曖昧さ回避
- マクドネル・ダグラス社のジェット旅客機の表記ゆれ⇒DC-10
- 鉄道省が入換用機関車のサンプルとしてドイツから輸入した機械式ディーゼル機関車。
本稿では2.のDC10について記載する。
鉄道省DC10
鉄道省が入換用機関車のサンプルとして1930年(昭和5年)にドイツから輸入した機械式ディーゼル機関車。製造元のクルップ社でエンジンの製造に手こずり設計変更や改修が繰り返されたため、同じくサンプルとして輸入した電気式ディーゼル機関車のDC11形の到着から1年半遅れた昭和5年11月に神戸港に到着した。
搭載エンジンは直列6気筒4サイクルの無気直接噴射式ディーゼルエンジンで、完成後も燃焼効率の改善に難航したとされる。直噴エンジンはシリンダー構造が簡素化できる一方、燃料の噴射方向やタイミングの調整、ピストン頭部形状などの選定が難しく、これに伴う設計変更が納品遅延の原因となった。
エンジンに直結するエアコンプレッサーを使ったスーパーチャージャーが搭載され、エンジン始動もコンプレッサーからの圧縮空気で行っていた。
到着後、分解・調査の後組み立て整備が行われ、山陽本線上での性能試験の後、鷹取機関区に配置され神戸港などでの貨車の入換業務に試用された。
しかし、当時の技術力ではエンジンからの強大なトルクと大出力に変速機が耐えられず歯車の偏摩耗や割損といった変速機トラブルに悩まされることとなった。また昭和10年頃にはDC11形共々故障が続出するようになり、当時の日本の技術力では替えの部品の制作や調達が困難だったため休車に追い込まれ、その後廃車となった。
廃車後徹底的な分解調査が行われ、国内の各社に貴重な技術資料として公開された。
その後は戦時中の金属類回収令で供出されたとも言われているが、終戦前後の混乱期もあって正確な消息は分かっていない。
DC10形とDC11形の教訓から鉄道省が試作したディーゼル機関車のDD10形は電気式を採用することとなった。
投稿イラストの傾向
1両のみが在籍した戦前のサンプル機ということもあってイラストは確認できず、DC-10旅客機の表記ゆれのイラストで占められている。