野馬
のうままたはやばあるいはのま
平仮で「のうま」(水木しげるの著書・関連書籍では「ノウマ」)とも表記される島根県邑智郡日貫地方や石見地方の伝承に伝わる妖怪。
夜道を一人で歩いていると突然現れて食い殺すとされる一つ目の妖怪で、一説には馬、あるいは狼の姿をしているともいわれているが、実際には一つ目であること以外は良く分かっていない。
また、日貫村の製鉄所にも現れたとという話も伝わっており、その詳細は次のとおりであったという。
ある者が村のたたら場で1人で寝ていると、何処からともなく現れた女性が覆い被さって来た。
遠くでは野馬が嘶いており、暫くするとたたら場に近付いて来て高い窓から中を覗き込んだが、女がいると分かるや否や一目散に逃げ去ってしまった。
実は女の正体は製鉄の神である金屋子さんで、危うく命を落す所であったという。
なお、似たような一つ目の怪物の話がアイヌ民族にも伝わっており、こちらの正体は巨大なカワウソで、ある2人の兄弟が夜に海辺の小屋に泊まっていた所を襲撃して兄を食い殺すが、翌日に生き残った弟が人々に知らせると、再び現れた所を攻め立てられ退治されてしまったという。
ちなみに大御所の解釈では、伝承地方に振るい神楽などが残されている事から数ある妖怪たちの中でもかなり古い存在に属しているのではないかとしている。水木しげるの妖怪画では真っ黒い馬のような顔に一つ目があるという極めてシンプルな姿で描かれている。
いかんせんマイナーな妖怪の為、出番は少ない…と思いきや、意外にも目立たない形でメディア出演を果たすことが多い。
ゲゲゲの鬼太郎
ポプラ社の児童書「ゲゲゲの鬼太郎火の玉大けっせん」では表紙にモブとして描かれている他、「おばけ宇宙大戦争」では「ウマ」名義で登場し、対宇宙人用の移送機の実験動物にされた…ひどい。
ゲーム「ゲゲゲの鬼太郎妖怪横丁」ではプレイヤーキャラとして登場。