概要
この車種はトヨタ自動車がミッドシップエンジン・リアドライブ、2シートのスポーツカーであり、試作車両をモデルとして足回りなどをカローラをベースとして量産されたものである。
この車種は初期型および後期型が存在し、その違いは「オープンカー仕様」「スーパーチャージャー仕様」の追加である。
ちなみにパワーステアリングは非搭載であるが、車の部品の中でもシャシーを除けばトップクラスに重い部品であるエンジンとトランスミッションを車体後部に積んでいる為にフロント側が軽く、パワーステアリング搭載車と比べても「若干重い」程度(完全停車時は流石に重いが)で収まっている。
初期型
この車のモデルとなった車両は1983年の東京モーターショーにて公開されたSV-3であり、この車を量産するために改良を加え、さらに量産しやすくするためにエンジンやトランスミッションなどを前輪駆動であるカローラと共通にした。この車種は1986年まで製造された。
なおこの車は日本カーオブザイヤーを1984年-1985年に受賞している。
また、WRCに出場するための4WD車両のベースとして222Dというコードネームで試作が行われたが、1986年の事故をきっかけとしてその試作車の出場するレースのグレードが消滅したため、水泡に帰した(これが実現していたら4WDのこの車種が市販された可能性が存在する)。
後期型
1988年に側面の衝突対策により設計を見直す(これにより重量が増加し、自動車重量税がアップした)と同時に、内装および外装を見直した。それと同時にスーパーチャージャー搭載車両、およびTバールーフ仕様(左右上部のみが開く構造のオープンカー)の車両が発売された。
また、1988年には電動ドアミラーや内装の変化などが行われた。
1989年に足回りなどがセリカベースのSW20が製造されるようになったため、製造を中止した。
余談ではあるが本来AW型はAW10型とAW11型が存在する。
にもかかわらず、AW10が全く取り沙汰されず専らAW11と呼称されるのは、一重に圧倒的なAW10型の影の薄さが原因である。
それもその筈で、AW10はスポーツ走行向けのエンジンを積んでおらず、スポーツ走行を視野に入れて開発されたAW11に対して、その廉価モデルであったAW10のエンジンは回らない・加速が伸びない・低速トルクだけはあると完全に街乗り向け。
「狼の皮を被った羊」どころか、「イタチの皮を被った亀」というレベルである。
安いスポーツカーの更に安い街乗り向けモデルなどとあっては最早、認知される程売れてないという一言に尽き、その影の薄さたるや正規のトヨタディーラーや工場に行っても存在を知っている人は当時整備等を行った一握りの人のみという有り様。
ここまでコキ卸しておいてなんではあるが、一応AW10独自の利点も存在しており、燃費の良さ・車重と重心の低さから来る旋回性能・性能が低いが故にガンガンアクセルを踏める為、街乗りでも充分楽しめる。といった部分はAW11に勝るAW10の利点と言えよう。
因みにAW10は筆者の愛車である。