ることになる。
登場人物
九江州中学
- 百地王太
主人公。1年E組。
サッカー好きな好青年。
泡の中央界に転移させられた際、ユリーナの導きによって封印されていたダイソードを開放した事から、彼のソウル・マスター(操縦者)となり、ダイソードと共に神の武器(ゴッド・フォース)との戦いを演じる中で次第に成長していく。
- 千導今夜
本作のヒロイン。九江州中学の生徒会長。小柄な体格に反して高いリーダーシップを発揮し、549人の九江州中の生徒達の中心として彼らを纏め上げる一方で、皆の先頭に立って戦う王太に心惹かれていく。
実はアニメオタクでロボットアニメにも詳しい。
- 一峰ゆうじ
剣道部部長。今夜に好意を抱き、生徒会役員ではないが彼女の補佐役として立ち回る。
真面目な性格の持ち主だが、意見の食い違いや個人的な嫉妬から王太達と対立するような一面も見られた。
- 二葉春夏
中学2年D組。気は弱いが一行の中で一番魔法の素養があり、習得も早かった事からなし崩し的に戦力に数えられ戦う事に。
戦いを通じて弱気な性格から次第に皆を引っ張る強さを見せるようになり、ヨゴが一行に加わってからはヨゴの主なソウル・マスターとして活躍する。
- 十勝力
3年E組。実戦格闘技部のキャプテンを自称する不良生徒。
今夜に不信を抱き、一度は元の世界に戻らずに泡の中央界で生きていくべきと反乱を起こすが、その際に王太達と共闘した事で和解、以降は一行の頼れる兄貴分となる。
- 七瀬咲笑
今夜の親友。楽観的な性格の持ち主でバイタリティにあふれており、悩みを抱える今夜の相談に乗る一面も。
- 金子良雄
王太の友人。眼鏡と恰幅の良い腹が特徴の男子生徒。
長谷川裕一の著作である「クロノアイズ」にも登場する。
- 仲島英児
商い部所属。実家が商店を営む生粋の商人であり、自分に不利な取引はしない事を信条とする。
泡の中央界
- ユーリナ・タ・カラ
本作のもう一人のヒロイン。白き常魔の国「テルテ・ウィタス」の少女。
北国に対抗する為にダイ・ソードの力を頼るべく、異界(王太達の住んでいる世界)を通じて彼が封印されている黒き森の城に向かうが、敵の罠によって九江州中学ごと泡の中央界に転移してしまう。
元々高い魔力の素養があり、ダイソードの封印も本来は彼女が解く予定であった。
- ジオナス
北国を構成する小国「海辺国ジト」の王。
九江州中が物資得る為に自国を訪れた際に彼らを試し、その力を認めた事から北国に半期を翻す。
- ガブ・マオリ
ペンギンに似た種族であるボビー族の名機械工。見た目はペンギンだが、人語を話す事が出来る。
他のボビー族に貴金属採掘の為の工作機械を提供する代わりに武器の制作を手伝わせている。
ジオナスとはかつての恋敵という間柄。
- ウ・ツボカ・ズラ
マオリの孫娘。ボビー族と人間のクォーターであり、人間の姿とボビー族の姿を使い分けられる。
風を読む事に長け、マオリの手がけた魂の器(ソウル・ヴェスル)「シャイニィ」を駆る。
- シズク
カラの隠れ里で「聖杯の滴」と呼ばれた女性神官。
全身に神の武器の文様が刻まれ、3万3千年前の戦いの歴史を伝えている。
その出生には重大な秘密が隠されており、ユーリナとも強い関係を持つ。
クルリ
シズクの小姓として彼女の身の回りの世話をする巫女見習いの少女。
デクショ
北方の大賢人。元カラの神官。北国の城の地下深くに幽閉されている。
初めに立ちし者
呪詛の言葉から泡の中央界を作り上げた泡の中央界の創造主。
