好き嫌いしないことって大切ですね(白目
アイテム番号:8338
メタタイトル:私はアメリカ合衆国の大統領だ。だからもうブロッコリーは食べん!
オブジェクトクラス:Nutralized→(分類の変更を検討中)
概要
嫌いな食べ物を思い浮かべてほしい。ピーマン、トマト、シュールストレミング...人によって違うだろう。では、その食べ物の概念を地球上から抹消できるとしたらどうだろうか。「これいや!」と言えば言うほどその食物の生産量が減り、しまいには認識すらされなくなる...絶対に3歳児に持たせてはならない能力であるが、一度は夢に見たことがあるのではないだろうか。
SCP-8338は、とある人物にその能力が発現したことによって引き起こされた異常現象なのだが...まあ、発現した人物がとんでもなく厄介な人物だった。そう、元アメリカ第41代大統領のジョージ・H・W・ブッシュ大統領である。彼は生粋のブロッコリーアンチであり、このことについて単独のWikipedia記事もあるぐらいなのだが、運の悪いことに「ブロッコリーについて悪口を言うとブロッコリーの生産量が異常に減る能力」が付与されてしまったのだ。彼がブロッコリーを食べることでブロッコリーの生産が増加し、少なくとも1か月に1回ブロッコリーを食べることで世界のブロッコリー事情が安定するが、なんと3か月間一回も食べないと、世界からブロッコリーの概念が消滅するらしい。そりゃ財団も必死になるわけである。
因みにこれにより引き起こされるのは「HWK-クラス"アブラナ科植物崩壊"シナリオ」らしい。なんじゃそれ。
補遺8338.1:異常発生の経緯
SCP-8338-1のブロッコリー嫌いは子どもの頃からのものだったが、大統領就任中にその影響は異常なまでに拡大した。以下は、その異常な現象の一部である。
ブロッコリーの栽培量が急減: SCP-8338-1がテレビで「もうブロッコリーはたくさんだ!」と叫ぶたびに、農家の収穫量が急減。
ブロッコリー摂取が現実を安定させる: 彼が嫌々ブロッコリーを一口食べるたびに、なぜかブロッコリーの栽培量が元に戻るという謎の現象が観測された。
補遺8338.2:ホワイトハウスでの会談ログ
SCP-8338-1によるブロッコリー抹殺を止めるためにSCP財団からフランシス・オウン博士が派遣され、FBIUIU(連邦捜査局異常事件課)のサミュエル・ブラウン課長と共にどうにかブロッコリーを食べるように説得したのだが...
«ログ開始»
オウン博士: 大統領閣下、お会いできて光栄です。
[オウン博士がSCP-8338-1に握手を求める。SCP-8338-1は困惑した表情を浮かべるが、躊躇いがちに握手を返す。]
SCP-8338-1: よろしいよろしい、しかしなぜ君たちは私にブロッコリーを食べろというのかね?
オウン博士: 閣下、我々の組織がお送りした概要説明ファイルでお分かりのように—
SCP-8338-1: 読んでおらん。
オウン博士: 何とおっしゃいました?
SCP-8338-1: ブロッコリーは食べん。
オウン博士: は?
SCP-8338-1: バーバラはたまに、私がとても上機嫌な時にブロッコリーを食べさせるのだが、サミュエルが言うには、何らかの…不足を防ぐために少なくとも1日1回は食べる必要があるらしいね?(バーバラとはSCP-8338-1の妻、バーバラ・ピアース・ブッシュのこと)
オウン博士: おっしゃる通りです、閣下。しかし—
SCP-8338-1: ああ、勘弁してくれ!なぜ私がクソ忌々しいブロッコリー不足などを気にしなくてはならんのだ?私はアメリカ合衆国の大統領だ。だからもうブロッコリーは食べん!
ブラウン課長: 大統領閣下、私がお伝えしようとしてきた通り、ただの不足ではありません。地球上の全てのブロッコリーが消滅するのです!
SCP-8338-1: なぜそれを気にしなくてはならんのだ?
[ブラウン課長が右手を顔に当て、鼻から大きく息を吐く。]
オウン博士: 閣下、ブロッコリーが徐々に減っていくのではありません。突然、ブロッコリーに関する人類の知識が完全に消え去るのです。それが存在していたことすら誰も理解できないでしょう!
SCP-8338-1: それはいい!実のところ、その"不足"とやらが起こるように全力を尽くすつもりだ!
ブラウン課長: 我々は今しがた"不足"ではないと…
オウン博士: 大統領閣下、失礼ながら、我々の組織がそのようなことを許すわけがないとご存知のはずですが。
SCP-8338-1: 私はアメリカの大統領だ!私は君たちのちっぽけな財団を我々の領土で活動させ、資金も提供している。私の言うことをよく聞くがいい。ブロッコリーはもうたくさんだ。君たちに私が止められるものか!
ブラウン課長: この会談の前に言っただろう—彼は聞く耳を持たないだろうって、なあ 小僧。
オウン博士: "小僧"?私のほうが年上なんだぞ。
«ログ終了»
…とまあ、話にならなかった。やはり人間、権力を手にすると愚かになるものである。
補遺8338.3:財団の涙ぐましい作戦
悲惨な結果に終わった会談の後、財団は何とかブロッコリー消滅による世界終焉シナリオを避けるため、様々な作戦を展開したが...
