🎏概要
こいのぼりとは江戸時代に武家で始まった、端午の節句である旧暦の5月5日までの梅雨の時期の雨の日に、男児の出世を願って家庭の庭先で飾られた鯉の形を模して作ったのぼり。紙・布・不織布などに鯉の絵柄を描き、柱の先に掲げて風をはらませてなびかせる。現在はグレゴリオ暦(新暦)5月5日まで飾られ、夏の季語として用いられる。飾られる季節も変わり、イメージは「晩春の晴天の日の青空にたなびくもの」となった。
しかし、現在の都市周辺では、1980年代以降の住宅事情(庭付き一戸建て住宅の減少とマンションなど集合住宅の増加)や少子化などのため、民家の庭に高々とこいのぼりが揚がる姿を見ることは少なくなっている。
本来は真鯉(黒い鯉)のみで、明治時代から真鯉(まごい)と緋鯉(ひごい)の対で揚げるようになったが、昭和時代からは家族を表すものとして子鯉(青い鯉)を添えたものが主流となった。ただし、過渡的に黒と青だけという組み合わせも見られた。
最近では緑やオレンジといった、より華やかな色の子鯉も普及してきており、所によっては女の子も含め家族全員の分の鯉を上げる家もある。暖色の子鯉の増加はそういった需要に応えてのことのようである。
こいのぼりのさおの先には、回転球やかご玉、その下に矢車を付け、五色もしくは鯉などを描いた「吹流し」を一番上に、以下真鯉、緋鯉、等を大きさの順に並べて揚げるのが一般的である。
なお、この吹流しは五行説に基づいて作られた物で、吹き流しを構成する五色の色は「木=青(緑)、火=赤、土=黄、金=白、水=黒(紫)」の5つの元素にあてがった物となっている。
これら万物を成す5つの元素によって、子供に悪いことが忍び寄ったとしても守ってくれる、つまりは邪気を祓ってくれると信じられているとされている。
歌
『こいのぼり』というタイトルの唱歌と童謡がある。
- 唱歌
作詞者不詳、作曲・弘田龍太郎 『鯉のぼり』 1914年(大正3年)
- 童謡
作詞・近藤宮子、作曲者不詳 『こいのぼり』 1931年(昭和6年)
体操
垂直に立ったポールを幅を広く取って両手で掴み、全身をピンと伸ばした姿勢を維持する技が風にたなびくこいのぼりを思わせることからこの名前で呼ばれている。
関連イラスト
↑迷い込んだ先が気になる。路地裏のちいさな冒険のイラスト特集(2015.03.11)