概要
円谷英二と金城哲夫が円谷プロダクション最初の連続特撮ドラマとして1963年にフジテレビに持ち込んだ企画。「円谷空想科学映画劇場」と題してサンプルストーリーが13本製作、30分、全39話を構想し、第二クールではラッパー、第三クールではスペースホースと主人公もそれぞれ変わりその都度タイトルも変更される予定だった。
フジテレビだけでなく、TBS、果ては海外輸出も検討されていたが、予算や当時の撮影技術の問題、契約上のトラブルによってお蔵入りとなった。
その後企画はTBSへと持ち込まれ、『科学特捜隊ベムラー』『レッドマン』を経由し最終的には『ウルトラマン』へと変わった。
しかしこの企画が没になったことによって一つ問題が発生してしまった。
円谷英二が今作の撮影のために、収益を見込んで当時価格で2億円相当ものフィルム合成ができるオプチカルプリンターをアメリカから発注していたが、企画の頓挫で支払いができなくなり、さらにはすでに船で日本に輸送中だったためキャンセルもできない状態だった。
困り果てた英二を見かねた当時TBS社員でもあった円谷一がTBSへと働きかけ、オプチカルプリンターはTBSの費用で購入することが決まり、無事に一件落着。その機材を使って作られた『アンバランス』を経由し『ウルトラQ』がどれほどヒットしたかはもはや言うまでもないことである。
後にこの『WOO』の企画は2006年の『生物彗星WOO』として日の目を見た。
登場人物
- WOO
第一クールの主人公。故郷の星を失った不定形のゲル状の肉体を持つ、大きな目のついた白いオタマジャクシに似た生命体であり、地球に降り立った際に秋田譲二に助けられる。
地球および地球人に対して敵意は無く、ラジオの電波を受信して、そこから地球の文化や言語を習得。秋田譲二とファーストコンタクトを取った。自身の故郷は既に滅亡しており、地球に辿り着いた後「赦されるなら(地球に)ずっと住みたい」と秋田譲二に伝える。
性格は温厚で、その不定形の身体を利用し、様々な能力を発揮できる(湖の水を吸い上げ、山火事へと放水し消火するなど)。
また、悪戯好きな一面もあり、譲二がドロシーと車中でキスしていたところに、車ごと持ち上げて湖の上に浮かばせるといったいたずらをした。
- 秋田譲二
主人公。ヌードカメラマンで、地球に来たWOOを保護する。
WOOと最初に接触し、WOOから地球への移住したいと聞かされた時に「地球には隣人愛というものがあるからね」と、それを受諾。以後、WOOの友人となり、WOOの冤罪も晴らしている。
演者は佐原健二が予定されていた。
『生物彗星WoO』にも同名の雑誌記者が登場する。演者は豊原功補
- 団太郎
秋田の助手
- ドロシー
ヒロイン。譲二のヌードモデル。劇中で秋田譲二が彼女のヌード写真を撮影していた際、その写真に偶然WOOが写っていた事が、物語の始まりになる。
浮須良美という女優が演じる予定だった。このほかにも毎週セクシーな美女が登場する予定だったらしい。
- ラッパー
第二クールの主役
- スペースホース
第三クールの主役
余談
朝日ソノラマより発売された金城哲夫脚本集にて、本作の1話・2話の脚本が掲載されている。