概要
アイテム番号:SCP-939
オブジェクトクラス:Keter
SCP財団が管理するSCPオブジェクトの一つ。通称「数多の声で」。
全長およそ2m、体重250kg。全身が半透明の赤い外皮に覆われており、巨大な口には無数の鋭い牙を、脚には3本の鋭い鉤爪を、背中には背ビレのように立ち並ぶ棘を持つ四足歩行型のバケモノ。
体内には一般的な生物が生命活動を維持するために必要とするはずの器官がほとんど存在していない。消化器官も持っておらず、捕食によるエネルギー補給も必要としていない……はずだが、それにもかかわらず積極的に人間に襲い掛かって捕食しようとする。捕食した獲物は一時的に肺などに溜め込まれるが、結局吸収されることも無く最終的には吐き出されるという。
捕食した人間の声を模倣して発声する能力を持つ。その演技力は財団の有する音声認識機能でさえも欺かれるほどに正確。目が存在しない事もあってか、自分から積極的に動き回って獲物を探すよりもこの声真似によって人間を誘き寄せて狩る場合が多い模様。
また、肺からは「AMN-C227」という特殊な気体を放出する。この気体は記憶処理薬の一種として利用でき、その上当初は危険な副作用が無いと見られていたため、採集にさえ気を付ければ比較的低リスクで扱える記憶処理薬として一時期は重宝されていた。しかしその後、AMN-C227を二度使用した人物は、よりAMN-C227の濃度が高い場所(=AMN-C227の発生源であるSCP-939が潜んでいる場所)へ誘導されてしまうという致命的な副作用が発覚。
一見意味なく放出していたこの気体も、実はSCP-939が獲物を捕食する手段の一つに過ぎなかったのだ。
そしてこれに関する事件が発生した事で全国平均の10倍以上の行方不明者が発生していることが報告され、AMN-C227の記憶処理薬としての使用は無期限の中止とされた。しかし、野性のSCP-939を駆逐するためにその性質を逆利用してSCP-939の巣の場所を炙り出す事ができないかという意見もある。
前述したようにSCP-939は一目見ただけで危険極まりない存在である事がわかる怪物だが、実はそう判別できるのは、言わば「成体」の個体のみ。
では幼体はというと、なんと人間の子供にそっくり。それも外見だけでなく、遺伝的にも能力的にも非常に酷似しており、傍からはまず判別が不可能。そのまま人間の子供として8年ほど経過すると、ある日突然自分の体を引き裂いて成体のSCP-939と同じ姿に変貌する。
変貌を遂げた時点ではまだ小型だが、体格以外の外見や能力は完全に成体とほぼ変わらないものとなってしまう。逆に言えば、生後8年間は人間の子供としての姿や能力のままということだが、だからこそSCP-939の幼体が一般社会の中に紛れ込まれてもまず誰も気付けない。これこそSCP-939の最も恐ろしい性質と言える。
こうしている間にも世界のどこかでは「子供」が怪物に変身するカウントダウンが着実に進行しているのかもしれない。
関連タグ
オドガロン 非常によく似ている。