概要
脚本:田畑由秋・漫画:大熊ゆうご・医療監修:後藤伸正による日本の漫画作品。
手塚治虫作『ブラック・ジャック』のリメイク漫画であり、『ヤングチャンピオン』(秋田書店)にて2019年まで連載していた。全16巻。
1960年代を舞台とした、医師免許を取得するために大学に在籍して勉強をしている学生時代のブラック・ジャックを主人公とした作品(言わば前日譚である)。
ブラック・ジャック=間黒男はまだ医学生だが、様々な事情や成り行きにより無免許で手術を行うことになる。また、大学闘争やベトナム戦争など、物語の舞台となる1960年代後半の世相や国際情勢をストーリーに多く取り入れている。
また、原作で触れられていたネタが幾度と拾われており、本間丈太郎医師がメスを取り出した際のエピソードなども本作で詳細に描かれている。
原作『ブラック・ジャック』と同様いわゆるスターシステムが多用されており、それらは単行本巻末の「手塚ワールドのキャラクター紹介」で具体的に紹介されている。なお、同じく若き日のブラック・ジャックを主人公にした同名のテレビドラマ『ヤング ブラック・ジャック』が2011年に製作・放送されているが、本作と直接的な関連はない。
登場人物
主要人物
CV:梅原裕一郎
若き日のブラック・ジャック。物語開始時点で22歳。医師免許を持っていない医学生だが、独学で非常に高い技術を身につけている。母と自身の医療費のため、3億円という多額の借金を背負っている。そんな事情から苦学生でありチキンラーメンを常食し月一度の贅沢としてカレーを食べる習慣がある。
アパートで一人暮らしをしており、魚を飼育しつつ、その魚を使って手術の練習をしている描写もある。
物語が進むにつれ、様々な人間の内面に触れ、その経験が彼が『ブラックジャック』になるきっかけとなっていく。
また、コミックスでは『ブラックジャック』と名乗るきっかけのストーリーが描かれている。
手塚の手がけた原作と比べてやたら脱ぐ、服だけでなく皮も肉も脱ぐ。。
- 藪
CV:遊佐浩二
ヒロポン中毒の医者。ニューギニア戦線で、従軍医師として軍隊に同行した際、ろくな設備も医薬品も無い中で苦しみ続ける戦友たちを助けることもできない地獄に直面した藪は、戦地から帰った後は血を見ることもできない藪医者と成り果ててしまう。人の命を救うために懸命な間の姿を目の当たりにした後、己のトラウマを克服するためベトナムへ行き医者として再出発を試みる。
モデルはブラック・ジャック本編「きたるべきチャンス」に登場した綿引博士。
CV:伊藤静
間が通う大学の先輩。とある出来事を機に間と親しくなり、行動をともにすることが多い。
モデルはブラック・ジャック本編に登場した新宿南外科の女医。
狂騒の季節
- 今上エリ
CV:悠木碧
学生運動に身を投じる女子大生。顔の傷を治療してもらったことを機に間と知り合い、恋心を抱く。
失恋後、統合赤軍へ加入するも隣地を受けた仲間を庇ったために自身がリンチのターゲットとなり、仲間の手助けを借りて逃げ出すも既に危篤であり、間の手術を受けるも死亡した。(アニメでは間の手術が成功するも警察の狙撃によって死亡している。)
モデルはリボンの騎士のサファイヤ。
- 藤井
CV:鈴木達央
エリの所属する学生運動グループのリーダー。
モデルはガラスの城の記憶の札貫一郎。
- 青山
CV:豊口めぐみ
エリと同じ学生運動グループに所属するメンバー。アニメ版の脱走兵編では反戦運動を行うグループ「ベ由連」のメンバーとして登場した。血液型はB型。
モデルはバンパイアの岩根山ルリ子。
ベトナム編
- 軍医キリー(ドクターキリー)
CV:諏訪部順一
アメリカ軍のベトナム従軍医師。患者の命を救うことに情熱を燃やし、そのためなら自分の生命の危険も顧みない。若き日のドクター・キリコ。
原作では安楽死に手を染めるようになった軍医時代は坊主頭の隻眼だったが、当作ではそれ以前の軍医時代のキリコが描かれており、眼帯もつけていない。
諦めが悪く、いかなる環境においても患者を救う事を第一としている。
- 高柳
CV:利根健太朗
戦地ベトナムで取材を続けているフリーカメラマン。
モデルは『グリンゴ』の日本人(ひもとひとし)
苦痛なき革命
- リーゼンバーグ教授
CV:山野井仁
