概要
第10巻収録(第85話)『浦島太郎』に登場。本名は不明。
炭鉱で働く父親に弁当を届けに行ったところで炭鉱事故に巻き込まれ、それ以降昏睡状態に陥ってしまっている。この仮名は他にも生存者がいたためだが、彼らはいずれも亡くなり、現時点ではCさんだけが生き延びていた。
なおこの事故は作中時間で55年前、そして当時Cさんは15歳の少年だったため、本来なら70歳の老人となっているはずだが、事故の影響で脳に異常が起きたらしく、15歳の肉体を保っていた。
そして紆余曲折の末、ブラック・ジャックの手術は成功し、Cさんは意識を取り戻す。だが当然Cさんは15歳時点、つまり事故直前までの記憶しかないため、医師から聞かされた話によって55年分の時の流れを知ることとなり慟哭。
そして……
「あああ 顔が!! どんどんしなびていく!!しわだらけになっていく!!」
止まっていた時間が動きだすかのごとく、Cさんは一気に老化。
「なぜ… ぼくを……」
「なぜぼくを起こした? なぜそっとしておいてくれなかった?」
そう言い遺し、彼は息を引き取った。
以下はこの直後のドクター・キリコとブラック・ジャックのやり取り。
※元々Cさんはキリコによって安楽死させられるはずだったが(生命維持装置の費用がバカにならないため)、居合わせたブラック・ジャックによって手術が行われる事になった。ちなみにキリコは深夜0時までに意識が戻らなければ安楽死の処置を行うとしていた。
「交代の時間だ、引き渡してもらおう」
「患者は死んだ」
「死んだ!?手術の失敗か!?」
「失敗ではない!患者は意識がもどった なおったとたんに老化現象が起こったんだ!」
「老衰で…死んだんだ」
「おれたちは ばかだっ!」
余談
Cさんのように「手術自体は成功したが、結果的に救うことができなかった」患者は他にも登場する(同じ10巻だけでも山奥の妊婦、ケネス大尉、アフリカの医師クーマ等)。
また彼の登場回である『浦島太郎』はキリコが元軍医で、当時の体験から安楽死を専門とする「死に神」となったことが語られた。「死に神」と呼ばれるキリコも、ラストの2コマではBJからCさんの死亡を聞かされた際には愕然とした表情を見せ、「おれたちはばかだっ!」と嘆く彼の側でやりきれなさそうに項垂れているのが印象に残る。
『報復』では日本医師連盟の会長が面子絡みでブラック・ジャックに圧力をかけ別の医師に手術させたために患者を死なせる等、『浦島太郎』とは逆に彼に手術をさせなかった事で後味の悪い結末を迎えていた。