概要
『鋼の錬金術師』に登場する架空の国。東の大砂漠(地理的にはアメストリスとシンの間)にかつて存在した古代国家。本編の時代では跡地が遺跡となっており、かつての市街地が砂漠を渡る旅人の中継地として機能している。また、遺跡にはイシュヴァールの内乱から逃れたイシュヴァール人も住み着いている。
存在したのは作中における紀元前の文明だが、錬金術などが発展していた。奴隷制度も存在したが、実力さえあれば元の身分に関係なく立身出世が可能だった模様。往時は人口100万人の大規模な王国だったが、伝説によると「一夜にして滅亡した」という。
以下、ネタバレ
エルリック兄弟の実父であるヴァン・ホーエンハイムの出身地であり、全ての始まりとなった場所である。
ある日、錬金術によって奴隷23号の血液を媒介としてホムンクルス(フラスコの中の小人)と呼ばれる人造人間が誕生する。
当時の国王(CV:石森達幸、演:品川徹)は国民から名君と慕われていたが、老いによる焦りから不老不死の方法を求め、ホムンクルスにその知識を請う。ホムンクルスは最初「どうして名誉や栄華を極めた人間はそっち(不老不死)に行きたがるのか」と呆れたが、自分の命を盾に取られている(フラスコを壊されれば死んでしまう)以上は国王の命令に逆らえないこともあり、不老不死になる方法を伝授する。
ホムンクルスに借りた知識に基づき、国王は(表向きは灌漑用水路という形で)国土全体に錬成陣を築かせ、各地に血の紋を刻ませて行く。そして、全ての準備が整ったその日、国王は完成した錬成陣を起動した。これは起動すると範囲内の人間の魂を全て賢者の石に変換し、錬成陣の中心にいる人間に付与するというものであった。
しかし、国王が立っていた場所は錬成陣の中心ではなかった。ホムンクルスは以前よりフラスコの中でしか生きられない自分の現状に不満を持っており、国王に錬成させた賢者の石を自分が簒奪しようと企んでいたのである。錬成陣の真の中心は、この時ホムンクルスが入ったフラスコを持ってホーエンハイムが立っていた場所であり(ホーエンハイムは起動直後にホムンクルスに暴露されるまでこの事実を知らなかった)、その結果ホーエンハイムを除くクセルクセスの国民は全員が賢者の石に錬成され、ホムンクルスとホーエンハイムに半分ずつ取り込まれた。これが一夜にして国が滅亡するに至った真相である。