アメリカにおける脳医学の権威。専門は脳医学だが外科手術もできる。かつてはドクター・リンゲと呼ばれあの収容所で多くの人体実験に関与していたとされる。そのため人体実験で同胞が犠牲となった人々の組織から命を狙われており、CIAから過去の研究結果と引き換えに偽名とアメリカ国籍を与えられていた。
主要キャラクター以外の他のキャラクターは手塚原作のキャラクターとは無関係とされているが、リーゼンバーグに至ってはミッドナイトのリーゼンバーグ本人であると語られている。
(後述するトマス・ウィリアムズも同様である)
- トマス・ウィリアムズ
CV:高橋英則
ベトナム戦争帰還兵。戦地での出来事が原因でPTSDになった。戦地で知り合った藪と共にリーゼンバーグ教授の下を訪れ、間、岡本と知り合う。
七色いんこの終盤に登場するピエロのトミーその人であり、役者業を始める前の姿。
- ジョニー
CV:吉野裕行
無抵抗主義の黒人解放運動のリーダー。元アメリカ軍兵士でトマス・ウィリアムズとは同じ小隊に所属していた仲でもある。ただしベトナム戦争の前線には派兵されず、そのせいでトマスからは裏切られたと思われていた。
無痛症を患っているとされたが、実際はジョニーが沖縄の離島で行われた訓練に参加した際に負った特殊神経ガスの副作用。
アラバスターのジェームズ・ブロックがモデル。
- ティアラ
CV:Lynn
ジョニーの幼馴染で岡本のアメリカ留学時代の親友。
アラバスターの小沢亜美がモデル。
無残帳
CV:宮野真守
間の在学する本越大学医学部にやってきた講師で、両手足は自身が開発した義肢となっている。
かつては帝都大学で優秀な外科医として働いており、本間丈太郎医師や彼の患者だった間とは知己の関係。しかし交通事故によって四肢を失い、帝大も追われたが手術器具を格納した特殊義肢とそれを自在に操作するシステムを開発。それを間の手術によって自信に組み込ませ、手術ができるようになった。
- 澪
CV:松井恵理子
百樹の恋人で婚約者。どろろの「みお」がモデル。
- 露々
CV:大地葉
百樹の元患者の少年。薬害サリドマイドによって奇形になった右手を義手によって補っている。
- 宝
CV:緑川光
帝都大学病院の外科医。百樹の医学生時代からの友人。
どろろの「多宝丸」がモデル。
- 鯖目
CV:平川大輔
帝都大学病院の教授。
どろろの「鯖目」がモデル。
- 多野
CV:間島淳司
帝都大学病院の教授。
どろろの田之介がモデル。
- 大剛景光
CV:子安武人
帝都大学病院の院長。宝の義理の父親でもある。
どろろの醍醐景光がモデル。
- 伴俊作
CV:富田耕生
警視庁捜査一課所属の刑事。ある事件の捜査を行っている。
モデルは数多くの手塚作品に登場するヒゲオヤジ。
その他
CV:東地宏樹
『立入金融』の社長、借金取り立て屋。幼い間に3億円を貸し付けており、心臓と引き換えに借金をチャラにすると提示した。見た目は数々の手塚作品に登場するアセチレン・ランプがモデル。
コミックスではとある目的のために間をアメリカに連れていくがそれが元でとんでもない事に巻き込まれ、それが間をブラック・ジャックとして歩ませる決め手ともなった。
生まれも育ちも横浜、若い頃に空襲を経験している。
コミックス初期はランプの特徴「後頭部に蝋燭が立つ」シーンもあったが、その描写は薄れて行った。
アニメでは闇医者として茨の道を歩む事を選んだ間に、裏世界に身を置く者として哀れみとも同情ともとれる言葉を呟いていた。
部下は6名おり、暴力団沙汰担当のサイ、マリオという美男子2人と常に行動している。
何故か常にトランプを携帯している。
- 金山留蔵
CV:岡和男
宗教団体救国教教祖で資産家。見た目のモデルはI.Lのアルカード伯爵。
- レイモンド
CV:井上倫宏
間や藪と共に立入に拉致されてきた男。白血病の娘の治療費を稼ぐために日本に密入国し、上記の金山留蔵に心臓を提供することで娘の治療費を負担しようとドナーに志願した。
しかし心臓移植手術を間が執刀する直前に金山は死亡してしまう。この時、間は金山とレイモンドの骨格が似ていることに気づき、レイモンドを金山そっくりに整形。こうすることでレイモンドとその娘の命を救うこととなった。
モデルはブラック・ジャックのゲストキャラであるサミー。
- ヒューゴ
CV:武内駿輔
感情を表に出すことのないCIAの職員。リーゼンバーグ教授の過去を知っており、医学生でありながらベトナムからの脱走兵の手術を行った間の腕に興味を持つ。
