MSX・FANとは、徳間書店インターメディア(かつて存在した徳間書店の子会社)によって刊行されていたMSXパソコン専門誌である。通称Mファン。
概要
1987年創刊。総合投稿プログラム専門誌であった「プログラムポシェット」の後継誌であり、同社の「テクノポリス」「ファミリーコンピュータMagazine」等の姉妹誌である。企画段階でのコードネームは「M-COMマガジン」。
創刊当初からゲームを中心としたエンターテイメント関連の情報に重点を置いた誌面構成であった。大別すると、ゲーム関連の記事(タイトル別の特集記事の場合と「ゲーム十字軍」としての攻略、新作情報の3種類)、読者コーナーである「ファンファンボックス(FFB)」、そして一連の投稿プログラムのコーナーという構成になっている。
MSXパソコン専門誌としては後発の部類であり、さらに雑誌刊行中時代を下るにつれてMSXパソコンの市場そのものが終息に向かっていった関係もあってか、読者投稿コーナーが非常に充実していた。一般読者コーナーである「ファンファンボックス」系以外で代表的なものを示すと、以下のものが存在する。
- ファンダム (ゲームプログラム)
- サウンドフォーラム (音声表現デモプログラム)
- AVフォーラム (上記サウンドフォーラムが映像表現を解禁して改題したもの)
- FM音楽館 (FM音源演奏プログラム)
- MIDI三度笠 (MSXturboR専用、MIDI演奏プログラム・データ)
- ほほ梅麿のCGコンテスト (CGイラストレーションとアニメーション、BIT2監修)
市場が収束に向かい、本体・ソフトウェアの展開が終了した後も、ユーザーコンテンツをベースに、まさしく「MSXファン」層向けの雑誌として刊行が続いていった。しかしながら徐々に紙面の扱いに苦慮するようになり、1993年には広告出稿数の激減も災いして予告なく隔月刊形式に移行、とうとう1994年10月号で、1995年8月号を以って休刊することが発表された。即時休刊としなかった事情には、定期購読の制度が存在した関係もあると言われているが、結果としてこれが形成されたコミュニティの維持を模索する時間的猶予と現実的リミットを与える形になった。パソコン通信による存続も検討されたが、既にMSXの市場が終息状態にあったという問題や、根本的にユーザー層・読者層自体が中高生主体であったことが災いして「参加したいが機材が無い」という意見が多数派となってしまい、頓挫している。
1995年、8月号にて予告通り休刊。その後徳間書店インターメディアも2000年に解散となり、現在は親会社である徳間書店と、一部関連書籍については毎日コミュニケーションズが権利を所有している。
スーパー付録ディスク
1991年4月情報号から「スーパー付録ディスク」が付録として添付されるようになる(同時に当時の雑誌形態の都合上ムックの形式に移行し、「~月号」から「~月情報号」という呼び名になった)。
紙面中の読者投稿コンテンツがほぼ全面的に収録されており、しかも単純に収録されているだけではなく、コーナー別、コンテンツ別にメニュー画面から移行するナビゲーションソフトウェアを同梱したディスクマガジンの形式となっていた。木村明広によるタイトルイラストも特徴の一つであり、第3回以降はこれも読者募集したバックストーリーをベースとしたイラストレーションが展開される。
後に編集部自身の手によって、登場キャラクターの一人(?)である「ルーシャオ」を主人公に据えた「ルーシャオの大冒険」も収録されるようになった。
その他、最新作品のデモソフトウェアや、旧作の収録なども行われた。例えばスーパー付録ディスク第1号の特集は、マイクロキャビンの「サーク・ガゼルの塔」のオープニングデモであった。
このスーパー付録ディスクの採用により、誌面掲載不可能なデジタルデータをベースとした投稿作品も解禁された。この恩恵は特に「ファンダム」と「CGコンテスト」で顕著であり、前者では紙面での掲載が難しい超大規模プログラム部門として「D部門」、後者ではアニメーション作品部門として「紙芝居部門」が新設された。
もっとも、MSXで製品化されていたのは3.5インチ2DDフロッピーディスクドライブ(最大容量約700kB)であったため、後半からは容量問題に苦慮するようになり、ディスクの複数枚化や、他のディスクへの展開を前提にするコンテンツが増えていくことになった。
過去の名作ゲームを収録する「Oldies」では、ザナドゥやサイキックウォーなどの大作ソフトも収録された。
なお、当時発売された実機以外の環境で使用する場合であるが、公式MSXエミュレータである「MSX-PLAYer」ではフロッピーディスクドライブを搭載したPCであればそのまま使用可能。1chipMSXにはフロッピーディスクドライブが存在しない(USBポートはあるが機能していない)ため、カートリッジコネクタに接続可能な実機用フロッピーディスクドライブを用意するか、イメージ化ソフトによってイメージ化する必要がある。