- 作戦#:01
説明:ホワイトハウスに職員として潜入した財団のエージェントが、SCP-8338-1にブロッコリーが1房入ったスムージーを提供する。スムージーの中の他の材料がブロッコリーの存在を隠すと考えられていた。
結果:SCP-8338-1は快くスムージーを受け取り、飲み始める。しかし、彼はすぐにブロッコリーに気付き、スムージーの残りを捨てながらエージェントを非難した。SCP-8338-1がブロッコリーの一部を摂取したため、SCP-8338の発生は防止された。作戦は失敗とみなされた。
- 作戦#:03
説明:財団のエージェントはSCP-8338-1の息子であるジェブ・ブッシュ知事を徴用し、彼が次にホワイトハウスに訪れた際に父親にブロッコリーをもっと摂取するように「冗談で」勧めさせる。
結果:SCP-8338-1は息子に対して激怒し、最終的にはジェブ・ブッシュがホワイトハウスのクリスマスパーティーに招待されなくなるという口論に発展した。作戦は失敗とみなされた。
- 作戦#:09
説明:SCP-8338-1の年1回の健康診断で、彼は看護師を装った財団のエージェントから錠剤を渡される。その錠剤には微量のブロッコリーが含まれているが、通常の人間が知覚できないほど極めて微量であることが確認されている。
結果:SCP-8338-1は首尾よく錠剤を服用したが、ブロッコリーのような味がすると不満を述べた。どのような手段で感知したのかは不明だが、彼の現実改変能力の潜在的な残滓か、SCP-8338の現在の主要媒介者であることで獲得した追加の異常性質のいずれかである可能性がある。
- 作戦#:15
説明:実験的なテレポーテーション技術を利用し、ブロッコリーの小片をSCP-8338-1の胃の中に転送する。
結果:テレポーテーションがSCP-8338-1の胃に合併症を引き起こし、ブロッコリーを除去する手術が必要になった。ブロッコリーが原因であることを認識した彼は、ブロッコリーに対する嫌悪感を増した。大失敗。
- 作戦#:28
説明:SCP-8338-1をブロッコリーの概念と融合させてSCP-8338を無力化するために、エリケシュ概念工学を利用する計画が提案された。
結果:O5評議会の投票により却下。実際作戦を行った場合どんなことになるかは...まあO5が軒並み却下したことからわかるよね...?
財団側の惨敗である。パパブッシュ強すぎ案件。
補遺8338.4:O5評議会による会合
この案件、あまりにもバカバカしいと同時に、思ったよりめんどうくさいため、O5評議会はいい加減どうにかしようと会合を開いた。以下が、会合の会話ログである。
«ログ開始»
O5-1: これより、O5評議会による会議を招集する。本日の議題はSCP-8338とその対処法についてである。スリーに発言権を与える。
O5-3: ありがとう、ワン。過去5年間、我々はSCP-8338を防止すると同時に、SCP-8338-1との衝突を防ぐことに成功してきました。しかし、SCP-8338は依然として正常な社会全体にとって危険な脅威であり、SCP-8338-1は近い将来に協力する兆しを見せていません。それでは、解決策を協議しましょう。
[沈黙。]
O5-3: 本当に?何も?誰も思いつかないんですか?
O5-7: スリー、作戦ログを見たか?我々はあらゆることを試した!他に何ができる?
O5-12: そうだね、まだ試していないアイデアが1つだけある。君たちは気に入らないと思うけど。
O5-1: 現時点では、できることは全てやるつもりだ。トゥエルヴ、君のアイデアとは?
O5-12: 彼を殺そう。
[沈黙。]
O5-12: 何で?彼はもう大統領じゃないんだ。
O5-9: まあ、彼の言うことも一理ある。
O5-2: しかし、元大統領を殺害するのは賢明なことなのか?
O5-10: かつて行ったことだ。
O5-1: 投票しよう。
是 | 非 | 棄権 |
O5-1 | ||
O5-2 | ||
O5-3 | ||
O5-4 | ||
O5-5 | ||
O5-6 | ||
O5-7 | ||
O5-8 | ||
O5-9 | ||
O5-10 | ||
O5-11 | ||
O5-12 | ||
O5-13 |
O5-1: 動議は可決された。
O5-3: 上手くいくことを願いましょう。
«ログ終了»
悲報:パパブッシュ処刑される...ということで、機動部隊アルファ-1 ("レッド・ライト・ハンド")の隊員らにより、1997/08/11に彼の私邸内で終了された。その後3ヵ月間のモニタリングの結果、SCP-8338はNutralizedに再分類された。
また、彼の代わりとなる影武者が特別に改造されたBZHRユニット(SCP-2000)によって製造され、財団の予定通り、2018/11/30に死亡した。
以下の文章は、SCP-8338-1の長男であるジョージ・W・ブッシュ氏による追悼の句の抜粋である。
…ご存知の通り、私の父はブロッコリーが食べられませんでした。しかし、私は父ほどブロッコリーに憎しみを持ったことはありません。彼がキッチンに押しかけ、母が夕食にブロッコリーを出そうとしているのを見て「ブロッコリーは全て滅びてしまえ!」と叫んで出ていってしまった日もありました。父は本当に個性的でした。私は彼から多くのことを学んだと思います。…
財団にとって、とんだ大迷惑である。
補遺8338.5:記事の更新
2018年、SCP-8338の影響が再び観測され、ジョージ・W・ブッシュ(SCP-8338-1の息子)が新たな媒介者として疑われている。彼もまた父と同じく、ブロッコリーに対する「微妙な苦手意識」を持っているとのことだ。
終わりに
食べ物は好き嫌いせずに、感謝の気持ちを込めて戴こう、以上。