人間昆虫記の釜石桐郎がモデル。
余談ではあるが、当時某アイドルプロジェクトのプロデューサーをしていた武内は、この役を演じた際に未成年ながらそのあまりにも貫禄のある演技とキャラクターの風貌にプロデューサーは副業であり、本業はこっちとファンから絶賛された。
- ホア
北ベトナムの女医。戦争の影響で無免許、医療機器不足の状況で人々を治療した中キリーと出会い…。キリコにとっての如月めぐみであり、彼女の出会いと別れは互いにとって大きな影響を残した。火の鳥異形編の左近介がモデルだが、手塚キャラモデルとは思えない爆乳。しかし、拷問を受けた際も目力だけで相手を委縮させるおっぱいのついたイケメン。
テレビアニメ
――やがておれは、間黒男という名前を捨て、ブラック・ジャックとなった。
2015年秋アニメとして、サンテレビおよびTBS、CBC、BS-TBSにて放送。また、2016年1月からはチューリップテレビでも放送されている。
本作は医大生時代の間黒男が、ブラック・ジャックになるまでの物語として再構成されており、エピソードの一部には原作から改変が加えられた(ブラック・ジャックとしての黒男が登場せず、医大生時代の黒男が体験したエピソードに変更されるなど)。
原作では精巧な手術シーンが展開されているが、アニメでは深夜枠とはいえ、人体の断面を描かないなどの自主規制がそれなりにされている。
『サイボーグ009』などを手掛けた高橋良輔など、多くの実力派スタッフが参加しており、特に高橋氏の過去作を思わせる次回予告は「むせる」の一言。
次回予告を含むナレーションは、これまでブラック・ジャックを演じてきた大塚明夫が担当しており、ここにもある仕掛けが用意されている。
スタッフ
- 監督:加瀬充子
- シリーズ構成・スーパーバイザー:高橋良輔
- キャラクターデザイン・総作画監督:片山みゆき、三浦菜奈
- 音響監督:亀山俊樹
- 音楽:池田大介・古井弘人・秋山健介
- 音楽制作:ビーイング
- アニメーション制作:手塚プロダクション
主題歌
- オープニングテーマ「I am Just Feeling Alive」
歌・作詞:UMI☆KUUN / 作曲・編曲:徳永暁人
- エンディングテーマ「オールカテゴライズ」
歌・作詞・作曲:焚吐 / 編曲:Neru
サブタイトルリスト
手術内容が括弧書きの回は間自身が手術を行っていないもの
話数 | サブタイトル | シナリオ | 手術内容 | 提供バックイラスト |
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第1話 | 医者はどこだ! | 森田眞由美 | 手足再結合 | 杉野昭夫 |
第2話 | 拉致 | 森田眞由美 | 全身整形(予定は生体間心臓移植) | カレー沢薫 |
第3話 | 脱走兵 | 野崎透 | 減圧開頭手術 | 森チャック |
第4話 | ベトナムにて その1 | 野崎透 | 左内頚動脈結紮 | ERIMO |
第5話 | ベトナムにて その2 | 野崎透 | (左内頚動脈の再吻合) | 泉谷あゆみ |
第6話 | ベトナムにて その3 | 野崎透 | 腹部銃創の手術 | ゆーぽん |
第7話 | 苦痛なき革命 その1 | 金春智子 | (右腕骨折の手術) | 石黒正数 |
第8話 | 苦痛なき革命 その2 | 金春智子 | (無痛症の治療) | 小田すずか |
第9話 | 無残帳 その1 | 森田眞由美 | 義肢機構の埋め込み | 左近堂絵里 |
第10話 | 無残帳 その2 | 森田眞由美 | 上腕動脈結紮 | 梅田阿比 |
第11話 | 無残帳 その3 | 森田眞由美 | 眼球摘出 | 田中圭一 |
第12話 | 狂騒の季節 | 森田眞由美 | 集団リンチによる複数箇所の損傷 | 大熊ゆうご |
なお田中圭一が第11話のエンドカード担当だったことは手塚治虫の長女である手塚るみ子氏に伝えられておらず、知った時はかなり驚いた模様。
なお各話エンドカードはアニメ公式HPの専用ページにて閲覧できる。勿論田中圭一の描いたエンドカードも掲載されている。
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