生きる者を増える事を良しとせず、常に破壊と混乱をもたらす為に神の武器を創造するが、その内の一つであるダイソードの叛乱を許し、3万3千年前の戦いに於いて混乱と破壊を招く役目をダイソードに課し、その姿を消したが……。
神の武器(ゴッド・フォース)
神の剣 ダイソード
主たる者の力(ダ・イスォウド)の名を頂く神の剣。ビーストモードは飛竜(マナ・ライダー)。
3万3千年前に創造主である初めに立ちし者の行動に疑念を抱き、反旗を翻すも敗北。この際、「300年に一度、封印が弱まった際に封印を解いた者に7回だけ力を貸す」という制約を課されており、その証として腕に鎖が打ち込まれている。
泡の中央界に転移して来た王太と契約し、共に戦う相棒となる。
神の武器の中では最もバランスの良い性能を持ち、7つの魔法を使う事ができる。
神の斧 ガバリオーグ
北国の王コボスによって3千3千年の眠りから覚醒させられた神の斧。名の意味は刈り取る者(ガ・バリュオーグ)。ダイソード以外の神の武器達を取りまとめるリーダー格。ビーストモードは四足獣。
ダイソードとは違い制約を課せられていなかった為、野心を募らせコボス王に成り代わって北国を支配し、他国を侵略する。
魔法こそ使えないものの純粋なパワーではダイソードを凌駕する。
神の三叉矛 ド・ライアム
使い魔を使って人の心を惑わす事が得意な神の三叉矛(トライデント)。ビーストモードは海竜。
人型形態の全長は神の武器達の中では一番小さく、パワーよりもスピードで相手を圧倒するのが得意。使用可能な魔法の数も12と多いが、その殆どは小技が中心。
神の盾 ヨゴ
見た目に違わぬ防御力を持つ神の盾。蟹に似たビーストモードに変形出来る。
8つの魔法を持つが、そのいずれも補助的な物となっている。
過去の戦いでダイソードに負けた事に納得出来ず、ド・ライアムと共に王太達を襲撃するが、敗北によってダイソードの実力を認め、一行の味方となる。
神の篭手 コ・ズー
46の魔法を使いこなす神の篭手。ビーストモードは虫。
高い知力を持ち魔法戦を得意とするが一方で抜けた一面も見られ、また他の神の武器と比較して戦闘能力は低い。
左右一対の篭手が合体して一体の神の武器となり、篭手形態では他の神の武器を持って攻撃する事も出来る。
その性質上、片方の篭手が破壊されても活動は可能だが物事を半分しか覚えていない為、魔法が使えなくなる。
神の星型鉄球 ブ・ロンブル
神の武器の中でも特異な立ち位置にある神の星形鉄球(モーニングスター)。
魔法は2種類しか持たず、また特筆すべき能力は無いものの、武器形態時には鉄球、柄付き鉄球の2つの姿に転じることが出来る。ビーストモードは鉄球形態の棘から触手を伸ばし口を開くメデューサヘッド。
実は女でコ・ズーに好意を寄せている。
神の聖杯 タ・カラ
治癒を司る神の聖杯。ビーストモードは人型形態を保ったまま背中に翼を伸ばす為、フェアリーモードと呼ばれる。
他の神の武器を癒やす力を持つが、これは神の武器同士の争いを永遠のものとする為に初めに立ちし者によって与えられたものであり、その能力はタ・カラの意思に関係無く発動する。
神の刀 サン・ジュオウ
3万3千年前の戦いの中、最後に作られダイソードを倒した神の刀。ビーストモードは竜。
ダイソードの対存在として作られた武器であり、火炎魔法を得意とするダイソードに対して氷結魔法の扱いに長ける。刀剣としての能力も、破壊力のダイソードに対して相手を斬る事に優れている。
神の武器の中で最も攻撃力に長けており、ダイソードにとって越えるべき壁とも呼べる存在。