概要
ブガッティブランドの第二期にあたるブガッティ・アウトモビリが発売したスーパーカー。
車名はブガッティの創業者エットーレ・ブガッティ(Ettore Bugatti)の頭文字と、彼の生誕110周年に由来する。
歴史
1980年代にスズキの販売網を構築し成功を収めたイタリア人実業家、ロマーノ・アルティオーリが、イタリアのモデナにブガッティ・アウトモビリを設立。
彼は財力にものを言わせ、新興メーカーとしては破格の広大かつ近代的な工場を建設した。
立地にモデナを選んだのは、他のスーパーカーメーカーの工場も存在することから、人材や部品の調達に有利だった為とされている。
デザイナーにはカウンタックやストラトス等で有名な巨匠マルチェロ・ガンディーニを、車体設計には同じくカウンタックで有名なパオロ・スタンツァーニを起用。
ブガッティという伝説のブランドの再興にふさわしい名車の誕生は確約されていた・・・はずだった。
しかし、アルティオーリのワンマンぶりに付いていけず、この二人は後にメンバーを外れている。
特にガンディーニが作った先鋭的なデザイン案がアルティオーリに受け入れられず、後に第三者による手直しが施されて何とか完成させている。
特に顔つきは似ても似つかないほどに改修されているが、全体的なシルエットはガンディーニの案をなぞっている。
このような経緯から、EB110はガンディーニの作品として扱われておらず、自身もそれを否定している。
尚、このデザイン案はマセラティに流用され、スーパーカーのコンセプトカー「チュバスコ」としてショーに出展された。
完成したEB110は、先述の通りエットーレの生誕110周年にあたる1991年に発売。
3.5リッターV12エンジンにクアッドターボで560馬力を発生する怪物であり、当時は世界最速のスーパーカーの一台として名を連ねた。
しかし、直後に日本のバブル崩壊に代表される世界的な不景気が始まったこと、そしてアルティオーリのワンマン経営が失敗して資金難に陥ったことから1995年にブガッティ・アウトモビリは倒産。
EB110に続いて4ドアセダン「EB112」を発売する計画もあったが、立ち消えとなった。
倒産に前後してプライベーターにより耐久レースにも出走しているが、結果は残せずに終わっている。
総生産台数は約150台、日本に正規輸入された台数は8台であった。
その他
- モデナにある工場は今なお現存しており、観光ツアーにより立ち入りが可能である。内部にはEB110の試作車などが保管されているとの事。
- 元F1レーサーのミハエル・シューマッハも新車を購入し、所有していた(後にオークションで売却)。
- 漫画『こちら葛飾区亀有公園前派出所』に登場したことがある。