関西地盤の食品会社。主力商品はソースであり、明治創業。国産初のウスターソースを自社製造販売した企業(委託製造ならもっと早い企業があった)としても知られる。もともとは山城屋という屋号であった。本社ならびに創業地は大阪市だが、主力工場ならびに本店は兵庫県西宮市にある。
名の通り、イカリとは船の錨がモチーフであるが、これは創業者が船火事に遭遇した際に錨に捕まって命拾いした(妻子に救命胴衣を渡し家族全員助かったらしい)とことで感謝の意をこめて屋号を錨印としたため。
関西圏、とりわけ大阪では圧倒的な知名度と高いシェアを誇るソース会社であり、かつては全国に販路を広めるためCMキャラにいかりや長介を採用したりもした。だが、関西でのソース市場が競争激化(オタフクソースの進出など)すると広いマーケットを求め全国展開しようとするが、ブランド不足の上にソースの嗜好がまるで違っていた(後述)ために撃沈。加えてバブル期にゴルフ場開発などをしてしまったため焦げ付き採算悪化し、その後は不祥事なども相まって経営が行き詰る。
そんな倒産企業に救いの手を差し伸べたのが東京地盤のブルドックソースであったが、同社はソース消費の多い関西へのマーケット進出が狙いであり、同社の傘下となった後、地盤エリア外向けは百均やPBブランドのOEMなど原価を抑えられた廉価品中心となってしまい、世間では「イカリソースはまずい」という誤解を生んでしまう(一方のブルドック側も、関西では嗜好が違うために苦戦を強いられている)。
首都圏では親会社ブルドックの経営戦略もあり百均やイオンのPBなどからしか商品を見ないので、安全かどうかも怪しい二流ブランド扱いされているが、ソース激戦地関西でトップシェアを誇るブランドである(むしろ競合相手はKAGOMEとオリバーソース)。それどころか業界に先駆けてメイン商品のカラメル色素、化学調味料、増粘多糖類などあらゆる食品添加物使用を一切やめた企業でもある(企画品はその限りではないのだが)。
またソースが酸っぱいという評価もあるが、関西のソース需要はウスターソースから始まっているので、多少の酸味を持っているのが定番である。またタコパ文化などを持つ大阪では、たこ焼きが重要な要素を占めるため、一定の酸味を持ったソースでないと市場で勝ち残れなかったのである(たこ焼き屋向けのソースとしては業界トップらしい。酸味は主原料にミカンや玉ねぎを使用しているため)。
近年は粉もの専用ソースのほか、大阪地盤を標榜した『The大阪』という新ブランドで若年層を中心に訴求、ここ数年の経営は安定している。また、創業時代の味を再現したというイカリソースレトロといった高級志向(熟成品)の商品もある。
ソース以外ではノンオイルドレッシングや焼肉のたれを製造販売したりもしている。