Ul'yanovskiy Avtomobil'nyy Zavod(ロシア語表記:Ульяновский Автомобильный Завод)の略。
旧ソ連の自動車設計局で、現在は資本主義化により独立した法人になっているロシアの自動車メーカー。
概要
旧共産圏の自動車事情の例に漏れず、1952年に設計された軍用オフロードカーUAZ-469のシャシーをベースにした商用車(トラック、ワンボックスバン)を50年以上フルモデルチェンジせずずーっずーっとずーっと生産してきた。
しかし粗末さばかりが目立つ乗用車と異なり、整備が容易で頑健、不整地走破能力に優れ、実用性も高いと言う特徴を持っている。
これは極寒で道路整備の遅れていたソ連の過酷な交通事情に特化して設計したためで、設計思想は同国の代表的な武器であるAK47に通じるものがある。
この為、モデルチェンジスパンの長い西側商用車と比しても、トータルの評価ではそれほど劣るものではなく、ソ連崩壊以前から西側にも輸出されてきた。
ソ連崩壊後は西側のVWやトヨタグループと提携し、ロシア国内向けに西側スタイルのオフロードカーの設計・生産を行っている一方、伝統的なモデルも軍を始めとして一定の需要があり、エンジンなどパワートレーンの改良を施されつつ生産が続けられている。
ただ、輸出においては他のロシア車同様西側スタイルの車種は劣化コピー感が拭えない事から輸出例は皆無に近く、逆にロシアの大地に適応した頑健さと独特のスタイルを持つ伝統的なモデルの方が人気が高い。
UAZ車の特徴のひとつに、西側では1970年代には使用されなくなったクランク棒による人力始動が可能という点がある。
これは技術的に遅れていたからではなく、ロシア(特にシベリア)の極寒地ではバッテリーが充電状態に関わらず化学反応を起こさなくなって放電しなくなってしまうことがある為。
ただし現在の西側スタイルの車種では搭載していない他、伝統的なモデルでもEUの排出ガス規制「ユーロ3」に対応した新型エンジン搭載車では廃止されている。
主な製品
UAZ-3303 / 3909 / 2206
UAZ-469 / 31512のシャシーを用いて設計された、小型キャブオーバートラック・ワンボックスバン。
そのスタイルは1958年から変わっておらず、最新の日本車や欧州車と並べるととても現行型には見えない。
日本では東京の岩本モータースが輸入を担当。外車ながら300万円以下(2019年時点)と商用車らしいリーズナブルな価格で購入することが可能だった。
日本で最初に形式登録認定を受けたのは2005年モデルで、気候の違いによる手直し以外はオリジナルのままの姿であった。
排ガス規制の強化により輸入を中止した時期もあったが、その後再開し現在でも新車の購入が可能。
ただし、ユーロ3対応エンジンのためクランク始動は廃止されている。
現在は愛知県名古屋市の自動車ディーラーが輸入を担当している。
2022年現在の価格は400万円程度。
※アニメ「秘密結社鷹の爪」で鷹の爪団が所有しているトラックはこれである。
31512
UAZ-469の大マイナーチェンジ車。EUにはUAZ ハンターとして輸出されている。
日本では先述の名古屋市のディーラーにより輸入されており、こちらも新車購入が可能。