概要
身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の総称。いずれも、障害者の自立と支援を目的として交付される。
身体障害者手帳は身体機能の障害を持っている人、療育手帳は知的障害を持っている人、精神障害者保健福祉手帳は精神疾患(てんかん、知的障害を伴わない発達障害、薬物やアルコールの依存症、脳の損傷が原因の高次脳機能障害なども含む)を持っている人が対象となる。
医療機関で障害者であるという診断を受けたのち、在住する地方公共団体に申請し、障害者と認定された場合に発行してもらえる。自身が障害者であることの証明となり、氏名、住所、生年月日、顔写真が記載されているため身分証明にも使用できる。
障害の程度に応じて等級が存在する。種別によって級の数が異なるため、ここでは省略する。
手帳を持っている人は障害者総合支援法の対象となるため、医療費、公共交通機関や一部民間サービス、税収などにおいて、料金や税の減額といった優遇を受けることが可能となる。
受けられるサービスの内容は障害者手帳の種別と等級により差異がある他、住んでいる地域によっても大きく異なるとされるが、基本的には微々たるものである。
一方、障害者手帳を持っている=障害者認定を受けていることにはデメリットもある。具体的には、一定の職種における欠格事項となる(例えば精神障害者は警備員になれない)、任意保険の審査において不利になる、スポーツジムなどの一部民間施設の定款に定められる「精神障害者お断り」などといった条項に引っ掛かる(立派な障害者差別なのでそんな施設はこちらから願い下げとするのが賢明)、などである。不動産でも借りることができる物件に制限がかかる。アメリカ合衆国などの入国審査が厳しい国に入国できないこともある。
障害者雇用の場においては、手帳を発行されていること=障害者であることが証明できることが応募・採用の必須条件となっているため、障害者雇用枠での就職を希望する人が申請することも多い。
ただし、障害者雇用は給与などの待遇面で一般雇用よりも低い部分があるため、障害者手帳を取得している人がそれを伏せた上で一般雇用で働くというケースもままある。就労にあたり、自身の障害について障害者雇用でない限りオープンにする義務はないが、健康状態を申告することを求められた際は障害を隠すと虚偽申告にあたるため事実上オープンとすることを余儀なくされる場合がある。COVID-19以後はオープン就労の他に、限られた人が特性を把握しているセミオープン就労も増えつつある。
療育手帳については、他の二つと違い法に基づく公布ではない。このため認定は地方公共団体(都道府県知事や市長)の裁量が大きいとされる。また、名称も自治体によって異なるものを採用している場合もあり、青森県、名古屋市では「愛護手帳」、東京都、横浜市では「愛の手帳」、さいたま市では「みどりの手帳」のように呼ばれる。
精神障害者保健福祉手帳については、基本的に更新の必要がない他の二つと違い、2年おきに診断書を提出して更新する必要がある。