概要
正式タイトル『辺境の錬金術師 ~今更予算ゼロの職場に戻るとかもう無理~』とは、小説家になろうにて連載されていたファンタジー作品。
原作:御手々ぽんた。キャラクター原案:又市マタロー。コミカライズ担当:ぐんたお。
web版は完結し書籍化もしており、現在までに原作小説は2巻、コミカライズ版は3巻まで発売。
タイトルにあるとおり主人公は錬金術師であり、作中世界における文明の根幹を支える錬金術、そのなかでも重要な部分の担い手であったが、その必要性を理解しない人間達に予算ゼロの状態に追い込まれた為、退職して新天地で活躍するという内容。
ジャンルとしては追放ものに近いスローライフ系であり、魅力的なヒロイン達をはじめ様々人との出会い・交流と、現地でのトラブル解決の為得意な錬金術を活用していく作風。
あらすじ
国営の錬金術協会で働く主人公のルスト。
彼は錬金術の基礎研究の専門だが、役人上がりの錬金術協会協会長はその重要性を理解せず、研究予算は削られ続けた挙げ句、雑用を押し付けられる日々。
そんなある日来期の予算はゼロにされ、基礎研究課の解体まで決定してしまう。
しかしたまたま同じ日に学生時代の女友達から、辺境での領地開発を手伝わないか誘われたルストは、このまま協会にいても未来はないと、退職を決意する。
協会から解放されたルストは、新天地での未来への期待を胸に辺境に旅立つのであった。
登場人物
- ルスト
本作の主人公。
誠実で優しい人当たりの良い青年。
錬金術の土台、つまり物作りを支える基礎研究課に所属し、周囲からは「何の成果も出せない基礎課」という事で、錬金術で使用する基礎素材の錬成という形で雑用を押し付けられていた。
そして理解のあった先代協会長と異なる役人の現協会長より、ついに予算を打ち切られた為退職する事に。
本人は無自覚だが、実はルストは世界でも最高峰の錬金術の使い手であり、彼が錬成した基礎素材は他では手に入らない最高ランクの代物ばかり。
辺境で次々に問題を解決して生き生きとしており、現在の雇い主であるカリーンが新設した錬金術研究部所の代表に任命され、その人柄から様々な人物から好意を寄せられている。
ポーションの作成も当然得意なので、現地で医者代わりとしても活躍できる。
- ヒポポ
ルストの騎獣。
錬成獣と呼ばれる使い魔の様な存在で、外見は八本足の小型カバで賢く、ルストの移動手段兼護衛として重宝されている。
愛嬌もあって読者から愛されている。
- ローズ
ルストが学生時代に作った錬成獣だが、見た目はただの薔薇。茨を触手の様に伸ばし、布を編むかの如く家具やテントの骨組みを構築する。結構快適らしい。
- カリーン
ルストの学生時代の友人である赤髪の女性。
騎士として戦争で武勲をたてた為領地を得ており、ルストは彼女から領地開拓に誘われた事で退職を決意した。
ルストとは男友達の様なノリで色々とやんちゃしていたらしく、その行動力はルスト想定を越えている。寝癖はほっとけば直ると思って整えないタイプ。
見た目からは想像もできないレベルの怪力。
- タウラ
復讐の女神アレイスラを信仰する神官騎士で、青を基調とした神官服姿の女性。
家族同然の同胞達を呪術師に殺された挙げ句、自身にも居場所を特定される呪いの刻印を付けられ、解呪の為に奔走している最中高熱で倒れていたのをルストに助けられる。
熱や傷はおろか、聖水ですら治せなかった呪印を解呪したルストに恩義を感じており、困った事があれば彼の剣となる事を誓う。
- アーリ
赤い目の紋様が描かれた布で顔を隠した女性。
ロアの双子の姉。カリーンの領地でモンスター退治等側近の様に従事しており、槍の使い手。礼儀正しく、初対面で必用以上にルストを警戒していた妹を窘めていた。
彼女の左眼は闘争限定で数秒先の未来が見える魔眼であり、イラストでは左眼が赤いオッドアイ。
途中からルストが開発した、魔眼の制御用のモノクルを着用する。
- ロア
青い目の紋様が描かれた布で顔を隠した女性。
アーリの双子の妹。槍使いであり、姉と共にカリーンのもとで従事しており、カリーンを慕うあまり当初はモンスターを持ち込んだルストを警戒していたが、錬金術という未知の力を扱うルストに興味を抱いていく。
彼女も魔眼の異能持ちだが、遠視と透視を左右の眼にそれぞれ宿したオッドアイとなっている。
途中からルストが開発した、魔眼制御用の眼鏡を着用する。
用語
- 魔素
作中世界に満ちる魔力、または元素のようなもの。
錬金術師はこの魔素を扱い、大気中から取り込む術式の構築や、属性変換させる為の魔導回路の錬成を行い、日用品から武器まで様々な品を開発する。
魔素の濃度が高いと生物は体に変調をきたす一方、濃度が高いと微生物が死滅する為、食料保存の観点でも重要。
- 錬金術師
上記の魔素を扱い様々な物を開発・研究する職業。
魔素を扱う関係から魔術師の様な要素もあるが、錬成の為に溶液・洗浄用として蒸留水を使う、属性変換の回路を基板に焼き付ける等、科学の要素も含まれる。
錬成にはスクロールを使い、そこから対象の解析や調整、更には対モンスター用等、用途に応じて様々なスクロールを使う。
錬金術師協会所属の錬金術師は、その証としてメダリオンが与えられ、ルストは当然最高位のマスターランク。
- 錬成獣
錬金術師が創造した人工生命。
スクロールから顕現させられるので、運搬に労力がいらない。魔素を含んだ餌を食べる。
- モンスター
作中世界における生物。体内に魔石を宿し、魔法の力で物理法則を書き換え特殊能力を発揮する。
脅威度が設定されているが、全てのモンスターが人間に害をもたらすわけではなく、魔素を過剰に取り込むと凶暴化する。
- 魔法銃
錬金術で錬成した魔晶石を燃料とする魔素を打ち出す銃。
狂暴な獣やモンスターの撃退に用いられる、特に辺境の民にとって身の安全を守る為に欠かせない代物。
しかし一年前に威力を向上させた新型が出回るものの、そもそも威力は旧型の時点で十分であり、燃費や強度の面でも頼りになる一方、協会が開発した新型は燃費は悪いわ耐久性に難はあるわ、暴発する上に魔晶石も新型なので高価になっていると最悪づくし。
ちなみに新型の評価は、『上品に言って排泄物以下』。
関連タグ
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