迷宮のモンスターは、成体として発生する。
迷宮のモンスターには、成長も進化もない。
迷宮のモンスターには、性別がなく、つがいを作ることも、子をなすこともない。
迷宮のモンスターは、知性を持たず、本能のままに、ただ人を襲い、殺し、喰らう。
迷宮のモンスターは、魔獣あるいは幻獣とも呼ばれるように、厳密な意味での生物ですらない。
生命の奇怪な似姿というべきである。
レベルアップによってとはいえ、成長するモンスターは極めて特異な存在といえる。
この日、サザードン迷宮に、一匹のユニークモンスターが誕生した。
概要
小説家になろうにて掲載されているウェブ小説。著者は[[支援BIS
>https://mypage.syosetu.com/164405/]]氏。
シリウスKCよりコミカライズされている。著者はK9氏、及び小林裕和氏。
ゲーム風の剣と魔法の中世ヨーロッパ風の世界を舞台にした作品。
迷宮に存在するモンスターが自我を持ち、偶然にも人間のように「成長する」能力を身に着け、己の渇望のまま戦いに身を投じていく中、それに危機感を覚えた人間が討伐に挑むダークファンタジー。
主人公がモンスターであり、「人類は如何にしてこの脅威に対処するのか」といったパニック映画のような作品である。
あらすじ
エリアボスモンスターであるミノタウロスは、自身に挑んだ女戦士に勝利するも、女戦士は潰走し、ボス部屋から出て行ってしまう。エリアボスはボス部屋から出ることができず、無理に出ていこうとすると身体が焼き尽くされてしまうという不変のルールがあるのだ。
しかし、ミノタウロスは己の衝動のままボス部屋から飛び出し、驚愕する女戦士に止めを刺した。そしてルールにより今にも身体が燃え尽きてしまう最中、しかし命を惜しむよりも、更なる闘いを求めるミノタウロスの耳に、声が聞こえる。
「なんじの願いは、聞き届けた」
燃え尽きるはずの身体はそのままであり、そればかりか、本来であれば人間にしか存在しない「成長する」能力を得たミノタウロスは、己の渇望のまま戦いに身を投じ、ただひたすらに己を強く鍛えるのだった。
登場人物
- ミノタウロス
本作の主人公。サザードン迷宮の10階層のエリアボスとして発生したモンスター。
偶然にも「成長する」能力を手にしたことで本来のルールから外れ、ボス部屋から出ていき、迷宮内を闊歩できるようになる。
当初は怪物そのままの思考であり、ただ闘いたいという本能のまま、相手が人間であろうと、モンスターであろうと関係なく力任せに襲い掛っていたが、成長により徐々に知性が芽生え、人間の洗練された戦いの技術や技能を学び、そして卓越した武人のような精神を備えるようになる。
- ザーラ
本作のもう一人の主人公。人間。
ミノタウロスの討伐のため、力をつけるための武者修行に出る。
用語
- モンスター
人間に仇なす怪物。
- 迷宮
モンスターが闊歩するダンジョン。迷宮にいるモンスターは生殖をすることもなく成体として現れ、倒されるとアイテムや金銭を落とす。迷宮内では命を落とせばそれまでなものの、ポーションを使えば手足の欠損のような酷い傷も治療できるなど、現実とは異なる理が働いている。
迷宮内のモンスターは外に出ることができず、階層をまたいで移動することもできない。
また10階層ごとにエリアボスと呼ばれる強力なモンスターが発生する。エリアボスはボス部屋と呼ばれる部屋から外に出ることはできない。
関連タグ
辺境の老騎士 ・・・ 本作の著者である支援BIS氏の著名な作品。