Bellabot
べらぼっと
「BellaBot」は、Pudu Robotics (Shenzhen Pudu Technology Co., Ltd.) が発売している配膳ロボットである。
後方が開放されている筐体内に最大4段のトレイが備え付けられており、各段のトレイ上に料理皿や食品等を、各段10kgまで置くことができる。
トレイに料理皿等を載せたまま、椅子やテーブルなどが置かれたレストラン等の店内を自律して自走することができ、指定された位置で停止する。
利用客等に向けて、音声やディスプレイ表示、ランプ表示での案内が可能。
筐体上部がネコ耳を模した外観となっていたり、前面上部にあるディスプレイに猫を模した表情(目やヒゲ)が表示されたり、音声(語尾に「にゃ♪」をつけて喋る)などにより、「ネコ型配膳ロボット」というコンセプト通り、親しみやすさを感じさせる。
筐体上部にある猫耳に見える部分を触ると、音声で「くすぐったいにゃ♪」などと反応してくれる場合もある。(個々の機体の設定、仕様による。)
筐体下部全周に装備されている3Dセンサーにより、およそ2m(前面は最大10m)内の障害物の検知が可能で、静止している椅子等はもちろん、混雑していて不規則に客が歩いている店内も衝突せずに走行することが可能である。
走行経路の探知方法は2種あり、あらかじめ天井に多数貼り付けておいたマーカーシールを読み取りながら走行するビジュアル方式と、マーカーシール等を必要とせず BellaBot が周囲をレーザー探査し障害物の配置と自機の位置を常に確認しながら自律走行するレーザー方式がある。
料理皿等を置く後部のトレイ部には認識センサーが組み込まれており、客が料理皿等を取り出したらそれを検知して自動で移動を再開する、という設定が可能。(筐体上部後方にある完了ボタンを押すまで移動しない、という設定も可能。)
飲食店における人手不足や、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行に伴い、利用が拡大している。
外見や声に関心を持つ声が多い。
日本では、すかいらーくグループがガスト、バーミヤン、しゃぶ葉を中心に2021年から2022年末までにかけて2000店規模での導入を進めており、世間へのBellaBotの認知が一気に進んだ。その他、日高屋、焼肉の和民等でも導入されており、2022年時点では3000台程度が導入されていると見られ、飲食店向けの配膳を主目的としたサービスロボットとしては、日本国内で最大級の稼働台数となっている。
ちなみに、Pudu Robotics では BellaBot の他にもサービスロボットとして複数機種を展開しており、PuduBot(配膳)、KettyBot(配膳・案内)、SwiftBot(配送)などが現在展開されている。
特に KettyBot は、最小装備では配膳用トレイがなく案内ロボットとして運用することが基本となるが、飲食店向けに配膳用トレイを装備した配膳ロボットとして運用することも可能で、日本においては、ココス、ホポラマーマ、日高屋等に多数導入されており、日本では BellaBot に次いで認知度の高い配膳ロボットと見られる。
なお、KettyBot はトレイ認識センサーがないため完了ボタンを押さないと移動を再開しない、積載可能重量も少ないなど、機能としては BellaBot よりも下位の機種となる分、価格も安価である。また、KettyBotには「猫型」仕様はない。
BellaBot をモチーフとしたキャラクター「Kerfuś」がいる。
猫耳メイド女性として擬人化されているが、このキャラクターはポーランドのインターネットコミュニティで生まれたものであり、当然のように日本のインターネットコミュニティ、そしてpixivでもほとんど知られていない。
もともとはフランス発祥で世界展開しているスーパーマーケット「カルフール」のポーランド ワルシャワの店舗に、飲料メーカーのペプシコの製品の販促のため、2022年9月下旬から BellaBot が導入されたものである。トレイ部にペプシコーラ等のペプシコ製品を大量に積み、スーパーマーケットであるカルフールの店内を縦横に移動しての製品アピールに利用されている。("配膳"ロボットとしての利用ではなかった。)
この際、導入したロボットにカルフール・ペプシコ自身が Kerfuś と名付け、"eRobot"(サービスロボットのこと)の導入をアピールしている。この導入は2店舗だけだったからか、しばらくはあまり注目されなかったようだ。
しかし、10月中旬になってから突如、インターネット上のポーランド語圏のコミュニティ内で話題になる。まず、ポーランドのカルフール店内で撮影されたと思われる、猫のような見た目をした Kerfuś の写真や、「にゃー」と鳴いている様子の動画が、Twitter、TikTok、Reddit 等に続々と投稿された。
そしてほどなくして、Kerfuś を擬人化したキャラクターのイラストを描く者が現れ、その後、様々な作者によりSNS等に投稿されるようになる。
現在では、ポーランド語圏に留まらず、英語圏などのコミュニティでも擬人化された Kerfuś のイラストが見られるようになり、DeviantArt などのイラストコミュニティサイトでも多くの Kerfuś のイラストが投稿されている。