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概要

阿武隈急行の鉄道車両。2019年より運行を開始した。

2両編成10本が導入予定で、車体色については橙、青、黄、緑、桃の5色が用意される計画であることが当初明かされており、のちにそれ以外の色の車両も導入された。ちなみに編成番号は各編成ごとにAB1~AB10が割り振られており、先代の8100系電車と比べわかりやすくなっている。

車両の外観はJR東日本E721系をベースとしているが、デザインは独自色が強く、前面は前述の一色で塗装され、側面は無地のステンレス車体に大きくアルファベットの「A」の文字をかたどった対応する色の模様が描かれている。

また、所属会社の名前にちなんでか、車内放送時のチャイムはJR東日本の特急列車と同じものが採用されている。

同社は1988年の電化・全線開業以来、平日ラッシュ時や団臨に充当されたA417系1編成(2008年2016年に活躍)、かつて存在した福島方面からのJR直通列車(701系など)、およびJR線から乗り入れる団臨(485系など)を除き、実質8100系電車のみによる運用が行われていた。そのため本形式は8100系以来となる「通常の運用をされる新型車両」となる。

ちなみに8100系の製造本数は計9本で、本形式10本の導入は実質的にA417系1編成分の置き換えも兼ねていることになる。

阿武隈急行はもともとJR東日本東北本線と仙台方面で直通運転を行っていたのだが、その直通先では、阿武隈急行の開業と近い時期の1990年より719系が運用されていた。部品調達が困難になったことや老朽化の進行などにより、2016年よりE721系の再増備とともに置き換えられ、2020年に引退した。

同世代の8100系も共通の部品や設計を有していたことから同じ問題を抱えるようになり、かねてより車両の置き換えが検討されていたが、719系の引退に伴いメンテナンスが難しくなったとして導入予定が早められることになった。

加えて、E721系導入に伴い2008年に仙台地区から国鉄型電車が姿を消した後は、阿武隈急行だけが片側2扉の列車を直通させ仙台地区の普通列車で使用する、という状態が続いており、乗客の混乱を避けるうえで直通運転時の乗り場の統一も課題となっていた。

こうした課題を解決すべく、直通先のE721系と共通設計の車両を導入して対処することになり、こうして誕生したのが本形式である。

なお、予算面や車両基地の都合などから、直前に旧型車両の引退・廃車を行い、その穴を埋める形で本形式を投入、という流れを年1回ほどのペースにて繰り返す形で置き換えが進められている。

編成および車体色の一覧

車体色はそれぞれ沿線の見所や名産品から決められている。

編成番号導入年車体色車体色の由来置換対象備考
AB-12019年柴田町のアジサイA417系
AB-22020年丸森町の自然8100系A-13編成ラッピング車両(後述)として運用されたことがある
AB-32022年角田市の菜の花8100系A-1編成
AB-42023年福島市の桃8100系A-3編成&A-5編成AB-5編成と同時導入
AB-52023年伊達市のあんぽ柿8100系A-3編成&A-5編成AB-4編成と同時導入
AB-62024年不明8100系A-7編成&A-9編成AB-7編成と同時導入
AB-72024年不明8100系A-7編成&A-9編成AB-6編成と同時導入

(随時追加希望)

運用

デビューした2019年より8100系と共に阿武隈急行線全線(福島駅槻木駅)にて運用される。

AB-2編成が導入された2020年からは本形式2本による4両での運転も可能となり、直通先である東北本線槻木駅~仙台駅にも姿を見せている。その後ある程度の車両本数がそろったことにより、2023年3月のダイヤ改正からは東北本線への直通列車がすべて本形式で運転されるようになり、上述した投入目的の一つを達成した。

ラッピング車両

2022年7月より、AB-2編成にラッピングを施した、ゲーム「ポケットモンスター」のラッピング車両が運行を開始した。24日に出発式が行われ、7月30日より一般運用開始。

ポケモン側は宮城県応援ポケモンとしてラプラス(ポケモン)、福島県応援ポケモンとしてラッキーを設定しており、仙台側の車両をラプラス、福島側の車両をラッキーのラッピングとしている。

関連タグ

阿武隈急行 E721系

青い森鉄道:本形式と同じ「第三セクター向けに投入されたE721系ベースの車両」である青い森703系が存在する。

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