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SCP-1423

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えすしーぴーいちよんにーさん

SCP-1423はSCP財団によって収容されているSCPオブジェクトの一つである。

"We've had a great year, haven't we?"

アイテム番号:1423

メタタイトル:76年、夏

オブジェクトクラス:Safe

概要

特別収容プロトコル

SCP-1423はサイト77のSafe SCP収容棟の標準封じ込めロッカーに保管されている。SCP-1423との直接的な物理的接触は一切禁止されており、誤って接触した者は「認識汚染災害犠牲者」として直ちに任務から排除される。研究職員は影響を受けた可能性を排除するため、4週間ごとに精神検査を受けることが義務付けられている。

説明

SCP-1423は1976年に撮影されたポラロイド写真である。この写真には正体不明のティーンエイジャー数名が写っており、写真の裏面には棒炭で「私達は最高の一年を過ごしました!」(We’ve had a great year, haven’t we?) と書かれている。

SCP-1423に触れると、被験者は強力な記憶改ざんの影響を受ける。この影響により、被験者は数週間にわたり高校最後の夏休みの出来事を非常に鮮明に思い出すようになる。この記憶は通常、被験者が実際に体験した出来事と一致するが、理想化される場合もある。

〈俺たちは最高の夏休みを過ごしただろう?なあ?〉

影響を受けた被験者は、自分の思い出の舞台となった場所を再訪し、かつて一緒に過ごした人々と連絡を取ろうとする。しかし、これらの試みは当時の感動を再現するには至らず、被験者は喪失感や後悔の念を抱くことになる。それでも、被験者は思い出の再現を試み続ける傾向が強く、最終的にはSCP-1423に対して異常な独占欲を示すに至る。

〈まさか忘れたのか?あの夏、何が起こったのかを。〉

SCP-1423の影響は時間が経つにつれて深刻化する。接触から数ヶ月が経過すると、被験者は「理想的な夢」に依存するようになり、日常生活を完全に放棄する可能性が高まる。この段階では夢の中の出来事が現実を超えて非現実的な内容に変容し、被験者は現実世界との繋がりを失っていく。SCP-1423の影響は適切な対応がなされない限り、無期限に持続する。

発見経緯

SCP-1423は、隣人から行方不明と通報があった███ █████の家から回収された。報告を受けた財団職員が介入し、異常効果を確認した後、目撃者には記憶処理を施した。SCP-1423の影響を受けていた█████氏は、1976年にカーク・ロンウッド高校で発生したSCP-332-A事件と関連している可能性がある。このため、SCP-1423とSCP-332の関連性を調査する研究が現在も進行中である。

〈頼むよ、俺たちはずっと演奏していただろう?あのむせかえるような太陽の下で。〉

被験者の記録と影響

SCP-1423の影響を受けた被験者は以下のような行動を示す。

  • 記憶の回想

被験者は自分の「高校最後の夏休み」の出来事を鮮明に思い出す。この記憶には、夏祭り、コンサート、キャンプなどの具体的な内容が含まれることが多い。これらの記憶は実際に被験者が体験した出来事と高い一致率を示す。

  • 再訪行動

被験者は、過去の思い出の舞台となった場所を再訪しようとする。だが、これらの場所を再訪しても当時の感動を再現することはできず、被験者は喪失感や失望を抱く。この感情は次第に強まり、現実に対する不満や疎外感を助長する。

  • 夢の追求

被験者はSCP-1423の効果によって得られる「理想的な夢」に依存するようになる。彼らの夢は次第に現実を超えて非現実的な内容に変容し、被験者は現実世界への興味を失う。最終的に、被験者は夢の世界で生きることを望むようになる。

補遺

以下はSCP-1423に影響された被験者から回収された文章である。

それは永遠で、無限で、とにかく他のあらゆる「クソ長い」って意味の言葉が当てはまるのさ。俺たちは車に乗って走り出した。 しかしどこへもたどり着かない。 俺たちはいつだって もう少しでコンサートに行けたってのに。あぁ、今日はコンサートの日だったな。昨日はサンゴの城を見に、マイアミへと進路を向けた。 この前の火曜日はワシントン。婦人参政権論者と集まるために。参政権?ああ、まともじゃない。何もかもまともじゃない。

俺は本当に、本当にジェリーのクソッタレな顔をつかんでやりたい。そして叫ぶ、"おい、俺たちはやっぱりどこにも行けねえぞクソこの脳足りんいつそこに俺たちは行けるのか"。しかし彼は耳を貸さない。なぜなら俺は言ってないから。俺はここでくつろいで、天然色の草と農場の丘をよろよろ歩く。 約11度目の昨日、ボイド牧場を通った。そしていつも正面ゲートは錆びついてる。俺は一度、ポーチを載せた誰かを見た、と思う。下劣な、落ち窪んだ眼をした誰かを。そいつは付いて道を下ってきた。

沼のガスじゃなかった。

君は今のクラスを楽しみにしてる。クラス?ああ、数か月、いや数年、前のクラスに戻るなんて考えてない。あほ面と錆びた眼鏡のけちんぼネイサンにあったのを覚えてる。見かけるたびに、よくあいつの顔を叩こうとしたんだっけ。その口もきかない、むすっとした顔を。クソもし今あいつに会ったら…わかんねえ。多分考え過ぎだろう。

いずれにしろ、明日はコンサートだ。もう一度エイミーに会いたい。

道は続く。ひび割れた ハイウェイを登っていく。ジェイミーはクッションの下で10セント硬貨を見つけた。これで自分の魂を買い戻そう とした。ゲームセンターのように突っ込んで、僕たちは彼がスピンするのを見た。太陽は向こうに輝いて、道路沿いの木々の間を光が踊ってる。燃え盛り、崩れ落ちながら。実際にあれは木ではない。わんわん物語に似て、風の中でもがいてる。パパからの葉書を再び見つけ出した。僕の夏休みがパパのと同じくらいいいものになるよう願ってるって。

そう じゃなきゃ だったらいいな。

余談

大前提として、SCP-1423は失神交響楽(SCP-4833)に関連するSCP群のうちの一つである。つまり、SCP-1423の記事単体を読んだだけではわからないことが多くある。例えば、本家記事の”We’ve had a great year, haven’t we?”の部分は思い出という失神交響楽についてのtaleと関連SCP記事がまとめられたサイトへのリンクとなっている。また、説明の「彼らが夏休みの間に遭遇した他の対象と連絡しようとします。」の部分はSCP-2316「校外学習」へのリンクとなっている。

さて、ざっくりと説明すると失神交響楽とは、音楽に関する異常を生み出す現実改変者集団のことで、彼らは調和の状態(State of harmony)を作ることを目標としている。また、多くのSCP(SCP-332、SCP-1423、SCP-2316、SCP-4211など)と関りがあり、これにより財団の要注意団体の一つとなっている。しかし、これ以上のことはわかっておらず、そもそも財団側から連絡する手段がないので調査することもままならない状態となっている。

深く知りたい方は、是非本家記事を読んでほしい。

〈やっと思い出したかい?俺たちのことを。〉

〈さあ、みんなが湖で待っている。〉

〈君は...いやみんなは、あのクソッタレな財団に騙されているんだ。だって…〉

〈We’ve had a great year, haven’t we?〉

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