SCREEN2
すくりーんに
以下はすべてMSXの話である
正式名称は「GRAPHIC2モード」だが、BASICコマンドでは「SCREEN 2」と命令するのでこう呼ばれる。
描き変え可能な文字であるPCGを画面全部に敷き詰めてグラフィック画面とすることでVRAMの使用量を1/4に抑えている。
またSCREEN1(テキスト画面)の状態ままSCREEN2のグラフィックを使う「SCREEN 1.5」と呼ばれる裏テクニックが存在し、PCGをタイルパターンとして用いた描画処理の高速化や、スクロール表示等に利用された(『グラディウス2』等でスクロールがカクカクだったのも、1文字(8ドット)単位のスクロールだった事が原因である)。
なお、更なる裏テクを使ってなめらかスクロールを成功させた『テセウス』と言うゲームも存在はしたが、こちらは「背景は壁と赤いプール(放射性廃棄物)のみ、他は真っ黒」を前提としたテクニックなので例外であろう。
横8ドットに2色
SCREEN 2で使える色は最大16色(0は重ね合わせ処理用の透明色なので実質15色)なのだが、上記の通りPCG(文字データ)を流用しているシステムの関係から横8ドットにつき2色しか使えないと言う制限があった(文字データとしては文字と背景の2色あれば十分なので)。
つまり、縦方向にグラデーションを掛けることは容易だが横方向には困難という仕組みである。
これを使いこなすにはかなりの慣れが必要な制約で、1キャラに4色(うち背景1)しか使えないにもかかわらずその4色の配置に制限のないファミコンに比べても、当初は見劣りする画面が多かった。
とは言えMSX1末期のソフトでは熟練したドット絵職人が色数を生かし、背景では平均的なファミコンソフトと同等かそれ以上のものも少なくない。
また前景キャラクター(スプライト)を重ねて色数の制限を緩和する手法もある。エニックスの「ドラゴンクエストⅡ」で使われている。
MSXでもビットマップ形式のグラフィックモードは存在する。それがこのSCREEN3である。
しかし横64*縦48と言うすさまじい画面の粗さを誇るためまず使われなかった。
ただし「画面の粗さ=描画の速さ」から当時としては異例の高速3D迷路ゲーム『イリーガス エピソードIV』(前述の『テセウス』もイリーガス(ギリシャ語で「渦巻」)シリーズである)が作られたりもしている(当時のパソコンで同じスピードを出せるのは高級機PC-9801ぐらいしか無かった)。雑誌投稿ゲームだと、キャラの大きさを売りにした格闘ゲーム等で使われた事も。
余談だが、PC-6001シリーズ用として発売された『タイニーゼビウス』も、同じ考え方で当時「家庭用への移植は無理」と言われていた『ゼビウス』の移植を成功させている。