概要
「オフロードのR1」という開発コンセプトの通り、ライバルとは一線を画す非常に凝った作り込みをしていた。
エンジンやフレームは完全新設計で、特にアルミ製ツインスパーフレームは公道用オフロードバイクとしては初の採用例となった。
エンジンも軽量化と高出力化を突き詰め、アルミはもちろん部品によってはマグネシウムやチタンすら使用。
更にR1と同じボアストローク比を採用し、オフロードバイクらしからぬショートストローク・高回転型に仕上がっている。
結果、11.8:1という高圧縮比により、250ccクラスとしては異例のハイオク仕様となった。
シート高も、エンデューロ全盛期の車種(DT200WRなど)を思わせる895mmという数値。
定価は税込み70万円を超える高価なもので、登場時は何もかもが規格外であるとして話題をさらった。
また、スーパーモタード仕様のWR250Xも同時に発売。
オフロードバイクの足回りを変更しただけのモタードが多い中、こちらはエンジンECUのプログラミング(燃調)まで専用に起こす拘りようであった。
このような敷居の高いバイクであるにもかかわらずセールスは好調で、特にオフロードのヘビーユーザーから熱烈な支持を受けた。
パワーのあるエンジンと高剛性なフレームからオンロードにおけるスポーツ性も持ち合わせており、ツーリング用としての需要も高かった。
当然ながら右に出るようなライバルは現れず、他の何にも似ていない孤高の存在であり続けた。
2017年に環境規制の強化により生産終了。
近年のバイクにしては珍しく、生産終了直後からプレミアが付き、中古車市場は個体によっては新車価格を上回るほどの高値安定である。
この事実からも、本車がいかに飛びぬけたバイクであったかが窺える。